日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「おいしい牛乳」ってどんな牛乳?

2014-01-21 19:26:09 | ビジネス

しばらく前から、ある新聞広告が気になっていた。
気になっている広告は、株式会社明治の企業広告。
今日、その広告を見ていて感じることがあった。
それは「牛のご機嫌をうかがいも、大事な仕事です」というコピーがあったからだ。

この広告には、以下の様な文から始まる。
「ある日、ある牧場から明治に届いた生乳の風味が、ほんの少しいつもと異なっていたコトがありました。わたしたちは、その牧場主さんと原因を探るべく、牛舎にビデオカメラを設置、24時間牛の様子を見続けました。・・・・」そして、結局、牛のベットがぬかるみ、牛たちが動くのが億劫となり、ちょっと元気をなくしていた、と言う原因が分かり、牛のベットをふかふかの気持ちの良い状態にしたら、元の美味しい牛乳になった。と言う結末なのだが、この文を読んだ時、思い出したことがあった。
それは随分前、慶應義塾大学の村田昭治先生の本を読んだとき、その様な一文があったのだ。

村田先生がある日、とても美味しい牛乳を生産しているという酪農家さんのところへ出掛け、「どうしたら、美味しい牛乳ができるのですか?」と尋ねたところ、その酪農家さんは「牛の機嫌がよく、幸せだと美味しい牛乳ができる」と、答えたと言う。その言葉を聞いた村田先生は「美味しい牛乳は、脂肪分が○○%含んでいて、その為には××という飼料を与えると美味しい牛乳ができる」という、数値化されたものではなく、牛がどのような状態で、どのような時に幸せだと感じているのか?と言うことを一生懸命考えている生産者の考えに、「ものづくり」の基本を感じた、と言う内容だった。

昨年あたりから「ビッグデータ」を活用した、マーケティング戦略が盛んに言われる様になってきた。
「ビッグデータ」から分析される生活者の姿というのは、確かに現実の生活を「可視化」させることができるだろう。
でも、「人の気持ちや心」というところまで、判るだろうか?
昨日エントリした、Amazonの予測出荷にしても、人の気持ちや心という、データ化できない部分が、本当はとても大事なのでは?
なぜなら、ビジネスの基本は「商品やサービスを提供することによって、社会や人が幸せだと感じる」ことだと思うからだ。

幸せな牛が作る牛乳が美味しい様に、商品やサービスを創り出す人達が「こんな社会だったら素敵だな」と、想像し人や社会を思う気持ちが、商品やサービスに反映される様な気がするのだ。
そのビジネスの基本を忘れてはいないだろうか?と、「牛のご機嫌伺いも、大事な仕事です」というコピーを読んで感じたのだった。



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