米国のトランプ大統領が、戦没者追悼式典をドタキャンしたらしい。
Huffpost:トランプ大統領「雨だから」とドタキャン 戦没者追悼式典への欠席で批判殺到
「雨で、予定をしていたヘリコプターが飛ばなかったため、式典を欠席した」というのが、理由らしい。
第一次世界大戦の激戦地となったのは、欧州でありトランプさんからすれば、戦没者と言っても100年近く前の話で、現実感が無いということなのかもしれないが、歴代の大統領が出席をしてきた大事な追悼式典に理由はどうであれ、出席しなかったというのは、批判されても仕方ないだろ。
一つ気になったことがある。
それは「中間選挙前だったら?」という点だ。
米国の中間選挙が行われたのは、先週の火曜日。
既に、上院では与党である共和党が多数を占め、下院では野党の民主党が多数を占めることになった。
トランプさんとすれば、中間選挙において一定の評価を得た、と思ったのではないだろうか?
だからこそ、さほど興味のない(?)第一次世界大戦での戦没者追悼式典を欠席しても、問題はないと考えたのでは?という、気がしている。
逆にこれが中間選挙前だとしたら、トランプさんは雨降りでも出席をしたのでは?
理由は、「退役軍人会(のような組織)」に対する票取りだ。
トランプさん支持派の中には、共和党の大票田となっている「福音派」と呼ばれるキリスト教の団体(というのだろうか?)がある。
トランプさん独自?の熱狂的支持者は「穀倉地帯」と呼ばれる中西部の保守層だと、言われている。
もちろん熱狂的な支持の理由は、保護主義的経済において一番恩恵にあずかる可能性が高いからだ。
事実、トランプさんの貿易政策にはその傾向がみられる。
だが、共和党・民主党関係なく政治的な影響力を及ぼす団体がある。
その一つが「退役軍人」を支援する「米国在郷軍人会」や「海外派遣退役軍人会」だと言われている。
というのも、米国には「退役軍人省」という、退役軍人およびその家族のケアや年金給付などをする省庁がある。
それだけではなく、米国では第一次世界大戦が終結をした11月11日は「退役軍人の日」となっている。
AmericanCenterJapan:11月11日「退役軍人の日」
今でも第二次世界大戦から直近の退役軍人は、2500万人以上いると言われている。
その彼らにとって、どのような戦地で命を落としたとしても、自分たちの仲間が命を落とした場所で行われる追悼式典に時の大統領が「雨」という理由で、出席しなかったという事実は、屈辱的な感情を抱かせることくらい、トランプさんでもわかっているはずだと思う。
もちろん11月11日の「退役軍人の日」には、何等かのメッセージをトランプさんがTwitterなどで、つぶやくことはあるかもしれない。
しかし、第二次世界大戦の主要国のトップが追悼式に雨の中出席したのに、トランプさんだけが「雨」を理由に出席しなかった、という事実は、退役軍人の方々の支持を失った可能性はあるように思う。
にもかかわらず、「雨」を理由に欠席できたのは、中間選挙が終わりその結果として「自分が支持をされている」と自信をもっていたからなのでは?という気がする。