このところ、話題になっている「103万円の壁」。
国民民主党がこの103万円の壁を取っ払い、上限額を上げるという提案をしている。
この話を受け、湧き上がってきた問題が「103万円の壁を取ると、地方税が減る」という話だ。
なぜ地方税が減ると困るのか?というと、「住民サービスの低下を招く」為問題である、というのが声を上げている首長さん達の主張だ。
「住民サービスの低下」というと、「それは、問題だ!」という声が次々に上がるのか?と言えば、想像よりも上がっていないような気がしている。
それぞれの自治体で、どんな住民サービスを提供しているのか?という、事情はバラバラだと思う。
例えば、「子育て世帯に対する支援」に力を入れている自治体もあれば、高齢者が多い自治体は「高齢者福祉サービス」に力を入れざる得ない。
生活者にとって、直結するはずの問題だと思うのだが、多くの生活者から「103万円の壁」についての声が上がらないのは、何故だろう?
いや、上がっているのかもしれないが、主にメディアで報道されるのは「地方税が減る」と言っている首長さん達の声が、ほとんどだ。
ニッセイ基礎研究所 レポート: 「財源がない」は本当か~「103万円の壁」引き上げを巡って~
ここで考えなくてはならないのは、現在パートタイムで働く人達が「103万円の壁」をどれほど意識しているのか?という点があると思う。
今年の春闘は、政府の意向もありベースアップ幅がここ30年の間で、一番大きかった。
大幅なベースアップにより、時給が上がり「103万円以内で仕事をする」ということが、難しくなってきたのではないだろうか?
「103万円の壁」を気にするよりも、月々の給与から得られる「可処分所得」が増える方が、生活者にとっては嬉しいのでは?
現在のような経済的不安定な時代であれば、「貯蓄やNISAなどの投資に回し、お金を増やす」ということを考える生活者も多いだろう。
そう考えると、パートタイムで働く人達にとっての「103万円の壁」とは、収入をえる足枷と感じる人もいたのでは?
もう一つ考える必要があるのは、「住民サービスの低下」ということを言う前に、「独自で税収を増やす」ということを自治体自ら考えてきたのか?という点だ。
自治体の税収を増やす方法は、「住民を増やし住民税の増やす」とか「地域経済の活性化による増収」等が、基本的な方法だろう。
そのような努力した自治体として、明石市が挙げられると思う。
前市長の泉房穂さんは、まず「子育て支援」を打ち出すことで、若い世帯に「住みやすい・子育てしやすい明石市」を実施。
結果として、若い世帯が明石市へ転居し街全体に活気が戻り、税収もアップさせることに成功している。
このような政策を打ち出した時には、市の予算の内削られた分野もあったと思うのだが、最終的には税収が増えたことで削られた事業分野も復活したのでは?と考える。
これまでのように「あれもやります、これもやります」という、総花的であいまいな事業予算を組むのではなく、自ら税収を増やす為の優先事業を決め、住民に理解を求め、地域経済の活性化を促すことで「税収を増やす」ということを考える必要があるのではないだろうか?
少なくとも可処分所得が増えた生活者は、これまで購入を我慢してきたモノ・コトに対する購入に積極的になるだろうし、それを地域の中で消費してもらえるような街づくりを考える必要があると思う。