日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「ひつじ年」に思うこと

2015-01-05 21:08:21 | アラカルト

先日、FM番組の「感じて漢字の世界」を聞いていたら、「羊」が取り上げられていた。
FB: 「感じて漢字の世界」
週末の朝に放送される番組で、わずか5分程度の番組なのだが私にとって想像力が得られる貴重な番組になっている。

今回取り上げられていたのは、「未年」にちなんだ「羊」という漢字。
その成り立ちや動物としての「羊」と、人とのかかわり方を知ると、今年注目すべきポイントのようなモノを感じたのだった。

部首に「羊」を使った漢字というのは、実にたおやかで優しいものが多い。
それだけではなく、祝祭をイメージさせる漢字もある。
もう一つは、羊の性格を表している。
たおやかで優しい漢字の筆頭は、「美」だろう。
安倍さんのお好きな「美しい国」でも使われる「美」。
安倍さんの思う「美しい国」は、私が思う「美しい国」とは全く別物であることは仕方ないとしても、多くの国民の描く「美しい国・日本」と全くの別物であっては、問題だと思う。

そして祝祭をイメージさせるのは「祥」。
解説にある通り、おめでたいときに使われることが多い漢字だ。
様々なことが起きた昨年、一つでも多くの人たちに好きことが多いことを願うばかりだ。

そして「羊たちの姿を表している」漢字は「群」だ。
「群れ」というと、なんとなくイメージがよくない。
付和雷同的で、自分の意志がなく集まっているような印象がある。
でも「羊たちが寄り添うように集まっている光景」を思い浮かべると、そのイメージは一変する。
どことなく牧歌的で、ほのぼのとしたイメージになる。
それだけではなく、「仲間」や「友達」という他者との関係性における、安心感というものも感じる。

実はこの「仲間」や「友達」という言葉は、昨年様々なところで耳にしている。
その一つが、昨年大ヒットした「妖怪ウォッチ」だ。
「妖怪第一体操」の歌詞の中には「友達、大事」というフレーズが何度も登場している。
アニメそのものを見たことがないので、その内容については言えるほどの情報を持っているわけではないのだが、小学生のお子さんを持っている知人などの話などから、人も妖怪も一緒になって、様々なことに立ち向かうような内容のようだ。
「みんなで力を合わせて、問題をクリアしていく」という発想は、実は普遍的なテーマでありいつの時代にも言われるものだが、今のようなLINEつながりのような、現実的なつながりよりもバーチャルなつながりの人間関係が多くなってきている時代だからこそ、このような「友達大事」という言葉が、子供たちの心をつかむのでは?と、考えている。

「仲間」という視点で考えると、世界的大ヒット漫画となった「ワンピース」などは、まさに王道的な内容だと思う。
「アニメや漫画の世界だから」と侮ってはいけない。
むしろアニメや漫画だからこそ、表現しやすく共感も得られやすいのだと思う。
現実ではうっとうしいと感じる「他者と自分の関係」。
関係が深くなれば、摩擦が起きてくる。
それだけではなく、新しい仲間づくりという点でも、様々なことを教えてくれているのではないだろうか?

羊たちがのんびり草を食みながら寄り添う姿は、「仲間や友達」という他者との関係から生まれるやすらぎだと感じるなら、今年のキーワードはその「(現実の)仲間や友達」という「関係性と共感」なのでは?という気がする。


「お正月広告」から見えること

2015-01-03 20:07:34 | マーケティング

お正月広告というのは、普段広告を出さない企業が比較的大きな広告を打つ機会だ。
かつては、「お正月CM」と言われるCMもあった。
有名なところでは、富士フィルムの「お正月を写そう!」やハウスのククレカレー「おせちもいいけど、カレーもね!」だと思う。
いずれも、長い間使われたキャッチコピーで、お正月のテレビ番組の一つの風物詩となっていたようなところもあった。
それが、新聞広告となると、上述した通り普段広告を出さない企業が比較的大きな広告を打つ。
特に、出版社の広告はその出版社のカラーというか強みのようなところが、はっきりと出る。

その中で目を引いたのが「集英社」かもしれない。
大ヒット漫画「ワンピース」を全面に出した広告。
この「ワンピース」と昨年大ヒットした「妖怪ウォッチ」に関しては、「今」という時代の変化を感じさせる部分が多く、後日改めて拙ブログでUpできれば、と考えている。

そしてもう一つ目を引くのが、資生堂の広告だ。
これまで資生堂の広告というのは、その年を象徴するような女優さんやタレントさんを起用してきた。
数年前だったと思うのだが、1度だけ自社製品を銀座の街並みに見立てた広告を出したことがあったが、その年以外は資生堂がその年一番力を入れたい商品に関連した女優さんやタレントさんを起用していた。
当然のことながら、起用される女優さんやタレントさんは日本人だった。
それが今年は、レディー・ガガを起用している。
ご存じの方も多いと思うのだが、レディー・ガガは自分自身をプロデュースする力のある女性だ。
と同時に、「激太り」といわれる姿をライブで見せることも平気だ。
その時々の「素の自分」を隠すことなく、表現者として見せている。
そんなレディー・ガガを起用した理由を考えると、資生堂の戦略のようなものが見えてくる。

一つは、「海外」だろう。
資生堂のみならず、日本の化粧品は中国を中心にアジアで大人気になっている。
その筆頭と言えるのが、資生堂だろう。
しかし、資生堂は「ジャパン・ビューティー」とか「アジアン・ビューティー」という、地域的グローバルビューティーを目指しているのではなく、「世界の女性たちを美しく」という、考えを基に動き始めたのでは?という気がしている。
その象徴として、世界的に人気がありある意味「時代のファッション・アイコン」であるレディー・ガガを起用したのだと思う。

もう一つは、「飾らない自分・飾る自分、私らしさ」という女性へのメッセージだと思う。
上述した通り、レディー・ガガの行動というのは、やや破天荒(?)なところがある。
当然、批判的なことも言われ、メディアに書かれたりするのだが、そんなことは意に介さないのもレディー・ガガの魅力だろう。
そんなレディー・ガガが、スッピン(?)で登場している。
派手な衣装やメイクのレディー・ガガもスッピンのレディー・ガガも、「私である」ということには変わりないでしょ、という微笑がそれを表しているように感じる。
さまざまな女性のライフスタイルがある今だからこそ、メディアや社会の雰囲気に惑わされることなく「自分らしく、私らしく」を大切に・・・というのが、女性を美しくしてきた資生堂のメッセージなのではないだろうか?
 

 


天皇陛下の言葉・・・

2015-01-01 20:53:30 | 徒然

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、今朝の新聞各紙には天皇陛下の年初めの言葉というか「歌」が掲載されていた(と思う)。
天皇陛下だけではなく、皇后様の「歌」も掲載されていた。
掲載された詠まれた歌を読むと、天皇・皇后両陛下の「平和への思い」の強さを感じた方は多いと思う。
そして昨年あたりから、何かあるたびに陛下は「平和への願い」を口にされてきたように思う。
それは、広島、長崎の平和祈念式典であったり、ご自身の誕生日を前にしたお言葉だったりする。

昨年といっても、いつごろからだろう?と考えると、安倍さんが「集団的自衛権」を口にし始めたころからだったように思う。
もちろん、その前の「武器輸出解禁」などのときにも、陛下は「世界の平和を願う」というような内容の言葉を言われていたような気がしている。
ということは、両陛下だけではなく皇室そのものの考えとして、安倍さんが言っている「積極的平和政策」に対して、懸念を表明されているのではないだろうか?

実は先日る本を読んでいて「積極的平和政策」の本当の意味は、安倍さんが言っているような内容とは真逆である、ということを知った。
安倍さんのいう「積極的平和政策」というのは、「何かあったとき、本が武力行使ができること」、そして「他の国(=同盟国)が、戦争による支援を必要としているとき、日本も参加し平和をもたらす」という内容のように、理解している。
違う言葉でいうなら「武力をもって制する平和政策」ということだと思う。
しかし本来の意味の「積極的平和政策」というのは、武力に頼ることなく話し合いや武力以外の支援によって自国以外の国に平和をもたらす」ということらしい。

そう考えると、陛下ご自身が思われている「世界が平和であること」というのは、本来の意味である「積極的平和政策」だと思う。
そして、ここにきて陛下が様々な場面で「平和であることを願う」という趣旨のお言葉を述べられたり、詠まれたりするのは、安倍政権に対する「牽制」なのではないだろうか?
現在の天皇陛下の立場は「象徴天皇」という、政治に口をはさむことができない立場だ。
だからこそ、陛下はご自身の思いを様々な場面で語られ、安倍さんに警告(というと大げさだが)しているような気がするのだ。

年明けの陛下のお言葉を新聞で読みながら、陛下の心配をよそに突き進む安倍さんの心には届いていないのだろうか?と、考えてしまったのだった。

明日は、恒例?の「お正月広告」をテーマに考えています。
本年もよろしくお願いいたします。