一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

悪夢の社団戦Ⅱ(後編)

2009-10-22 00:10:51 | 社団戦
午後、2回戦開始。相手は「LPSA月組」のS氏だった。同じ団体名の選手と当たるのは味が悪いが、同じチーム名でなければ、決勝戦でない限り構わないらしい。
S氏はマンデーレッスンの常連なのだろうか。LPSA駒込サロンは、マンデーレッスンと金曜サロンをかけもちしている会員は少なく、水曜サークルも含めて、私の知己はほとんどいない。だからS氏とも初顔合わせだった。
そのS氏、1回戦は私の右隣りで指していたが、大きな見落としがあり、あっさりと敗れていた。そんな彼と2回戦で当たって、私の気持ちに多少の余裕ができたのは確かである。
戦型は、後手番S氏のゴキゲン中飛車。いまや後手番の定番戦法である。S氏も、かなり指し慣れている感じがした。
私は☗3六銀と繰り出し、☗3四銀、と歩を掠め取る。以下☗2三銀成☖同金☗2四歩の突撃は、以前島井咲緒里女流初段相手に指したことがあり、まずまずの戦いだった。
しかし本局はさらに欲張って☗2四歩☖同歩☗同飛と指した。これで2筋突破は受からないと思いきや、☖5四飛と浮かれて、こちらは身動きが取れなくなり、往生した。このあたりは、ゴキゲン中飛車を指すにあたっての必須項目らしく、己の勉強不足を痛感した。
しかし本譜は☗2三歩以下こちらの辛抱が実り、形勢を盛り返した気がした。後手は☖3四金の遊び駒が痛い。私は中央を厚くして十分と見ていたが、後手も2筋に飛車を廻り、と金を作って飛車成りを見せる。
私の飛車は7九に蟄居し、後手は☖7三銀打とガッチリ守り、スキを見せない。さらに☖6四桂と☖8四桂が、こちらの2枚の守備金との交換になっては、いつの間にかこちらが敗勢となった。数手指して、幾ばくもなく投了。まさかの2連敗となってしまった。
こんなヒドイ将棋、感想戦などやるところはないのだが、S氏は「初手からやりましょう」と言う。あまり気が進まないが、付き合うしかない。私は中盤まで十分だと思っていたし、S氏も模様が悪いと感じていたという。それなのに完敗したのは、存外形勢は離れていなかったのかもしれない。私の大局観が悪かったということだ。
それにしても、マンデーレッスン生徒の実力の高さには驚いた。今度、駒込サロン曜日別対抗戦でもできたら、面白い戦いになるのではなかろうか。
打ちひしがれて、私はLPSAブースに顔を出す。今度は藤田麻衣子女流1級に加え、藤森奈津子女流三段、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段らがいる。
私が「負けましたよ。負けましたですよ。2連敗ですよ」と自虐気味に言うと、船戸女流二段と藤田女流1級が、「癒しビーム」を発射してくれた。なんだかよく分からないが、どのくらい効くのだろうか。
3回戦。また私の先手番となった。後手はまたも中飛車できたが、角道を止めてくれたので、私は☗4五歩から仕掛ける。以下、こちらの攻め駒が綺麗に捌け、短手数で快勝した。私の消費時間は、4分8秒だった(この将棋のみ、秒が出る対局時計を使用した)。
最終4回戦も、私の先手。後手の三間飛車穴熊に、☗4五歩から仕掛ける。こちらが歩切れで難しい局面もあったが、☖3二金が自王の守りから離れて疑問だったようで、この将棋も私の快勝となった。消費時間は10分足らず。早指しで自分のペースに持ちこめたことが、勝利の要因になったと思う。
横を見ると、先ほどのS氏が、今度は敗退していた。しかし彼は、また初手から感想戦を始めていた。勝っても負けても、悪びれずに感想戦を行う。これは上達の近道であるし、大いに見習わなければいけないと思った。
けっきょくこの日の私は、トータルで2勝2敗。可も不可もなく、面白くもなんともない結果となった。とてもこのまま真っ直ぐ帰る気にならず、「用事がある」というY氏をムリヤリ引き留め、近くの喫茶店に軟禁した。ふたりとも下戸なので、それでいいのである。
Y氏が、「一公さんは甘党なの?」と訊く。私が旅先の喫茶店で、コーヒーとケーキを食す習慣があることを指しての問いかけである。
「ああ、あれはボンヤリする時間を作るためのものだから」
結局、私がコーヒー、Y氏がなんとかいうコーヒーとケーキのセットという、オジサンふたりの妙なオーダーとなった。
寡黙だけど鋭いことを言うY氏と、人の話を聞かずに、ひとりでしゃべりまくる私とのチグハグな会話は、それはそれでけっこう面白かった。私たちは午後5時すぎに入って、けっきょく閉店の7時半まで、そこで粘ったのだった。
コメント (4)
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