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半導体工場の緩和策、大丈夫?

2023-10-05 20:13:33 | アラカルト

2日ほど前に、「政府が半導体工場誘致の為の緩和策」を打ち出している。
日経新聞:半導体工場の立地規制を緩和 政府、農地・森林も誘致 
NHKニュース:半導体や蓄電池などの工場用地確保へ 規制緩和に向け調整 政府 

2つのリンク先を紹介したのには、理由がある。
日経新聞では、「農地・森林も誘致対象」という内容になっているが、NHKニュースでは、「市街化調整区域」での建設も可としている。
NHKニュースにも「農地」に触れてはいるが、「森林」には触れてはいないからだ。
2つの報道内容を見る限り、農地も森林も市街化調整区域もあり、という「どこでも可」という印象を受ける。
それほどまでに、半導体や蓄電池の生産に力を入れたい!という、政府の強い気持ちの表れなのかもしれないが、「どこでも可」のような工場誘致は、逆に生活者からの反発の要因となってしまうのではないだろうか?

まず、森林は対象外として欲しいと、考えている。
何故なら、森林は豊かな水資源を育む場所であり、既にいくつもの飲料水メーカーは周囲の土地を買収しているのでは?と考えるからだ。
というのも、私の実家がある米子市は大山の麓にあるのだが、その大山にはいくつかの飲料水メーカーが水源を確保しつつ、ミネラルウォーターを取水している。
有名なところでは、サントリーの「奥大山の天然水」だろう。

確かに、半導体工場では良質な水の確保が必須と言われている(ようだ)が、「飲料水と競合しあう」という場所での工場建設は、既に進出している企業はもちろん、地元住民からも理解を得にくいのでは?と、考えるからだ。
逆に「耕作放棄地」となっている場所であれば、用地買収という点だけを考えれば、問題は少ないだろう。
「耕作放棄地」となっている場所が、工場用地となるだけの広さを確保できれば、という話だ。
地方で見かける「耕作放棄地」の多くは、「耕作放棄地と耕作地が混在している」という状況にある場所の方が多いように思うからだ。
単純に「耕作放棄地となっている農地を工場用地に転用」という訳にはいかないのでは?という、ことなのだ。
そして「市街化調整区域」となれば、既にその地域に住んでいる人達との交渉が、必要となってくる。
地元住民の理解と了解が取れれば問題ないが、そう簡単に進むのだろうか?

それよりも、地方に眠る「工業団地」を活用を優先すべきではないだろうか?
昭和40年代、全国各地で「工業団地」に向け造成している。
残念なことに、これらの「工業団地」への企業誘致に失敗している、行政は全国的にあると思われる。
中には「半導体や蓄電池工場」に向かない「工業団地」はあるとは思うが、新たに開発するよりも、既にある手つかずとなっている場所があるのであれば、まずそのような場所の活用を考える方が、合理的だろうし様々な面での費用も軽減される。

政府が旗を振って産業振興を考えるのであれば、「新たな法整備」だけではなく「既存の場所」の活用を、まず考える必要があるのでは?
そしてこれからの「工業」は、地域の自然と暮らしの風景に溶け込むようなビジョンが優先される時代になっているのではないだろうか。