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エアコン事業から撤退する日立、日本のメーカーの白物家電はどうなるのか?

2024-07-24 13:36:53 | ビジネス

昨日、日立がエアコン事業から撤退する、という報道があった。
Bloomberg:日立、JCIとの空調合併株の保有分をドイツボッシュに売却‐1950億円で 

Bloombergの記事を読むと、日立は既に空調事業について、米国の電機大手のジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)と、空調事業において合弁会社をつくっており、その合弁会社の取得株40%を、ドイツのボッシュに売却する、というのが今回の株式売却の意味であって、日立が手掛けている空調事業を完全にドイツのボッシュに売却する、という訳ではない、ということが分かる。

日本の家電メーカーの中でも「モーター関連であれば、日立」と言われた企業が、合弁企業株とはいえドイツの企業に売却ということは、大きな話題になるのは当然だろう。
なぜなら、日本の家電メーカーの事業売却などが、これまで話題になることが多かったからだ。
理由はともかく、東芝は上場廃止と同時(だったと思う)に、展開をしていた事業の分割・売却をしている。
シャープは、台湾の企業の支援を受け、事業継続はしているが、それでも液晶テレビなどは撤退状態になっている。
家電の大手であっても、安泰ではない、というのが今の日本企業の状況なのかもしれない。
安泰ではないからこそ、日立は米国の大手電機企業と合弁会社をつくり、経営的な安定を目指していた、ということのようにも思える。

しかし、それほど簡単な話ではないかもしれない。
Bloombergの記事を読むと、事業としての協力関係は株式の売却先であるボッシュとブランド契約を結び製品提供を行う、ということになるからだ。
そしてこの株式の売却とブランド契約先が、ボッシュであった、ということに若干の安心とボッシュの目的のようなものが、わかるような気がしている。

「ボッシュ」という企業名を聞いて、何を作っている企業なのか?すぐに思い浮かべられる人は、どれほどいらっしゃるのだろう?
もしかしたら、男性よりも女性の方が「ボッシュは知っている」という方は、多いかもしれない。
というのも、「食洗器」のメーカーとして、日本でも人気があるからだ。
そのようなコトから、既にボッシュという企業名は、ある程度日本で認知され、信頼を得ている、ということになる。
何より、「質実剛健」という言葉が似合いそうなドイツの企業という点でも、株式の売却先とブランド契約先としては、日本の生活者に安心感を与えることができると思う。

それは株式を取得するボッシュ側にとっても、同様のことが言えるのではないだろうか?
日立の持つ企業イメージと日本の置けるボッシュの企業イメージが比較的近い、という点で日立のステークホルダーにとっても反対が起きにくいのでは?という、判断もあったのではないだろうか?
何より、某隣国の企業ではなくてよかった、という感覚をお持ちの日本の生活者もいるのでは?

日立のような日本企業の中でも創業が古く、日本経済を支えてきた企業がこのようなコトになると、「日本の白物家電は大丈夫なのか?」と生活者は不安になる。
しかし、これからより進んでいくと考えられる、経済のグローバル化は金融だけの問題ではなく、このような製造メーカーなども含まれることなのだ、ということだろう。
ただ、生活者として注目していかなくてはいけないのは、「相手企業はどんな企業なのか?」という点だ。
新興企業が悪いわけではないが、日本の技術を盗んでお払い箱!というような企業が相手なら、ますます日本経済は落ち込んでいくだろうし、そもそも生活者からの信頼も失いかねない。

これからの企業は、そのような生活者の反応も考える必要があるかもしれない。
それにしても、日本のメディアの見出しは、どうなのだろう?
あの見出しでは、日立が空調事業においてボシュに買収されるような印象になるのでは?と、心配をするのだ。






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