2014年12月、長崎を旅行した際に「青春18きっぷ」を購入したため、それを消費すべく、再び旅行に出る必要に迫られた。
行きのANAで機内誌を読んだ時、山形県のラーメンが紹介されており、むしょうに食べたくなった。山形のあたりは蕎麦も有名で、蕎麦街道なるものもある。私は食に重きを置かないほうだが、年末の旅行先はここにしようと思った。
2014年は12月28日で仕事納め。翌29日から2泊3日で東北方面への旅に出た。
29日(月)朝。飛行機なら時間が決まっているから動かねばならないが、今回はオール「青春18きっぷ」利用なので、いつ出掛けてもよい。これが私の腰を重くする。
テレビでは「暴れん坊将軍」の再放送をやっていて、これがなかなか面白い。しばらく見ていたら、かなりヤバイ時間になってしまった。いくら時間に融通が利くといっても、今日泊まる宿は決まっている。逆算するとそれほど余裕もなく、さすがに焦って、11時過ぎに、私は家を出た。
最寄り駅の改札で青春18きっぷにスタンプを捺してもらおうとしたが、前のカップルが忘れ物をしたとかで窓口にへばりつき、数分待たされた。人生、どこでタイムロスを食らうか分からない。
田端から京浜東北線に乗り、赤羽で新宿湘南ライン・特別快速に乗り換える。赤羽発11時32分。車内はそこそこ人が多く、浦和までは立って行った。
大宮で宇都宮線に乗り換える。鈍行列車の旅に乗り換えはつきもので、これを億劫がっていては、旅はできない。もっとも大宮で乗り換えるなら、赤羽からこの宇都宮線に乗るべきだった。我が「時刻表」はスマホの鉄道アプリなので、ダイヤを俯瞰的に見ることができず、多少ムダ足をすることがある。
12時37分、古河着。ここがこの電車の終着である。次の待ち時間まで30分。私はとりあえず駅を出た。
古河といえば、本田小百合女流三段の出身地だ(というのは誤りで、実際は熊倉紫野女流初段の出身地。旅行当時は勘違いしていた)。ちょうど昼の時間なので、このあたりで食事を摂りたい。駅に隣接して中華料理屋があるが、ちょっと混んでいる。五目ヤキソバ842円や、ラーメン・半チャーハンのセット830円などは大いに食欲をそそられるが、ほかの店も見てみたい。
駅から少し歩いたところに、やはり中華料理屋があった。ここも美味そうだが、やはり客が多そうだ。
駅前に戻ると、満席になっていた。グズグズしていて、入りそびれた。これが私の人生である。どちらも本田女流三段(熊倉女流初段)が入ったことがあると思うと名残惜しいが、持ち時間が少なくなったこともあり、駅に戻った。
駅構内に立ち食いそば屋があったので、入る。今回は麺紀行なのだ。かけそば290円。こういう店のそばは例外なくうまい。ここもそうだった。
13時07分発の快速に乗る。車内はまだ人が多く、小山まで立つ。13時45分、宇都宮着。下車して餃子を食べたいが、どうも時間がないようだ。朝に余裕を持ちすぎて、今日は列車に乗りっ放しになるようであった。
タイム5分で黒磯行きに乗り換える。車内ではロングシートの向かいに座っていた小学生が、クリアファイルに入った路線図を熱心に見ていた。一人旅だろうか、どうも私より準備がいい。
14時42分、黒磯着。この駅で直流と交流に分かれるので、大抵の列車が乗り換えを余儀なくされる。次の発車まで50分。これが今日唯一の観光となる。
駅前にはすでに門松が飾られていた。こういう年末年始の光景が私は好きである。黒磯からは以前、那須温泉にお邪魔する時に路線バスを利用したことがある。しかし今回は時間がない。
市内をぶらぶらすると、古い建物が多く、なかなか味わい深い。駅前の突き当りを左折すると、郵便局が見えてきた。今日は平日なので、貯金ができる。「黒磯中央町郵便局・1,229円」。局内ではキャラクターグッズが売られており、私はキティちゃんステーショナリーポーチ(830円)と、アンパンマンぽち袋(108円)を買った。これはめいとおいへのお土産となる。
観光、といってももう時間がない。駅前に戻り、蕎麦屋に入って昼食である。蕎麦の基本は具がないものと心得ているので、もちろんもりそばを頼む(530円)。
蕎麦はツルツルしていて、美味かった。しかし蕎麦の風味は欠けたかもしれない。
店を出ると、道路を隔てた反対側に、石造りの和菓子屋があった。明治屋、とあった。
こういう店は、外観で得をしている。いかにも歴史が古そうで、名品を売っていそうではないか。
羊羹がウリのようで、私は「本練大納言(塩味)」(1,080円)と、大福(130円)を買った。初日からお土産を買うのは味が悪いが、この程度なら荷物にならない。
黒磯から東北本線に乗る。いままでも東北本線に乗っていたのだが、黒磯までは「宇都宮線」のほうが通りがいいようだ。
ここまで来ると、さすがに乗客も少なく、余裕で座れるようになってきた。空は早くもたそがれている。
約2時間列車に揺られて、17時31分、福島着。タイム4分の待ち合わせで、仙台行きに乗った。
18時59分、定刻を1分遅れて、仙台着。ここでの持ち時間は約40分である。もちろん仙台でも蕎麦を食べたいが、駅周辺にあるだろうか。
空はすっかり暗くなっていた。仙台駅前は広く、その喧騒は東京に勝るとも劣らない。シャレた建物も多く、やはりシャレたショップが入っている。私には縁のない世界である。
しかしこの調子では蕎麦屋はないな…と思ったら、立ち食い蕎麦屋風の食堂を見つけた。
(10日につづく)
行きのANAで機内誌を読んだ時、山形県のラーメンが紹介されており、むしょうに食べたくなった。山形のあたりは蕎麦も有名で、蕎麦街道なるものもある。私は食に重きを置かないほうだが、年末の旅行先はここにしようと思った。
2014年は12月28日で仕事納め。翌29日から2泊3日で東北方面への旅に出た。
29日(月)朝。飛行機なら時間が決まっているから動かねばならないが、今回はオール「青春18きっぷ」利用なので、いつ出掛けてもよい。これが私の腰を重くする。
テレビでは「暴れん坊将軍」の再放送をやっていて、これがなかなか面白い。しばらく見ていたら、かなりヤバイ時間になってしまった。いくら時間に融通が利くといっても、今日泊まる宿は決まっている。逆算するとそれほど余裕もなく、さすがに焦って、11時過ぎに、私は家を出た。
最寄り駅の改札で青春18きっぷにスタンプを捺してもらおうとしたが、前のカップルが忘れ物をしたとかで窓口にへばりつき、数分待たされた。人生、どこでタイムロスを食らうか分からない。
田端から京浜東北線に乗り、赤羽で新宿湘南ライン・特別快速に乗り換える。赤羽発11時32分。車内はそこそこ人が多く、浦和までは立って行った。
大宮で宇都宮線に乗り換える。鈍行列車の旅に乗り換えはつきもので、これを億劫がっていては、旅はできない。もっとも大宮で乗り換えるなら、赤羽からこの宇都宮線に乗るべきだった。我が「時刻表」はスマホの鉄道アプリなので、ダイヤを俯瞰的に見ることができず、多少ムダ足をすることがある。
12時37分、古河着。ここがこの電車の終着である。次の待ち時間まで30分。私はとりあえず駅を出た。
古河といえば、本田小百合女流三段の出身地だ(というのは誤りで、実際は熊倉紫野女流初段の出身地。旅行当時は勘違いしていた)。ちょうど昼の時間なので、このあたりで食事を摂りたい。駅に隣接して中華料理屋があるが、ちょっと混んでいる。五目ヤキソバ842円や、ラーメン・半チャーハンのセット830円などは大いに食欲をそそられるが、ほかの店も見てみたい。
駅から少し歩いたところに、やはり中華料理屋があった。ここも美味そうだが、やはり客が多そうだ。
駅前に戻ると、満席になっていた。グズグズしていて、入りそびれた。これが私の人生である。どちらも本田女流三段(熊倉女流初段)が入ったことがあると思うと名残惜しいが、持ち時間が少なくなったこともあり、駅に戻った。
駅構内に立ち食いそば屋があったので、入る。今回は麺紀行なのだ。かけそば290円。こういう店のそばは例外なくうまい。ここもそうだった。
13時07分発の快速に乗る。車内はまだ人が多く、小山まで立つ。13時45分、宇都宮着。下車して餃子を食べたいが、どうも時間がないようだ。朝に余裕を持ちすぎて、今日は列車に乗りっ放しになるようであった。
タイム5分で黒磯行きに乗り換える。車内ではロングシートの向かいに座っていた小学生が、クリアファイルに入った路線図を熱心に見ていた。一人旅だろうか、どうも私より準備がいい。
14時42分、黒磯着。この駅で直流と交流に分かれるので、大抵の列車が乗り換えを余儀なくされる。次の発車まで50分。これが今日唯一の観光となる。
駅前にはすでに門松が飾られていた。こういう年末年始の光景が私は好きである。黒磯からは以前、那須温泉にお邪魔する時に路線バスを利用したことがある。しかし今回は時間がない。
市内をぶらぶらすると、古い建物が多く、なかなか味わい深い。駅前の突き当りを左折すると、郵便局が見えてきた。今日は平日なので、貯金ができる。「黒磯中央町郵便局・1,229円」。局内ではキャラクターグッズが売られており、私はキティちゃんステーショナリーポーチ(830円)と、アンパンマンぽち袋(108円)を買った。これはめいとおいへのお土産となる。
観光、といってももう時間がない。駅前に戻り、蕎麦屋に入って昼食である。蕎麦の基本は具がないものと心得ているので、もちろんもりそばを頼む(530円)。
蕎麦はツルツルしていて、美味かった。しかし蕎麦の風味は欠けたかもしれない。
店を出ると、道路を隔てた反対側に、石造りの和菓子屋があった。明治屋、とあった。
こういう店は、外観で得をしている。いかにも歴史が古そうで、名品を売っていそうではないか。
羊羹がウリのようで、私は「本練大納言(塩味)」(1,080円)と、大福(130円)を買った。初日からお土産を買うのは味が悪いが、この程度なら荷物にならない。
黒磯から東北本線に乗る。いままでも東北本線に乗っていたのだが、黒磯までは「宇都宮線」のほうが通りがいいようだ。
ここまで来ると、さすがに乗客も少なく、余裕で座れるようになってきた。空は早くもたそがれている。
約2時間列車に揺られて、17時31分、福島着。タイム4分の待ち合わせで、仙台行きに乗った。
18時59分、定刻を1分遅れて、仙台着。ここでの持ち時間は約40分である。もちろん仙台でも蕎麦を食べたいが、駅周辺にあるだろうか。
空はすっかり暗くなっていた。仙台駅前は広く、その喧騒は東京に勝るとも劣らない。シャレた建物も多く、やはりシャレたショップが入っている。私には縁のない世界である。
しかしこの調子では蕎麦屋はないな…と思ったら、立ち食い蕎麦屋風の食堂を見つけた。
(10日につづく)