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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

地域資産と維持する努力

2018-11-28 21:06:11 | アラカルト

京都新聞に「最古級京町家消失」という見出しがあった。
京都新聞:最古級京町家消失「京都市に失望」元所有者自らが選んだ解体の道

京都を世界の名だたる観光地としているのは、何も神社仏閣だけではない。
京都独特の「町家」の佇まいが、より魅力的な観光地にさせている(と思っている)。
解体された「川井家住宅」や京都市文化文化財となっている「杉本家住宅」、上賀茂神社近くにある神職の住宅といわれる「社町家」などは、花街の街並みとは全く違う堂々たる風情を感じさせる。
町並みの雰囲気は違うが、京都の街を歩くと古い都へタイムスリップをしたような感覚を覚えるのは、私だけではないと思う。

もちろん、1300年以上の歴史がある京都だからこその文化があっての魅力だと思うのだが、今その魅力の一つである「町家」が危機に瀕している、ということがこの記事からもわかる。
多くの町家は、間口が狭く鰻の寝床のような造りになっているため、今の生活には向かない造りといえるだろう。
何より、町家は築年数が古い為「町家」として維持をしていく為には、それ相応の費用が掛かる。
今回解体となった「川井家住宅」などは、敷地面積も広く古い家を維持管理していくためには、相当な費用が掛かっただろう。
維持管理だけではなく、固定資産税なども大変だったのでは?と、想像している。

観光目的で、有料の一般公開という方法もあったかもしれないが、やはり「人の住まいに他人に見せる」ということに、抵抗感があるだろう。何より、どのような人が来るのか分からないというのは、不安だろうし場合によっては修繕費などがより多くかかってしまうリスクもあっただろう。
そう考えると、元所有者が失望したとされる京都市の「京町家保全継承条例」の柱である「マッチング制度」が、機能していなかったということになるのだろう。
個人所有の文化財級の建物は、一度取り壊してしまうと復元そのものが難しい。
そのためのマッチング制度という位置づけなのだろうが、制度的な不備があったということだろう。

そう考えると、「川井家住宅」をはじめとする古く大きな京町家などは、これから先マンションや宿泊施設へと建て替えられてしまう可能性がある、ということだろう。
そうなると、京都の町の魅力そのものが半減してしまう。
そのための維持・管理を含めた費用負担は、誰がするのか?ということが大きな問題になるだろう。
歴史的に重要とされる「京町家」に関して特別措置のような税の軽減や、冷泉家のように「公益法人化」をしたうえで年に1回特別公開(有料)をするとか、地域の祭事に合わせた期間のみ有料公開をするなどの「維持・管理」がしやすい制度を考える時期にきているような気がする。

何故なら、このようなケースは「京町家」に限ったことではなく、日本全国にあると思うからだ。