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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流棋士との親睦将棋会2015(後編)

2015-04-02 21:45:48 | 将棋イベント
私は入場ハガキと指導対局券を提示する。と、指導対局券に「16時45分~17時45分です」と書かれてあったのでひっくり返った。
さっきの抽選は、1回戦と2回戦込みだったのだ。ということは、1部の指導対局もそうだった可能性が高い。
ともあれ正規の対局者にお詫びして、私は一時退散。ステージ上の「次の一手名人戦」を観戦することにした。
今回は甲斐智美女流王位・倉敷藤花×香川愛生女流王将の対戦。棋譜読み上げは伊藤明日香女流初段、記録は熊倉紫野女流初段。解説は矢内理絵子女流五段と山田久美女流四段の、泣く子も黙るお姉さまコンビである。
戦型は後手番・甲斐女流二冠のゴキゲン中飛車+穴熊。こちらの観戦客は80人くらいか。
先手・香川女流王将の手番で三択タイムとなった。「▲9八香」などが候補に挙がったが、私は頭の中で「その他」を選んでみる。
が、正解は「▲9八香」。もしこちらの企画を選択していたら、私はここで脱落していたことになる。
会場中央は「ぐるぐる将棋」。いろいろな女流棋士とお手合わせしたい人は、こちらがよい。
指導の女流棋士を眺めていると、森安多恵子女流四段、村田智穂女流二段、上田初美女流三段、千葉涼子女流四段、安食総子女流初段、真田彩子女流二段、北尾まどか女流二段、斎田晴子女流五段、塚田恵梨花女流2級、高浜愛子女流3級、竹俣紅女流2級、和田あき女流初段、伊藤沙恵女流初段、山根ことみ女流1級(当時)、山口絵美菜女流3級、藤田綾女流初段など、多士済々だ。
私は写真撮影券を購入していないが、対局席に座って女流棋士をパチリ、とやるのもいいかもしれない。ただし肝心の室谷由紀女流初段がおらず、彼女はきょう、裏方に徹するようだ。
Kur氏がふらふらしていた。第1部では長谷川優貴女流二段に指導を受けていたが、どうなったか。
「対局はどうでした」
「勝ちました」
「手合いは?」
「角桂落ち」
「……」
ジョナ研メンバーではR氏もヘンな手合いを所望するが、Kur氏も相当だ。
なおも会場内を歩くと、Tat氏がいたのでビックリした。
Tat氏はLPSA駒込サロンの後期常連で、LPSA芝浦サロンにもかなり顔を出していた。「第1回信濃わらび山荘将棋合宿」に参加したこともあるが、酒豪なのが玉にキズ。そのうちサロンにも来なくなり、私は彼が肝臓を患ったと信じて疑わなかった。が、どっこい彼は元気だった。
Tat氏、
「また将棋指しに行きますよ」
とのことだった。
会場の表では、加藤桃子女王・女流王座、清水市代女流六段、室田伊緒女流二段、西山朋佳奨励会二段のサイン会が行われている。
さて、ぐるぐる将棋も2回戦制なので、1局目はそろそろ終盤である。と、ここで室谷女流初段が飛び入り参加した。
やっぱり、室谷女流初段は将棋を指している姿がいちばん絵になる。しかしそうか…。これだったら、ぐるぐる将棋にする手もあったが、まあこれは結果論であろう。
午後4時45分になるのを待って、改めて貞升南女流初段の前に座る。私はさっきと同じ手順を踏襲するつもりだが、貞升女流初段のほうで変えてきたら、こちらも作戦を変更しようと思った。

上手:女流初段 貞升南
下手:一公
▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七角△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉▲3八玉△5四歩▲5八金左△5二金右▲5六歩△4二銀▲2八玉△1四歩
▲1六歩△7四歩▲3八銀△6四歩▲8八飛△5三銀左▲4六歩△7三銀▲6七銀△8四銀▲4七金△7五歩▲7八飛△7六歩▲同銀△7五歩▲6七銀△7三銀▲9八香△6五歩(図)

▲7六歩に、貞升女流初段は△3四歩。さっきは△8四歩だったので、私のほうも▲6六歩と手を変える。と、貞升女流初段が怪訝そうな顔をした(ように見えた)。この人、さっきは居飛車を明示したのに…という顔だった。
私は三間飛車に振り、貞升女流初段は△6四歩。貞升女流初段は女流棋界には珍しい急戦派で、果たして本局もそうなった。
私は▲8八飛と先受けする。これで上手はどうするのだろうと見ていると、△7三銀と来た。なるほど、居飛車はこうやって攻めるのか。
32手目△7五歩に▲7八飛と寄り、下手2手損。どうも、雲行きが怪しくなってきた。
貞升女流初段は△7五歩と打ち、△7三銀と銀の繰り替え。次は△7四銀と思いきや、△6五歩と二の矢が飛んできた。ここで私が間違える。

▲5八飛△8六歩▲同角△6六歩▲7八銀△6七歩成▲同銀△9九角成▲7七桂△8五歩▲9五角△8四銀▲同角△同飛▲6五桂△6四銀▲5五歩△6五銀▲6六歩△同銀
まで、60手で貞升女流初段の勝ち。

言うまでもないが、このブースは初手から30秒である。女流棋士側は2面指しだから平均15秒で指さねばならない。しかしプロは早指しを苦にしないだろう。
私は▲5五歩△同角▲5八飛を読んでいたが、秒にせかされ、先に▲5八飛と回ってしまった。途端に△8六歩~△6六歩とされ、もう下手勝てない。
58手目△6五銀に▲5四歩は△5五桂なので、私は馬筋を止めるべく▲6六歩と打ったが、貞升女流初段によろこんで△同銀と取られた。
歩切れの相手に歩を渡して銀を進出させるなど自殺行為だ。私は戦意喪失し、「負けました…」と投了した。これまたずいぶん早かった。
もうひとりが対局中だが、とりあえず感想戦を行う。貞升女流初段は「△9九角成に▲7七角△8九馬▲7八銀がイヤだった」と言ったが、それは△同馬▲同飛△8七飛成ぐらいで、下手に未来がないと思う。
貞升女流初段のフォローがフォローにならないほどひどい、下手の拙局だった。
もう一局どうですか、という貞升女流初段のありがたい申し出を断り、席を立って腕時計を見ると、4時54分だった。第1部は20分足らずの対局だったが、今回は10分足らずである。せっかくの指導対局なのだから、もっと大事に指すべきなのに、何を私は焦っていたのか。まったくイヤになった。
ステージの対局は熱戦になっている。将棋ファンが注視している中では、お互い負けられないところだ。若干、甲斐女流二冠がよさそうだ。
次の一手候補に、指名された高橋和女流三段が「△7二飛」を挙げる。しかし勝ち抜き者は全員不正解で、やり直しとなった。
テレビ局とカメラが、販売ブースにいた室谷女流初段にインタビューを取っている。これを「仕事上の特権」という。
ぐるぐる対局の2回戦は、対局者が少なかった。でもきょうの入場者は、200人を越えたのではなかろうか。
ステージでは「次の一手名人」がやっと決まり、これからはふつうの対局となる。ちなみに名人の副賞は、谷川浩司九段揮毫入りの、二寸盤だった。
和田女流初段が横を通ったので、挨拶する。
「マイナビは残念でした」
「はい」
あきちゃん、すっかりプロの顔になった。
「これからチャンスはいくらでもあるよ」
これは本心から言った。が、さすがにここでは、食事会の話はできなかった。
北尾女流二段が近くに来たので、挨拶する。
「ねこまどが盛況なようで」
「お陰様で」
北尾女流二段には、実業家の顔がよく似合う。これからも将棋普及に邁進してもらいたい。
藤田女流初段と室谷女流初段が壁際に立ち、入場客が撮影していた。その後ろにも何人か並んでいる。たしかにふたりは魅力的だが、順番待ちをしてまで撮影したくない感じだ。もっとも、私に撮影権はないのだが。
ぐるぐる将棋はほとんどの対局が終わり、数局を残すのみである。室谷女流初段が再び、ぐるぐる将棋に入る。袴姿なのにカカトの高いクツを穿いているが、それがまたよく似合う。まるで「ハイカラさんが通る」のようだ。
ステージの対局が終わり、甲斐女流二冠が勝った。時間が20分ほど残っていたので、感想戦も長めに行われた。
それを私は後方のスペースでボーッと聞いている。ぐるぐる将棋もすべて終わり、長テーブルを率先して片付ける室谷女流初段がいた。実行委員は大変なのだ。
感想戦も終わり、時刻は6時地近く。そろそろ閉会の時間である。閉会の挨拶は、関根紀代子女流棋士会名誉会長。
「…私はウバ桜になってしまいましたが、これからも女流棋士会をよろしくお願いいたします」
場内が温かい拍手に包まれた。
参加費1万円はかったが、あっちを見てもこっちを見ても女流棋士ばかりで、とても幸せな気分に浸れた。
…気が付くと、女流棋士がひとりもいない。怪訝に思い振り返ると、出入口のところまでビッシリと、女流棋士の花道ができていた。
庭の桜に負けない艶やかさ! 女流棋士会の未来は桜色だと感じた。
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安西勝一六段、引退

2015-04-02 12:50:00 | 男性棋士
きのうの王将戦・安西勝一六段と石井健太郎四段の一戦は、石井四段の勝ち。安西六段は規定により、これをもって引退となった。
通算成績は、715戦283勝432敗・勝率.3958。現役生活29年は本人の予定ではなかったろうが、これが厳しい勝負の世界である。
もっとも周りを見ると、現役のときより引退してからのほうが、忙しい棋士が多い。安西六段もすでに、新たな一歩を踏み出しているようである。今後の安西六段の活躍に期待したい。
安西先生、現役生活、お疲れ様でした。
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