しばらく前から、話題になっているセブン&アイホールディングスの買収の話題。
この買収についての報道がされた時、一部では「小が大をのみ込む」ようになるのか?と、話題になった。
何故なら、ご存じの通り買収を仕掛けたカナダの企業が、日本国内では知られていなかったことや、提案された買収額が思いのほか安かった(低かった)ことも、影響しているのでは?と、考えている。
事実、最初の買収提案の時、セブン&アイホールディングス側が、提案された額が低い(=安く見られたものだ)という趣旨の発言をしていたからだ。
とはいえ、買収提案をしてきたカナダの企業は、コンビニとしては北米では2位の売り上げがあり、他にもガソリンスタンドなどの経営をするという、小売りの大手と言っても過言ではないかもしれない。
そして、当初の提示額よりも買収額を上げてきたこともあり、ここで動いたのがセブン&アイホールディングスの創業家である伊藤家だ。
日経新聞:セブン&アイ自力成長かカナダ社 創業家提案で新局面
まず、改めてセブン&アイホールディングスという、企業だが伊藤雅俊さんが創業した「イト―ヨーカ堂」がその原点だ。
1970年代初め、伊藤さんが米国視察をしたとき見かけたコンビニ形態である「セブン・イレブン」を見て、米国のセブンイレブンと業務提携をしイトーヨーカ堂傘下のコンビニとして始まっている。
それが現在では、母体であったスーパー「イトーヨーカ堂」ではなく、傘下にしていた「セブン・イレブン」の方が売り上げ、事業規模などが上回り、セブン&アイホールディングスの中心企業となった、という経緯がある。
元々米国企業との業務提携から始まったのだから、カナダの小売企業が買収を持ちかけてきたのか?という印象もあるのだが、とはいえご存じの通りセブン・イレブンは日本のコンビニの中でも店舗数や売り上げでもトップのコンビニだ。
そのトップ企業を買収する目的は、単純に「日本の市場を手に入れる」というだけではないのでは?
何故なら、日本の「コンビニ」そのものが、その業態名が示す通り「便利(=コンビニエント)」な存在として、生活に根付いているからだろう。
その事業幅は、食品以外にもPB商品を展開し、金融業も行っている。
このような事業領域の広さもまた、買収側にとっては魅力的だったのではないだろうか?
この買収に待った!と掛けたのが、イトーヨーカ堂を創業し、セブンイレブンという米国発のコンビニを日本に持ってきた、伊藤家だった。
創業家がこのような買収に動く、ということは相当な考えがあるのだろう。
もしかしたら「日本のコンビニを守りたい」という、事業に対する思い入れもあるのかもしれない。
この創業家の動きで、セブン&アイホールディングスは、創業の原点に立ち戻るようになるのだろうか?