日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ジェンダーギャップが改善しない理由が分かった気がした‐自民党における杉田水脈氏の起用‐

2023-10-19 17:21:47 | アラカルト

以前から不思議に思っていた、自民党人事があった。
それは、杉田水脈氏に関する起用のされ方だ。
ご存じの方も多いと思うのだが、杉田水脈氏は以前から過激な発言が多く、一部では「炎上商法」のような言われ方をされてきた人物である。
「炎上覚悟」の世論を作り出すような発言ではない。
特定の人達に対して「ウケを狙う」ような発言で、その多くが「社会的責任を持たなくてはならない、政治家の発言とは思えない」という内容のモノだった。
日刊ゲンダイDIGITAL:自民・杉田水脈氏「人権侵害犯」認定ふたたび・・・小沢一郎氏「自民党=利権=差別の党」と痛烈批判 

見出しにあるように、杉田議員が「人権侵害をしている」と認定されたのは、今回が初めてではない。
彼女は、以前「LGBTQは生産性が無い」と発言をし、世間のひんしゅくを買っている。
社会的批判が強かったことから、発言そのものを撤回してはいるのだが、彼女の発言の多くが、その時々に話題となっているテーマに対して、社会からひんしゅくを買うような発言やSNS投稿等をしていることを考えると、あながち「炎上商法」で自分に注目を集めたい、という思考の持ち主なのか?と、感じてしまうのだ。

そして不思議なことに、これほどの失言を繰り返しているのに、なぜか議員辞職をしたりするわけでもなく、逆に自民党内での役職に就いている。
この時点で、「自民党」という政党のおかしさを感じないわけではないのだが、今回の件で何となく彼女を起用し続ける理由が分かったような気がしたのだ。

それは「オジサン(政治家)の本音の代弁者」ということだ。
男性の政治家が、杉田水脈氏のような発言を繰り返せば、当然政治家としての資質を疑われるはずだ。
しかし、女性の場合「女子供の失言位許してやろうよ」的な、社会的雰囲気は作りやすい(と、自民党は思っているように感じる)。
言い換えれば、「社会経験が無い女の戯言」程度にしか、受け止められないだろう、と高をくくっているいうことなのだ。
杉田水脈氏自身がそのことを十二分に理解しているから、このような失言を繰り返しても、何も感じないし、もしかしたら「私はオジサンの本音を代弁しているのだから、党内ではそれなりのポジションを約束されて当然」と、考えているのでは?という、気がするのだ。

それは自民党内でそれなりのポジションを女性が獲ろうとするなら、そのような「役回り」ができなくては、無理なのでは?ということなのだ。
現在の彼女の自民党内でのポジションは、その見返りなのでは?と考えると、納得できるのだ。
と同時に、そのような政治思考を持っているのが与党であれば、いつまでたっても「ジェンダーギャップ指数」が低いこともうなずける。
根本となる「多様性の中から、活発な議論を生み、より平等な社会の形成」などという、発想そのものが無いのだ。

女性大臣が増えても、その女性大臣が「オジサン(政治家)の本音の代弁者」であれば、若く政治に関心のある女性が、政治家を目指すはずがない。
逆に、そのような女性は「オジサン政治家」からすれば、「(自分のいうことを聞かない)扱いにくい」ということになるのだろう。
それは、日本は対外的政治交渉のテーブルについたとしても、相手にされなくなってしまうという危機もはらんでいるのではないだろうか?