日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ジャニーズは✕、政治は〇 ‐記者会見の質疑‐

2023-10-07 21:02:35 | 徒然

10月2日のジャニーズ事務所の記者会見。
既に数日経過しているのに、収まることを知らず、まだまだ事務所側に対して厳しい意見などで続けている。
その中でも特に厳しい意見は、「NGリスト」と「1社1質問」という、出席した記者に対する規制をかけたことだった。
メディア関係者や企業のリスクマネージメントをされる方の多くは、「NGリスト」のように出席した記者を差別するようなコトはあってはいけない。
「1社1質問」にしても、「会見を通して質問を掘り下げる機会を奪っている」という趣旨の指摘をされている。

確かにこれらの意見は、的を得ていると思う。
本来であれば、このような謝罪会見のような場では、出席した記者に対して様々な制約を与えることは、会見を開いた側のイメージを大きく損ねることが多いからだ。

ただこれらの「的を得た意見」を聞く度に、「官房長官や首相の会見の時は、どうなの?」という疑問を感じてしまうのだ。
スポニチ:松野官房長官 岸田首相や自身の会見では「NGリスト」ない 「時間の許す限り丁寧に」 

このように、松野官房長官は話をしているのだが、違うと感じている記者もいるようだ。
日刊ゲンダイDIGITAL:首相会見「NG記者リスト」を官房長官が否定も・・・日刊ゲンダイ「指名ゼロ」をどう説明する 

確かに日刊ゲンダイは、4大紙と呼ばれる新聞社とは違う。
ゴシップ記事等も多く、その信ぴょう性について疑問を持たれることも多い日刊紙だ。
とはいえ、首相会見に出席できる記者を派遣している、ということは「政治について取材をする記者」が在籍している、ということでもある。
というのも、官房長官などの会見に出席している記者の多くは、新聞社やテレビ等の「政治部」に所属している記者であり、会見をする側も記者を良く知っている。
最初から「NGリスト」なるモノは、必要ないのでは?
必要ないのだから、リスト作成は必要ないだろう。

そして「時間の許す限り丁寧に」と言われても、その「丁寧な説明」そのものが意味不明という場合が多いのも、政治家の会見だと感じている。
言葉が悪いのだが「耳障りの良い言葉を並べて、煙に巻く」ような話を延々とされても、それは「丁寧な説明」とは言わない。
「丁寧な説明」とは、「時間の問題ではなく、伝わりやすい平易な言葉で、わかりやすく説明する」ということだ。

実はこの「丁寧な説明」という言葉は、政治の世界では度々聞かれる「常套句」でもある。
皮肉なことに、政治家が「丁寧な説明」と言った時、その多くは「都合の悪いことは言いたくない」という場面が多いような気がする。
それが「耳障りの良い言葉を並べて、質問に答えることなく煙に巻く」ということなのだ。
日刊ゲンダイDIGITAL:【室井佑月】政治家にとって言葉は最大の武器なのに 岸田首相はここぞという場面で使えていない 

故ジャニーズ喜多川氏の行った「小児を含む性加害行為」は、社会を揺るがす大問題であることには変わりないが、このことばかりに気を取られていると、「これ幸い」と、とんでもないことを政府が進めているのではないのか?
沖縄の辺野古の件に関しても、大阪万博での国の費用負担にしても、大手メディアが連日ジャニーズ問題を取り上げることで、陰にかすんでしまっている大問題だ。
そしてこれらの問題に対して、政府はどれほど分かりやすく納得ができる説明をしてきているのだろう?

今回のジャニーズ問題で分かったことは、形は大きくても中身は個人商店のような感覚の企業であり、長い間店主の思い通りにやってきた膿が出てきた、ということなのだと思う。
勿論、被害者の方に対しては補償等をしっかり行う必要があるし、この問題をきっかけに「同性間のセクハラ」対策と被害者ケアを考える必要があるはずだ。
だからと言って、「ジャニーズ叩きは〇で政治に対して同様のコトを求めるのは✕」という忖度をするメディアの態度にも、疑問とある種の気持ち悪さを感じるのだ。