一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ひと目だけでも(前編)

2017-09-18 02:27:05 | 将棋イベント
17日(日)は東京都北区滝野川で、白瀧あゆみ杯準決勝戦2局の対局があり、カードは渡部愛女流初段VS和田あき女流初段、竹俣紅女流初段VS塚田恵梨花女流1級だった。
同所で無料の解説会もあったのだが、私がそのカードとイベントを知ったのは、当日の午後2時50分だった。そのはるか前から、ネットの将棋掲示板にはそれらしいことが書いてあったのだが、私は深く考えずボーッとしており、最終的な確認は竹俣女流初段のブログだった。
まさかこんなフレッシュな戦いが今日あるとは知らなかったから、私はあんぐりである。しかも対局開始は2時30分だから、もう始まっていた。
知己の渡部女流初段と和田女流初段の一騎打ちとなれば、応援に行かない手はない。
でも今から行っても対局は終盤だろうし、途中から入室するのも私のポリシーに反するので、結局私はのんびりとテレビを見た。
3時15分が過ぎ、私は将棋が指したくなって、大野教室(4時から男)に行くことにした。
だが対局場の「滝野川会館」は、川口駅までの中途にあったので、私はそちらへ行先を変更した。現地に着いて対局が終わっていたら、それもよし。大盤での感想戦をやっていて、渡部女流初段らの尊顔を拝めたなら、それで儲けもの、という思いだった。

駒込駅北口で降り、目の前の大通りを右手にズンズン行く。滝野川会館へは徒歩10分である。
なおここに来るまで、スマホで日本将棋連盟のサイトを見たのだが、今日の対局と解説会情報は見つからなかった。
今日各地で行われるイベントぐらい、トップページの目立つところに置いとけよ、と思う。
この機会に不満を垂れてやろう。連盟のサイトは、ファンが知りたい情報がいの一番に載っていない。
途中、聖地・ジョナサン駒込店の跡地の前を通った。当時は5、6階のビルだったが、現在は10階建てのマンションになっており、当時の面影はまったくなかった。
雨の中を感傷に浸りながら、滝野川会館に入った。ここの4階が解説会場である。
3時44分に入室。家からは30分程度かかった。意外に早い到着で、こんなことならもっと早く家を出ればよかったと思う。
中は和室を2部屋ぶち抜いた感じで、かなりのお客がいた。和室なので明確に席が決められていないが、後方に1席だけ座布団の空きがあり、私はそこに座った。
「出場の女流棋士が13人で、観戦のお客様は13人だったんですよオ」
とか聞こえる。その声の主は貞升南女流初段で、どうも最近の公開対局での客の入りを嘆いていたようだ。「色紙を用意したんですけど余っちゃって、お客様ひとりにつき、2枚色紙をお渡ししました」
観客が少ないのは告知不足。関係者にやる気がなかったのだろう。
解説は及川拓馬六段。2局同時の大盤解説で、どちらも決着はついてないようだった。
さっきの貞升女流初段の場違いなコメントは、2局の指し手の情報が入らず、トークで場を持たせていたかららしい。
見ると、▲渡部女流初段VS△和田女流初段戦は、渡部女流初段勝勢。▲竹俣女流初段VS△塚田女流1級戦は、塚田女流1級の優勢、というところだった。
観客は70~80人前後というところか。もちろん後ろ姿しか見えないが、私から2列前にはSak氏がいた。超望遠レンズ+一眼レフなど、デジカメを持参している観客も多く、ほぼ手ぶらで来た私は反省しきり。私もカメラぐらい持ってくるのだった…。
渡部VS和田戦の指し手が進み、大勢決した。なお指し手の確認は、貞升女流初段がスマホで行っていた。本局は連盟かどこかが、ネット中継をしているらしい。
竹俣VS塚田戦は微妙で、こちらも数手進行したが、塚田陣にもイヤなところはある。
「指し手が見えない時の優勢は困ります」
と、及川六段。上田初美女流三段のご亭主、なかなか含蓄あることを言う。
数手変化を進めると、入玉の味も出てきたりして、貞升女流初段が苦笑した。
渡部VS和田戦がまた数手進み、渡部女流初段の必勝形になった。
貞升女流初段「早かったですね、渡部さん、寄せが」
及川六段「いい手しか指してないですね」
貞升女流初段「わあ…。それは最高のホメ言葉ですね。後で渡部さんに伝えておきます」
竹俣女流初段VS塚田女流1級戦は、
「いいと思ったら負けちゃう。悪いと思ったら勝てる」
と、及川六段が禅問答のようなことを言った。どちらの女流棋士の心境を述べたのだろうか。
しばらくして、和田女流初段投了の報が入った。これは渡部女流初段の快勝である。
やがて両者が入室した。渡部女流初段を目にするのは2日前の将棋ペンクラブ大賞贈呈式以来で、その時はフランクに話したが、今日は精神的な距離が大きい。やはり対局者とファンは住む世界が違うのである。
渡部女流初段「▲3五歩と思い切って仕掛けましたが、どうでしたか」
和田女流初段「▲3五歩と仕掛けられて苦しくしたと思いました」
大盤はその局面に戻されたが、渡部女流初段が急戦矢倉から▲3五歩と仕掛けたのが機敏だったようだ。これ、私も麹町サロンin DISで、似た仕掛けをされたことがある。まさに渡部女流初段の研究がツボにハマった形となった。
本譜はこれに和田女流初段が応じず形勢を損ねたのだが、及川六段の解説では、△3五同歩と堂々と取っていい勝負、という見解だった。
渡部女流初段と和田女流初段は対局室を後にした。2人とも魅力的で、眼福。私が大いに満足したのは言うまでもない。
(つづく)
コメント (4)
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