hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

知念実希人『硝子の塔の殺人』を読む

2021年11月02日 | 読書2

 

 

知念実希人著『硝子の塔の殺人』(2021年8月10日実業之日本社発行)を読んだ。

 

実業之日本社による内容紹介(前半の推薦文をカットしました)

作家デビュー10年 実業之日本社創業125年 記念作品

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!

 

本格ミステリとは、謎解きやトリックの面白さに特化し、リアリティを求めるというよりも、むしろ純粋な知的ゲームを楽しむものだ。

雪崩で陸の孤島化したガラスの館、集まったのは癖の強い10人、連続して起こる密室殺人、ダイイングメッセージ。医療ミステリで知られる知念実希人が作家デビュー10年目で初めて手掛けた本格ミステリ、構想20年の大部、約500頁の力作。

 

大富豪で著名な科学者、世界的なミステリコレクターである神津島太郎は、円錐形の硝子の塔の10階で暮らしている。彼は、その館に名探偵、ミステリ作家、月刊誌の編集長、霊能力者など9名を招待し、ミステリの歴史を覆すような未公開原稿を発表するという。だが神津島は専属医の一条遊馬に殺されてしまう。
引き続き、遊馬とは無関係の第二、第三の殺人事件が起こり、自信満々の名探偵の碧月夜(あおい・つきよ)は、よりによって遊馬を助手役にしてゲストたちを追及するが、事態は混迷を深め、あげくは最終段でも‥‥。

 

本格ミステリのお定まり文句「私は読者に挑戦する。…必要な情報はすべて開示された。…ぜひそれを解き明かして欲しい。…諸君の良き推理と、幸運を祈る」が、p342と、p426に2度出てくるのだ!

 

 

全登場人物

一条遊馬:主人公。第一殺人の犯人。神島の専属医。のワトソン役に立候補。ALSの妹・美香を看護する。

碧月夜(あおい・つきよ):探偵ではなく名探偵。20代半ばの女性。ミステリ・オタク。

神島島太郎(こうづ):蝶ヶ岳にある館の主人。数年前まで大学工学部教授で遺伝子治療製品トライデントを発明して大金を稼いだ。重度のミステリフリーク、コレクター。

加々美剛:長野県警捜査一課の刑事。

老田真三(おいた):執事

巴円香(ともえ・まどか):メイド。20代後半だが童顔。

酒泉大樹(さかいずみ):料理人

夢読水晶:自称霊能力者でテレビ番組に定期的に出演。

九流間行進(くるま):小説家。本格ミステリ界の重鎮。73歳。

左京公介:「月刊 超ミステリ」編集長

冬樹大介:13年前に発覚した「蝶ヶ岳神隠し」の犯人だが逃走し行方不明。

摩周真珠:昨年の冬、蝶ヶ岳に登山中に行方不明。

 

 

初出:「アップルブックス」配信2021年6月から7月まで連載

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

私はもともと本格ミステリが好みではない。リアルさがなく論理遊びだけで、楽しみが少ない上に、著者に操られ、「どうだ、分からないだろう」とおちょくられているような気がするからだ。

 

この本で謎を解くためのすべての情報は読者に開示されていると言うが本当だろうか? 例えばダイニングの窓ガラスや、加々美の事情などはあらかじめ開示されていなかったと思うのだが。

 

これは八つ当たりだが、私は作家というものは権力に批判的であって欲しいと願うし、とくに安倍前首相や自民党を支持するような精神構造の作家の存在価値は低いと決めつけたい。

でも、そう思いながら、この本を読んでしまったのが悔しい。

 

 

知念実希人(ちねん・みきと)の略歴と既読本リスト

 

 

コメント
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