昨夜遅く、速報のように流れてきた4,400億円という、大規模なマイクロソフトの日本投資のニュース。
その内容を考えると、手放しで喜べるのだろうか?と、やや不安な印象も持ってしまった。
日経XTECH:マイクロソフト、生成AI需要で日本のデータセンター増強などに4400億円投資
なぜマイクロソフト側は、これほどの投資を日本にするのか?ということを考える必要があると思う。
一つは、円安傾向にあるためドルベースで考えれば、米国内で新たにデータセンターを含め人財を確保がしやすい、と考えたのではないだろうか?
もちろん、データセンターを全世界に分散させることで、リスクの補完ということも考えられる。
先日の中国企業のロゴの入ったスライドを使うことに抵抗のない、日本の政府や官庁には不安があり、データ流出のリスクは高いのでは?と感じるのだが、マイクロソフト側はオリジナルのセキュリティーシステムを組んでいるはずなので、その点は問題が少ないのかもしれない。
逆に、日本政府や官庁の体たらくさから、中国からの攻撃パターンの情報収集がしやすい環境にある、と考えたかもしれない。
あくまでも想像でしかないが、日本で広く一般的に使われているスマホアプリ・LINE等に対する危機感の無さ等から考えると、「実験場」としてのデータセンターということも考えられそうだ。
もう一つは、見出しにある通り「生成AI」についての規制が、欧州等に比べると日本は緩い、問ことが挙げられると思う。
ご存じの通り、欧州では「生成AI」に対して、慎重な姿勢をとっている。
それは著作権等「創造性」に対しての価値評価が高いからだろう。
「作者に対する権利の侵害=作品に対する価値の侵害」ということが、その国の文化を支えていると考えているからかもしれない。
それに対して、現在の日本政府は「生成AI」推進に動いている。
元々、「創造物に対する価値の評価」という意識が、高いとは言えない日本だが、国の方針として「保護する」という意識そのものが、とても低い(と感じている)。
「生成AI」に対して慎重な姿勢を示す欧州よりも、様々な面で緩い日本の方が「実験的なこと」ができるだけではなく、データそのものを集めやすい、という環境にあると判断したのかもしれない。
もちろん、ネガティブなコトばかりではない。
エンジニア、特に女性のエンジニアの育成にも力を入れたい、という点は、日本企業では遅々として進まない点だろう。
もしかしたら「働き方改革」を加速させ、男性にもメリットがある「働き方」となるかもしれない。
このデータセンターが、どのような場所につくられるのか?という点にも、注目が集まるだろう。
災害の少ないような場所、データセンターそのものは、膨大なエネルギーを必要とすると言われているので、自然エネルギーとの組み合わせるにせよ、地域の理解が得られやすい場所、ということになる。
もしかしたら、地方の首長さん達はマイクロソフトのデータセンター誘致に、躍起になるかもしれない。