hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

万城目学『八月の御所グランド』を読む

2024年07月23日 | 読書2

 

万城目学著『八月の御所グランド』(2023年8月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの紹介

第170回直木賞受賞作! 感動、感涙の傑作青春小説

死んだはずの名投手とのプレーボール
戦争に断ち切られた青春
京都が生んだ、やさしい奇跡


女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。

京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは--

今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇

 

 

「十二月の都大路上下(カケ)ル」

3年生と2年生のレギラー5人が都大路を走り、1年生はコースに散って応援する予定だった全国高校駅伝。突然、1年生の坂東(さかとう)はコーチに呼ばれ、地区大会優勝の功労者、心弓(ココミ)が貧血で欠場するから、代わりにアンタが走れと言われてびっくり。1年生では咲桜莉の方が、タイムが良いのだが、坂東の伸びを買われたのだ。しかし、絶望的方向音痴で、試走していないコースを間違わないか坂東は心配する。しかも、アンカーなのだ。

 

スタートは赤ユニホームの選手とほぼ同時で、唯一の曲がり角も、「右だよ、右!」の声に救われ、ラスト近くまで頑張って並走した。しかし、謎は、歩道を「誠」の字の着物を着たコスプレ(?)集団が走っていたことだった。

 

「八月の御所グラウンド」

丸ごと地獄の釜である八月の京都で、「あなたには火がないから」と、彼女に振られて旅行がなくなった4回生の朽木(くつき)は多聞から呼び出されて焼肉を食っていた。多聞は、三福教授からの卒業の交換条件として、炎天下の御所G(京都御所内にあるグラウンド)で朝6時から行われる野球5試合にメンバーを集めるという条件を出され、3万円の借財のある朽木も参加させられた。

 

毎試合、メンバー集めが困難で、研究室の学生の他、多聞が働く祇園のクラブの同僚でぎりぎり9名。誰かが休み、欠員必須の時、偶然やって来た中国留学生の烈女・シャオさん、その次も、えーちゃん他2名が偶然来て辛くもメンバーが揃う。謎のメンバーの正体は?

 

 

初出:「オール読物」の「十二月の都大路上下ル」2022年5月号、「八月の御所グランド」2023年6月号

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

「十二月の都大路上下(カケ)ル」:駅伝を走る選手の不安な心理が良く書けていて、元ジョギング愛好家としては「そうそう、そうなんだよな」と面白かった。スポーツ選手らしく、思いやりあるが、気持ちよくさっぱりしていて、好い話!

 

「八月の御所グラウンド」:今まで何十年も、メンバーが集まらない時には謎の人物が偶然のように現れて試合が成立してきたという。この謎の人物が現実の人なのか、亡霊なのか、判然としないまま話が進むところが面白い。

 

万城目さんの小説には、いつも亡霊なの?と疑いたくなる人が登場して、ミステリアス。

 

万城目学の略歴と既読本リスト

 

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