妙齢の美女が人妻と分かって気が抜けてしまった私は、雑談…いや感想戦をとっとと終わらせ、バトルロイヤル風間氏の将棋の観戦にまわった。ちなみにバトル氏の将棋を見るのは初めて。相手は私が2局目に戦った方だった。
中盤にチラッと見たときはバトル氏が優勢だと思ったが、次に見たときは以下の局面になっていた。
例によってその局面の一部を記す。図面の作り方が分からないので、というか分かっても作るつもりはないので、記載は符号のみ。暇な方は並べてください。
先手 バトル氏:3一飛、3二竜、3五歩、4七歩、4八金、5六歩、5九玉、6七歩、7六歩、7八金、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:角、銀、歩
後手:1一香、2一桂、2三歩、3七銀、4四歩、4五桂、5四歩、5七金、6一角、6二歩、6三銀、7一王、7二銀、7三歩、8一桂、8三歩、8八金、9一香、9四歩 持駒:大した駒はなし
ここからなんと、▲6一飛成△同銀、でバトル氏の投了。
そ、それはないだろう。自玉が受けなしと読んで後手王を詰ましにいったのだろうが、それならその前に▲5七金と持駒を補充しておくところ。以下△同桂成で先手玉は必死だが、そこで先手は▲6二竜と捨てる。王手を続けるには3二の飛車(竜)のほうを捨てるしかない。
△同王の1手に▲5三銀は△7一王で詰まないから、▲5三角。
以下△同王▲5一飛成△5二銀(△5二合駒は▲4二銀△4三王▲3四金△3二王▲3一竜まで詰み)▲4二銀△6三王▲6四歩△同王▲6二竜△6三合▲7五金、までピッタリ詰みだった。
第三者がこういう手を指摘すると、対局者のメンツが丸つぶれの面はあるが、バトル氏の快勝だったかもしれないのに「順当に負けた…」と本人が考えてしまったら、それは悲しいことである。だから余計なことと知りつつも、言わずにおれなかった。
さて4時からは懇親会。私は5勝だからトップかと思いきや、7連勝という強豪がいた。それぞれ希望の賞品を取って、自己紹介をする。私は佐藤康光九段の直筆色紙をいただき、皆さんの投稿を切に希望します、とコメントした。佐藤「九段」の肩書きは貴重と思う。
ついでだから過去に頂戴した賞品も書くと、05年・米長邦雄永世棋聖著「米長の将棋4・ひねり飛車」(マイコミ文庫)、07年・森内俊之名人(当時)直筆色紙、08年・船戸陽子女流二段直筆ミニうちわ。森内・佐藤元名人はともかく、船戸女流二段のミニうちわは、それだけで3,000円以上の価値がある(交流会の参加費は3,000円である)。
自己紹介が終わると、雑談タイム。私のふたり隣りに、詰将棋界というか、清水市代女流名人・女流王将のファンで有名なT氏がいた。私もLPSAのイベント等で何度か顔を合わせたが、初めて言葉を交わしたのは、今年に入ってからだったと記憶する。
「今日は東京會舘へ行かなくていいんですか?」と振ると、T氏は「もう…みんなから言われる」と苦笑する。彼は先日のLPSA ファンクラブイベントに出席し、クイズコーナーを選択したそうだ。しかし結果は3位で、相当悔しかったらしい。
私が「松尾女流初段はどこのプロ野球チームのファンか、とかいうクイズが出たらしいですけど、あれって基本中の基本ですよねぇ」と言うと、彼も「基本です」と同意する。
「ですよねぇ。だから、松尾女流初段は広島県出身ですが、何島の出身でしょう? ぐらいの問題にしないとダメですよねぇ」
「そのとおりです。そりゃ、誰々がどこの学部の出身で、なんの教員免許を持ってるか、なんて知りませんよ。だけど我々が知り得る範囲の知識だったら、そのくらいはスラスラ答えられないとダメです」
なんだか混同しそうだが、下のほうはT氏の言葉である。しかしこれとまったく同じ言葉を、私はこの前日のアフターサロン(金曜サロン後の食事会)で発言している。T氏はたぶん、腹を割って話せば相当おもしろい人なのだろう。しかしこのオタクぶりは自分自身を見ているようで、どうも親しくなるのを躊躇してしまう。
バトル氏は、さきほどの妙齢の人妻に、似顔絵を描いてあげている。これが、バトル氏自身が絶賛するぐらい本人にそっくりで、さすがはマンガ家と感心した。私も以前描いていただいたことはあるが、こんなに気合いを入れていただいていただろうか。少なくとも絵のほうは、もっとマンガチックだった。
この後、幹事のA氏がきて、常連の会員と3人で、観戦記は情景描写を優先するか、指し手の変化手順を重要視するかについて議論する。たまにはマジメな話もするのである。
7時になったので、二次会へ参加する。店に入ると、湯川統括幹事が「こっちこっち」と私を自分のテーブルへ呼ぶ。見ると、なんだかメンツがヘビーである。
石橋女流王位と石橋ママの間に座ると、対面にはバトル氏が座った。その右には湯川幹事、さらにその右には、二上達也ペンクラブ名誉会長がすでに先乗りしていた。
石橋女流王位と中井広恵女流六段の間に座るのもプレッシャーがかかると思うが、石橋母娘の間に座るのも、相当な圧迫感がある。バトル氏を正面から見る機会はあまりないが、本当に顔がでかい。横の湯川氏はなにか面白くないことでもあったのか、あの顔でしかめっ面をし、うつらうつらしている。ただでさえ恐い顔なのに、あれでは鬼瓦だ。その横の二上名誉会長は、瞑想しながら盃を傾けている。
なんだか凄まじい絵図だ。これで「将棋」というキーワードがなかったら、相当あぶない組織の会合だと思われそうだ。
この席では、私が食事や軽食を頼まなかったので、石橋ママがだいぶ気を遣ってくださり、恐縮した。
「まあー、ジェントルマンねえ」
と、やたら褒めてくれる。しかし否定する理由がないので、黙って聞いておく。うしろのテーブルでは、ライトな会員が集まって談笑している。そちらに移動したいが、席替えしたいです、などと小学生みたいなことは言えない。
結局まともに話せるのはバトル氏しかおらず、マンガの裏話を聞いたりしたが、これがすこぶる面白かった。ただ周りの話声もうるさいので、適当に「はい、はい」と答えたときもあった。と、バトル氏が、同じ言葉を私に投げかけてくる。よくよく聞いたら、「あなたは何歳?」と言っていたのだった。
何歳か訊かれているのに、「はい、はい」はない。
そんな二次会は、とりあえず9時すぎに中締めとなった。年に一度の、とても楽しい会だった。帰宅すると10時を回っていたが、大丈夫。「MR.BRAIN」は、ちゃんとタイマー録画してある。
中盤にチラッと見たときはバトル氏が優勢だと思ったが、次に見たときは以下の局面になっていた。
例によってその局面の一部を記す。図面の作り方が分からないので、というか分かっても作るつもりはないので、記載は符号のみ。暇な方は並べてください。
先手 バトル氏:3一飛、3二竜、3五歩、4七歩、4八金、5六歩、5九玉、6七歩、7六歩、7八金、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:角、銀、歩
後手:1一香、2一桂、2三歩、3七銀、4四歩、4五桂、5四歩、5七金、6一角、6二歩、6三銀、7一王、7二銀、7三歩、8一桂、8三歩、8八金、9一香、9四歩 持駒:大した駒はなし
ここからなんと、▲6一飛成△同銀、でバトル氏の投了。
そ、それはないだろう。自玉が受けなしと読んで後手王を詰ましにいったのだろうが、それならその前に▲5七金と持駒を補充しておくところ。以下△同桂成で先手玉は必死だが、そこで先手は▲6二竜と捨てる。王手を続けるには3二の飛車(竜)のほうを捨てるしかない。
△同王の1手に▲5三銀は△7一王で詰まないから、▲5三角。
以下△同王▲5一飛成△5二銀(△5二合駒は▲4二銀△4三王▲3四金△3二王▲3一竜まで詰み)▲4二銀△6三王▲6四歩△同王▲6二竜△6三合▲7五金、までピッタリ詰みだった。
第三者がこういう手を指摘すると、対局者のメンツが丸つぶれの面はあるが、バトル氏の快勝だったかもしれないのに「順当に負けた…」と本人が考えてしまったら、それは悲しいことである。だから余計なことと知りつつも、言わずにおれなかった。
さて4時からは懇親会。私は5勝だからトップかと思いきや、7連勝という強豪がいた。それぞれ希望の賞品を取って、自己紹介をする。私は佐藤康光九段の直筆色紙をいただき、皆さんの投稿を切に希望します、とコメントした。佐藤「九段」の肩書きは貴重と思う。
ついでだから過去に頂戴した賞品も書くと、05年・米長邦雄永世棋聖著「米長の将棋4・ひねり飛車」(マイコミ文庫)、07年・森内俊之名人(当時)直筆色紙、08年・船戸陽子女流二段直筆ミニうちわ。森内・佐藤元名人はともかく、船戸女流二段のミニうちわは、それだけで3,000円以上の価値がある(交流会の参加費は3,000円である)。
自己紹介が終わると、雑談タイム。私のふたり隣りに、詰将棋界というか、清水市代女流名人・女流王将のファンで有名なT氏がいた。私もLPSAのイベント等で何度か顔を合わせたが、初めて言葉を交わしたのは、今年に入ってからだったと記憶する。
「今日は東京會舘へ行かなくていいんですか?」と振ると、T氏は「もう…みんなから言われる」と苦笑する。彼は先日のLPSA ファンクラブイベントに出席し、クイズコーナーを選択したそうだ。しかし結果は3位で、相当悔しかったらしい。
私が「松尾女流初段はどこのプロ野球チームのファンか、とかいうクイズが出たらしいですけど、あれって基本中の基本ですよねぇ」と言うと、彼も「基本です」と同意する。
「ですよねぇ。だから、松尾女流初段は広島県出身ですが、何島の出身でしょう? ぐらいの問題にしないとダメですよねぇ」
「そのとおりです。そりゃ、誰々がどこの学部の出身で、なんの教員免許を持ってるか、なんて知りませんよ。だけど我々が知り得る範囲の知識だったら、そのくらいはスラスラ答えられないとダメです」
なんだか混同しそうだが、下のほうはT氏の言葉である。しかしこれとまったく同じ言葉を、私はこの前日のアフターサロン(金曜サロン後の食事会)で発言している。T氏はたぶん、腹を割って話せば相当おもしろい人なのだろう。しかしこのオタクぶりは自分自身を見ているようで、どうも親しくなるのを躊躇してしまう。
バトル氏は、さきほどの妙齢の人妻に、似顔絵を描いてあげている。これが、バトル氏自身が絶賛するぐらい本人にそっくりで、さすがはマンガ家と感心した。私も以前描いていただいたことはあるが、こんなに気合いを入れていただいていただろうか。少なくとも絵のほうは、もっとマンガチックだった。
この後、幹事のA氏がきて、常連の会員と3人で、観戦記は情景描写を優先するか、指し手の変化手順を重要視するかについて議論する。たまにはマジメな話もするのである。
7時になったので、二次会へ参加する。店に入ると、湯川統括幹事が「こっちこっち」と私を自分のテーブルへ呼ぶ。見ると、なんだかメンツがヘビーである。
石橋女流王位と石橋ママの間に座ると、対面にはバトル氏が座った。その右には湯川幹事、さらにその右には、二上達也ペンクラブ名誉会長がすでに先乗りしていた。
石橋女流王位と中井広恵女流六段の間に座るのもプレッシャーがかかると思うが、石橋母娘の間に座るのも、相当な圧迫感がある。バトル氏を正面から見る機会はあまりないが、本当に顔がでかい。横の湯川氏はなにか面白くないことでもあったのか、あの顔でしかめっ面をし、うつらうつらしている。ただでさえ恐い顔なのに、あれでは鬼瓦だ。その横の二上名誉会長は、瞑想しながら盃を傾けている。
なんだか凄まじい絵図だ。これで「将棋」というキーワードがなかったら、相当あぶない組織の会合だと思われそうだ。
この席では、私が食事や軽食を頼まなかったので、石橋ママがだいぶ気を遣ってくださり、恐縮した。
「まあー、ジェントルマンねえ」
と、やたら褒めてくれる。しかし否定する理由がないので、黙って聞いておく。うしろのテーブルでは、ライトな会員が集まって談笑している。そちらに移動したいが、席替えしたいです、などと小学生みたいなことは言えない。
結局まともに話せるのはバトル氏しかおらず、マンガの裏話を聞いたりしたが、これがすこぶる面白かった。ただ周りの話声もうるさいので、適当に「はい、はい」と答えたときもあった。と、バトル氏が、同じ言葉を私に投げかけてくる。よくよく聞いたら、「あなたは何歳?」と言っていたのだった。
何歳か訊かれているのに、「はい、はい」はない。
そんな二次会は、とりあえず9時すぎに中締めとなった。年に一度の、とても楽しい会だった。帰宅すると10時を回っていたが、大丈夫。「MR.BRAIN」は、ちゃんとタイマー録画してある。