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島への移動手段は、湖上を船で移動するしかなく、近江八幡市本土側の堀切新港と沖島港を沖島通船または契約船で移動します。
島は周囲6.8㌔、面積1.53㎡ですが、集落は漁港のある島の南西部に集中しており、後の場所は山と山裾にある小さな畑となっています。
島内には車はなく、自転車か徒歩での移動のみで電気・通信のライフラインは、本土との間の湖底ケーブルでつながっているそうです。
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早朝に出発して道路が空いていたので沖島通船の始発に間に合ってしまいましたが、既に大勢の方が船の到着待ちでした。
自分以外のほぼ全ての人が釣りの道具を持っておられましたので、沖島で釣りを楽しむためにやって来られた人達です。
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通船の乗船時間は約10分。あっという間に沖島に到着です。
目にする機会の多い沖島ですが、これが初めての上陸で山登り気分というより観光気分も結構あったりします。
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今回のルートは、最初に「奥津島神社」と「山神神社」に参拝して、ケンケン山(見景山)~尾山(蓬莱山)~蓬莱ヶ岳を経由して厳島神社に下山します。
沖島は西に奥津島神社のあるお椀型をした「頭山」があり、「ケンケン山」から「尾山」の縦走路が島の東西に延びています。
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奥津島神社は、712年に藤原不比等によって創祀されたと伝わり、奥津島比売命を御祭神として祀ります。
近江八幡市には奥津島神社が沖島の神社の他に、北津田町にも大嶋神社と合祀された「大嶋奥津島神社」があり、何らかの関係があったと思われます。
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奥津島神社の本殿のある場所の上に向かって「山神神社」の鳥居があり、更に上へと登って行きます。
沖島は、花崗岩により形成されていて良質な石材であり、湖上交通の利点があった為、江戸時代から明治にかけて採石が行われていたようです。
伐り出しの際に多くの死傷者が出たといい、犠牲者が出ないように「頭山(標高139m)」に山神神社を祀って祈願したとされている。
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山神神社から「頭山」へ登ることも出来るようですが、道はよく分からなかった。
踏み跡を辿るしか道がないようなので、頭山は未踏となりました。
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いったん山を下りて集落横の墓地が並ぶ道を歩いていくと「ケンケン山」の登り口がありました。
お墓の横をかなり長い間歩きましたが、沖島は平面が少ないので広々とした墓地が作れず、山に沿って横長の墓地となっているようでした。
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島自体が低山のような島で、登り口から最初のしばらくは樹林帯の中の急登を登ることになり、そのあとは尾根筋を歩きます。
所々にイノシシの根掘りの跡がありましたが、イノシシのいなかった沖島にイノシシが生息し始めたのは本土から泳いできたイノシシが定着したものとされます。
本土と沖島は近い場所で1.5㌔といいますので、イノシシの猪突猛進は湖上の泳ぎにも適用されているのですね。
島には罠を仕掛けているので立入禁止と書かれた場所もあり、シートを被せてしまっている畑もありますので被害は甚大のようです。
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陽あたりのいい尾根筋を歩いて行くと、ほどなく「ケンケン山(標高210m)」の山頂に到着します。
この日歩いた3つのピークとも山頂からの眺望はありませんでしたが、「ホオジロ広場」や「見はらし広場」など景観ポイントは準備されていました。
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ケンケン山からホオジロ広場に向かう途中で、蕾が開こうとしているイワカガミを一輪だけ発見。
今年のスプリングエフェメラルの第一号となりましたが、周辺はちょっとした群生になっていましたので、これからイワカガミの園になるのでしょう。
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琵琶湖を見降ろせてベンチまであるホオジロ広場に到着。
琵琶湖を眼下にして対面には湖西の平の山並み。蓬莱山にはびわ湖バレイの残雪しょうか、まだ雪があるのか白く見えます。
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ホオジロ広場から尾山方向へ進むと、これも今年第1号のショウジョウバカマを発見。
ショウジョウバカマもイワカガミも一輪だけしか咲いていなかったけど、出会えたのは嬉しい出来事でした。
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続いて見はらし広場へと到着。ここからは長命寺や伊崎寺のある山々が見えます。
ここで困ったのは見はらし広場のすぐ近くが「尾山」の山頂のはずなのに山頂が見つからない。
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山頂を探して踏み跡のある道を進んで行くと、山頂らしくない場所に尾山の山頂があった。
尾山は正確には「蓬莱山尾山(標高220.2m)」と表記されていて、すぐ近くには三角点もありました。
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さらに進んで行くと「蓬莱ヶ岳(標高224m)」の山頂表示のある場所を通ります。
景観のいい広場がいくつかある代わりに、各ピークには眺望がない山です。
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この先は下山コースになり、琵琶湖の畔に向かって下山することになります。
突如現れる巨石に驚きますが、沖島は花崗岩を伐り出していた島ですから、巨石は沢山あったと思われます。
尚、この岩の裏側にはもうひとつ大きな巨石があります。
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びわ湖の畔に出ると、湖中に赤い鳥居が立てられた「厳島神社」に到着して山はここまでとなります。
厳島神社は、琵琶湖に浮かぶ島の竹生島宝厳寺と同じ弁財天を祀り、水火風の災害を避け船の往来を守るものとして、また雨乞いの神として信仰されてきたという。
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神社は急な石段の上にありましたので登っていくと、ここにも巨石が居並びます。
飛松岩・笹岩・水弥山などの名前が付いているようですか、どの岩が回答するかは定かではない。
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境内の右には巨石が3つ。
厳島神社の祠の後ろにも巨石がそそり立っています。
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これだけ巨石があるにもかかわらず、結界が張られて祀られているのは、平たいさほど大きくはない岩でした。
この岩が厳島神社の磐座ということになるのでしょうか。
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厳島神社を過ぎると、琵琶湖に沿った琵琶湖の水位とさほど高さの変わらないような道を歩いて、写真の先端部にあるぽっこりした山の麓まで島を周遊する。
陽射しが良く、暖かい日でしたので、何とも気持ちの良い道を進む。
左には琵琶湖、右には畑が点在しているが、イノシシの罠が仕掛けられている場所もいくつかあった。
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沖島小学校まで戻ってくると、門の前にサンシュユの花が綺麗に咲いている。
ちょうど観光に来た人と居合わせたので、花を見ながらしばし話をして別方向に分かれる。
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沖島港まで戻ってくると船の出発まで20分ほどあり、周辺を散策する。
沖島で有名なもののひとつに細く迷路のように家が並ぶ路地がありますが、限られた土地を工夫した町並みとなっています。
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もうひとつ有名なのは、車のない沖島の交通手段の三輪自転車で、これは集落内で何台も見かけました。
四角い空き缶を自転車のサドルに被せているのは、朝早い時間から漁業の仕事に出る際に夜霧や雨に濡れて冷たくならないようにしているらしい。
四角いカンカンが主流ですが、鍋やタライを被せている三輪自転車もありました。
沖島漁港では観光客向けに三輪自転車のレンタルもやっていますので、三輪自転車に乗って路地を散策するのも楽しそうです。
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自転車か徒歩しかない沖島なのに、何故か「飛び出し坊や」の菜の花おばさんバージョンがありました。
沖島の集落を歩いていると、時間が進む速度が違うような穏やかさを感じてしまい、しばらくぼーとしていたくなります。
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では、沖島通船に乗って沖島から堀切新港へ戻ります。
沖島港を出発して沖島の全景が見えるまでの動画です。船から水面までが近いので画像を撮りながら結構怖かったりしました。
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