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ジャーナリズムの力

2023-10-03 15:34:05 | 徒然

昨日、ジャニーズ事務所の記者会見があった。
現在進行形で、賠償等の話が進められようとしていること、実際の会見をライブで見ていないので、その内容についてはここでは触れない。
ただ、その後様々なところから聞こえてくる「記者質問」に、疑問を感じるとともに「日本のジャーナリズム」ということを、考えてしまうのだ。

記者会見の報道について、まず感じたことはジャニーズ事務所側の井ノ原快彦さんが、記者側を諫めるような場面があった、ということだ。
確かに、世間が注目している話題なので、会見に出席している記者達も熱が入ってしまうのは、ある意味仕方ないかもしれない。
出席している記者も、社会部に所属している方からスポーツ紙や女性週刊誌から委託された記者まで、相当幅広い分野の記者達が参加していただろう、ということは暗に想像がつく。
記者の中には「ジャニヲタ」を自認する方もいらっしゃったようで、記者の仕事というよりも、ファンとしての発言をされ、失笑をかったようだ。
記者としての冷静さと立場を考えれば、自分が「ジャニヲタ」であることを言う必要もないし、自分のプライベートとは別として冷静な質問や発言をしなくてはならなかったからだ。
それができるのが、「プロの記者」であり、「ジャーナリスト」なのでは?

他にも、記者たちが会見をしているジャニーズ事務所側の人たちに対して、相当乱暴な言葉を使ったり、「自分たちの方が上」であるかのような発言があったりしたようだ。
確かに、新聞や出版社を含むメディア関係は人気の高い就職先ということもあり、名だたる大学出身者であっても簡単に就職できるわけではない、(と言われている)。
勿論、大手メディア企業であれば、社会的ステータスもそれなりに高いと、認められている部分もある。
だからと言って、一人ひとりの記者が「社会的ステータスが高い」と、社会が認めているわけではない。
少なくとも、署名記事が書けるようになった時点で、その実力が認められたということになると思うのだが、それも企業の中にいるからであって、その記者自身が社会に認められた実力という訳ではない。

一方、芸能界という世界は、その誕生の時から一般社会よりも一つ低い地位として見られてきた、という歴史がある。
今や芸能の世界でも高い地位となっているような、能や歌舞伎等のその始まりは「旅芸人」のようなところがあった。
それが時の権力者の寵愛を受けることによって、一般社会とは別の地位を得ることができたのだ。
そのような歴史的な背景から、芸能の世界に対して一般社会よりも低い世界の人たちと、見下げるような潜在意識の表れだったのかもしれない。
ただ忘れてはいけないのは、それよりも時代をさかのぼれば「芸能」は、「神に対する祈りであった」ということだ。
例えば「天岩戸」の話を知れば、わかると思う。

もう一つは、報道が正義ではない。ということだ。
報道は、その字の通り「広く・多くの人に(大切な情報を)伝える道しるべ」となるべきだと思っている。
そこには自分の考える「正義」を、相手に押し付けるものではない。
淡々と、その事実に基づき、当事者から「本当の出来事や気持ち」を引き出すような、質問をし・確認をすることが優先されるべきことだと思う。
そこには、取材対象者との上下関係はないはずだし、取材対象者と仲間でもない。
勿論、芸能記者歴の長い方等は懇意にされる芸能人は、数多くいるだろう。
だからと言って、公的な場であるはずの「記者会見」で、馴れ馴れしい態度をとったり、逆に関係性がないがゆえに、社会の空気を読み「自分たちメディアが正義だ!」と、言わんばかりに相手を叩くというのも、ジャーナリストとしてあってはいけないコトだろう。

何となくだが、昨日のジャニーズの記者会見は、ジャニーズ事務所の問題よりも日本のジャーナリズムの未成熟さばかりが目立った会見となったのではないだろうか。