日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「需要の先にある人の姿」を想像し創造する

2023-01-11 22:11:21 | マーケティング

日経新聞のWeb版に、なかなか手厳しい記事があった。
日経新聞:地域のデジタル街づくり「実験ありき」で7割成果なし 

有料会員の記事なので、全文が読めないのは残念なのだが、見出しを見てもおおよその内容が分かる気がする。
というのも、私の実家がある米子市でも「Mass」を民間バス会社と共に運用をはじめているのだが、帰省する度に「誰がこのシステムを利用しているの?」と、疑問に思うことばかりだったからだ。

おそらく「Mass」を導入するにあたり、それなりの補助金が行政や企業に出ているのでは?と、思うのだが、その成果を求められているのか?という疑問も持っている。
まさしく「実験」として補助金をもらい、成果云々を問われることなくフェイドアウトしていくのだろうな~、という印象しかないからだ。

なぜこのような「実験」だけで終わってしまうのか?ということを、行政は考える必要が当然ある。
当然あるのだが、「補助金をもらう」ということに主眼を置いているのであれば、その仕組みづくりや需要、利用者や利用者の生活スタイルなどを調べ、考え、現実的な仕組みづくりなど、考える必要はないからだ。
そしてそのような安直な考えで「実験に参加する」行政や企業が、多いのでは?ということなのだ。
これが、「クラウドファンディング」のようなカタチで、資金集めをし・支援者に報告をするということになれば、安易な気持ちで手を挙げるということができないと思うのだ。

そもそも、行政に携わる人たちが「需要の先にある人」をどれだけ見ているのだろうか?と、疑問に感じている。
「需要の先にある人を見る」ということそのものが、マーケティングという領域の仕事であり、これまで行政にはマーケティング発想など、求められてはこなかった。
高度成長期から低成長、マイナス成長と言われるようになっても、行政自身が「儲け」ということを考える必要が無かった、という部分も大きいだろう。
「行政が儲ける」というと、反対の意見を述べられる方も多いと思うのだが、あえて「儲ける」という言葉を使うのは、行政サービスの維持・向上のために「市税を増やす」という意味だ。

「市税を増やす」ためには、①現役世代の市民を増やす、②企業誘致、③補助金などの方法がある。
①、②は即効性がないだけではなく、行政側にも様々な提案や整備をしなくてはならない。
①の現役世代の市民を増やすためには、出産・育児・教育などの充実が必要になるため、企業でいうところの「先行投資」となるモノが必要となる。
そのために、現在の市民の理解と支持が必要だ。
②の企業誘致にしても、「行政自身が自分たちの魅力を伝える」という分析とプレゼンテーション力が必要となる。
このような時間と労力を必要としないのが、③の補助金ということになる。

安易にもらえるモノだからこそ、安易に飛びつくことができるし、市民のメリットとデメリットを訴え、理解を得ようとしない、ということになるのでは?と、想像している。
とすれば、今行政に携わる人たちに一番必要なモノは「マーケティング力」ということなのでは、無いだろうか?


中国のビザ発行停止は、日本にとってマイナスか?

2023-01-10 20:38:34 | アラカルト

今日の夕方、速報として流れた「中国の新規ビザ発給停止」というニュース。
速報の時点では、中国の意図が分からない感じだったが、どうやら「新型コロナ」に対する日本の水際対策に対する、対抗措置のようだ。
日経新聞:中国、日韓に新規ビザ発給停止 コロナ水際対策に対抗

ご存じの通り、現在中国では新たな変異株の新型コロナが、大流行している。
大流行どころか、一部では亡くなられた方の火葬の列ができている、という話があるほどの状況のようだ。
「亡くなられた方の火葬の列」ができる、ということは感染者数は爆発的な状況になっている、ということだと考えた方が良いだろう。
このような状況の中、欧州諸国では厳しい水際対策を打ち出した。
欧州の中では遅かったドイツも、現在は厳しい水際対策をしているはずだ。
このような状況に合わせるようにして、日本も中国からの入国者に対して厳しい制約をつける「水際対策」を今月に入って実施する、と発表をした。

現在中国は「春節」を迎えている為、中国国内でも都市部から地方へと多くの人が移動している。
爆発的な感染の背景には、この「春節帰省」によるものと考える方もいらっしゃるようだ。
ただ「春節」によって、故郷に帰省する人達だけとは限らない。
実はこの三連休、名古屋では「名古屋春節祭」というイベントが、行われていた。
このイベントに参加された中国の方の多くは、日本に住んでいる中国の方だとは思うのだが、中国から日本にいる家族に会いに来日された方も少なからずいたのでは?と、想像をしている。
ということは、日本の「水際対策」実施前に、中国から日本に来た観光客もそれなりにいた、と考えるのが自然だと思う。
言い換えれば、既に変異した「新型コロナ」が持ち込まれている、と考える必要があるのでは?

一つ疑問に感じているのは、これまで「新型コロナ」は変異をし続ける中で感染力はある程度強いものの、重要化率は下がっていたはずだ。
ところが現在の中国で起きている状況は、「感染力も重症化率も極めて高い」という、印象を持ってしまうのだ。
このような変異というのは、これまでの感染症全般に言われてきたことと、随分違うような気がするのだ。
そこに、現在中国で流行している「新型コロナ」は、2020年から始まった大流行した「新型コロナ」の変異株なのだろうか?という疑問を感じてしまうのだ。

今現在の世界各国の対応は、2020年の今頃と同じような状況のような、既視感を覚えるからだ。
2020年の流行から、日本は「新しい生活様式」を継続し続けてきた。
今や「マスクを外す」ことそのものに、抵抗を感じている若い世代も多い、と聞くほど「マスクの生活」、「抗ウイルス対策の徹底生活」を続けることで、やっと昨年暮れに、この春から「(感染症)2類相当」から「5類」への変更というところまでやっと来た。
しかし、今現在の患者数や死亡者数などの情報が、大流行の地・中国政府から発表されない為、世界中の人たちが「中国に対して厳しい対応」をとることになっている。
今の状況では「(感染症)2類相当から5類への変更」は、振りだしに戻ってしまうだろう。
一部の厳しい水際対策を率先して行った、一部のEU諸国から遅れたとは言え、現在考えられる「水際対策」は有効だろうし、何より日本から中国への渡航を中国側が制限した、ということはメリットは大きいのではないだろうか?

2020年大流行した「新型コロナ」と、現在中国で爆発的に流行している「新型コロナ」は、単なる変異株なのだろうか?
流行の実態と合わせて、その点も中国政府に強く求める必要があると思う。


自分たちで考え、動き出す自治体が地方を変えるかもしれない

2023-01-06 21:36:50 | ビジネス

仕事の合間の息抜きに、YouTubeを見る事がある。
以前にも、エントリさせていただいたかもしれないのだが、最近「旅割」効果もあり全国各地の観光PR動画が、随分多くなってきている。
とはいえ、PR動画作成を大手広告代理店に依頼しているのか?構成が似ているな~と感じるPR動画も少なくない。
ただ、このようなPR動画をYouTubeで公開し、観光誘致をしようという動きは、これまでになかったことだと思う。
「コロナ禍」で「自分たちの地域をPRし、観光に結び付けるには?」ということを、考えた自治体が積極的に展開をしている、という印象だ。
「コロナ禍」そのもので、経済が停滞し地方の観光事業者たちは苦境に立たされたが、その状況を嘆くだけではなかった自治体が、今このようなPR動画をYouTubeに挙げているのだろう。

そのような動きの中で、ある自治体が「地元をPRする祭」を仕掛けている。
Huffpost:「映像で地元を盛り上げたい人とつながりたい」熊本県合志市の想いが全国へ「地元サイコゥ!映像祭」が映像作品と審査員を募集中 

このイベントの面白いところは、熊本県の合志市(「こうしし」)が、映像制作会社・株式会社ロボットと共同で企画している、という点だろう。
映像制作・株式会社ロボットのHPを見てみると、NETFLIXやHuluなどインターネットメディアの作品なども手がている様で、大手広告代理店とは違う印象を持つ。
そもそも、トップページに掲げている企業の考えが、「エンターティメントをビジネスソリューションに」だ。
「エンターティメントとビジネスとの間には、深くて広い溝がある」と、感じているある一定世代より上の人達からすると、ちょっとビックリするような考え方だ。
だが、エンターティメントそのもののビジネスは、「コロナ禍」で一時期縮小したかもしれないが、インターネットメディアという場所を得る事で、これまでとは違うビジネス展開がされるようになってきた。
その一例が、NETFLIXやHuluであったり、TVerのようなテレビ番組の見逃し配信サイトのような気がしている。
もちろん、今後は「コロナ禍以降の新しい生活スタイル」が、生まれてくると思われる。
それを一つのチャンスととらえている地方自治体もある、ということなのではないだろうか?

リモートワークの定着などが、「通勤する」ことに対する疑問のようなモノを持ち始めた若い世代もいるのでは?
もちろん、リモートだけでは伝わりきらない部分があるので、実際に顔を合わせ仕事をする、コトの大切さも理解しながらも始終顔を合わせる事で、不要な雑音のようなモノを受け取るストレスなども感じ始めているような気がするのだ。
特に、クリエイティブワークと呼ばれる職種の人達にとっては、そのような働き方を求めるようになるのでは?

これまで、地方ではできなかった映像などのエンターティメントの仕事を、地方に還元することで自治体が新しいビジネス環境を提供する、ということになっていくのかもしれない。
ただ、それができるのは行政に携わる人たちの創造性と危機感によるところが大きいと感じている。


インドの人口が、中国を抜いた

2023-01-05 20:53:22 | アラカルト

お正月休みから今日から、徐々に始動していきたいと思います。
本年もよろしくお願いします。

一昨日だったと思うのだが、インドが人口で中国を抜いた、という記事があった。
東京新聞:インド、今年は人口世界一に14億超、中国抜く 

これまで、中国の経済発展の要因の一つに「人口の多さ」があった。
「人口の多さ」は、「労働人口の多さ」という意味も含んでいる。
特に、日本では20年以上「少子化傾向」が続いていることから、「労働人口の減少」だけではなく「人口そのものの減少」が、様々なところで「国の衰退」ということが、言われている。
現代ビジネス:人口減少で衰退する日本は世界から取り残されるのか…「戦略的に縮む」という成長モデルの可能性 

現代ビジネスの記事は、「戦略的に縮む」ことで経済成長を目指す、ということを考えているのだが、一般的には「人口減少」は国の経済的な衰退と考えられるのは、上述した通り「労働人口の減少=生産力の低下」と考えられるからだ。
そのように考えると、中国はインドに追い抜かれるのか?ということになるのだが、果たしてどうなのか?という、疑問が若干ある。
というのも、インドには「カースト」と呼ばれる社会階層がはっきりとある、という点だ。
例えば、アジアの富裕者としてインドの財閥「タタ一族」がいる。
Digima:インド最大の財閥タタ・グループ‐タタの歴史・最新動向・成功の3つの理由を解説 

10年余り前だと思うのだが、インドの子ども達が3桁の掛け算の暗算ができる、と話題になったことがあった。
他にも、インド出身のIT技術者が先進諸国(特に米国)で、引っ張りだことなっている、という話題もあった。
これだけの情報を知ると、インドの教育の高さを感じるのだが、反面「カースト」の最下層の人たちの暮らしぶりの厳しさは、かつて「BRIC」として注目されていたインドのイメージとは大きくかけ離れている。
それは生活だけではなく、教育という点でも、社会全体が認めている「格差」だと考えても良いのではないだろうか?
そのような国内事情の問題を抱えているのが、インドである、と認識をすると、「人口の多さ」だけではない「労働人口」が見えてくるのでは?と、考えている。

一方中国だが、長い間の「一人っ子政策」により、急激な少子化が進んでいる。
ここ2,3年で「一人っ子政策」から方向転換をしたが、「労働人口」としての人口増となるのは、最低でも20年位の時間が必要となるはずだ。
そのような国の政策の変更と、文化や社会的背景を理解することで、「国の発展」という視点が違って見えるのではないだろうか?