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龍王は水の化身とされ、農耕に必要な水を求める雨乞い神事に祀られたり、河川の氾濫の防止を祈念するなど水の神様とされます。
滋賀県の山中には雨乞い神事を行ったとされる場所や龍王・八大龍王を祀る祠がありますが、まずは車で行ける龍王さまに参拝しました。
「藤ヶ崎神社」は琵琶湖に面した岩場に「藤ヶ崎龍神」を祀り、後方の巨大な岩の間に「妙得龍神」を祀る「妙得龍王神社」があります。
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分かりにくい分岐から細い道を進んで行くと琵琶湖に突き出すように岩場があり、注連縄が掛かった磐座や真っ赤な鳥居が見えてきます。
琵琶湖はベタ凪で穏やかで波ひとつなく、対岸方向には積雪した比良山系のある美しい湖西の山々が望めます。
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赤い鳥居の先には磐座。
その向こうには琵琶湖が広がり、大岩の前に祀られた祠はまさに龍神の宿る場所の雰囲気があります。
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「藤ヶ崎龍神社」は、藤原藤太秀郷が平将門の追討に向かう際、瀬田の唐橋で大蛇に化けた龍神の願いを聞き、三上山の大百足を退治したという伝承に始まる。
藤原藤太は龍神に招待され、暫しの滞在を要請されるが、追討の任のため辞退したところ、藤原の一字をもらい、この地を藤崎と名づけ山麓の洞を龍神の妻の別宅とした。
( Wikipedia)
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大岩群の中の上部にある2つの大岩には注連縄が掛けられて磐座として祀られています。
山麓側が切り立った岩場になっているため、切り落ちた岩が集まったのか、切り出したのか、龍神を祀るために周囲の大岩を集めたのか。
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積み重なった磐座の先には長命寺山(330m)や津田山(425m)があり、対比するような位置にあります。
琵琶湖唯一の有人島の沖島も見えますが、その先には高島市の「白髭神社」のある方向になる。
神社などが向いている方向は、無作為に建てられたものではなく意図があるとよく言われていて、線で結んでいくと何か意味を見出せるかもしれませんね。
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「藤ヶ崎龍神社」には穏やかな天候の日にしか訪れたことはありませんが、龍神信仰のピリッとした空気感と心地よさが感じられる場所で好きな場所です。
琵琶湖をはさんで、降雪した湖西の山々と雪が全くない湖東の低山の対比も面白く、緩やかな時間が流れています。
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湖岸に突き出た「藤ヶ崎龍神社」とは真逆に「妙得龍王神社」は切り立った絶壁にぽっかりと開いた洞窟の中に祀られています。
由緒では琵琶湖に面した大岩には龍神が宿り、山麓の洞窟の中には龍神の妻が祀られているといいます。
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洞窟は通常は扉で塞がれていますが、参拝する人は扉を外してお参りすることが出来ます。
琵琶湖側の龍神社とほんの十数mはさんだ真っ暗な洞に龍や白蛇が祀られているのは少し違和感や怖さを感じがします。
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洞の中には小さな祠が祀られ、白蛇と龍の置物が祀られており、ここで2024年辰年の安寧を祈願します。
「藤ヶ崎神社」と「妙得龍王神社」を内宮・外宮とされることがありますが、2社は「五社神社」の境外社で、合わせて「藤ヶ崎龍神社」と呼ぶのは暗黙の承認だそうです。
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「妙得龍王神社」の横にも龍神が祀られている場所があり、白い砂利がひかれていてここにも龍神が宿るようです。
湖東地方には「湖東流紋岩」の地質が多くみられるといい、藤ヶ崎が該当するかは不明ながら、ここにも湖東特有の岩場がみられます。
(流紋岩:溶岩が地表近くで急に冷えて固まってできた岩)
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参拝を終えて「藤ヶ崎龍神社」を後にしますが、ベタ凪の琵琶湖は穏やかに包み込むような優しさがあります。
右側に見えている沖島には上陸したことがなく、琵琶湖にある4つの島のうち竹生島にしか行っていないので一度は訪れてみたいですね。
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