一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

みそかの愛(後編)

2017-09-03 02:09:09 | LPSA麹町サロンin DIS

第6図以下の指し手。▲7四銀△3五歩▲7五歩△3六歩▲同金△3五歩▲2六金△4二飛▲6五銀引(第7図)

4人目の客人の居飛車に対して、渡部愛女流初段は角道止めずの三間飛車。その後角交換になっていた、
第6図は私が▲6五銀と出て▲7四銀を見せたのに対し、渡部女流初段が△5六歩と餌を投下した局面。かつて花村元司九段は、「両取りがかかっている時は、別の駒を差し出せ。相手は混乱して間違える」と言ったが、私もこれには迷った。
▲7四銀はソッポの感もあるから▲5六同銀と取りたい。同時に自陣も引き締まり、2歩得なら十分だ。しかし1歩を引き換えに2手損するのも気に入らぬ。▲7四銀は次に▲6三銀成も見ており、これが先手だ。△6二銀なら▲6五銀引とし、次に▲5六銀とすれば3歩得である。
よって私は▲7四銀とした。「おーーっ!!」と渡部女流初段が叫ぶ。意外な指し手だったようだ。
渡部女流初段は△3五歩。指された瞬間、シビレた。
これを▲3五同歩は、△3六歩▲同金△5七歩成で上手優勢。こんなところにと金を作られてはダメである。
ここに至って▲7四銀では▲5六同銀が正着と思い知ったが、もう遅い。それにしたって△3五歩に気付かないとは我ながらアホで、まったく読みが入っていない。上手は△6二銀の一手と考え、ほかの手を読んでないのだから話にならない。
私の▲7五歩は角道を止めた手だが、7六に空間を作っていかにも味がわるい。対して△3六歩の取り込みが大きく、これを無視して▲6五銀引も考えたが、△3七歩成の桂損も大きすぎる。それで▲3六同金としたが、△3五歩▲2六金で、金がソッポにいってしまった。
渡部女流初段△4二飛。ここで▲6三銀成は△6二銀で下手がでかしていない。それより次の△4五歩が早い。ここで私は▲6五銀引と辛抱した。
これになおも△4五歩なら、▲同歩△同金▲同桂△同飛▲5八玉で耐えるつもりだ。

第7図以下の指し手。△6四銀▲5六銀△7五銀▲5四歩△6六銀▲同歩△5二飛(第8図)

渡部女流初段は△6四銀とぶつけてきた。こんなもん▲同銀と応じたいが、自陣は脆弱になっているので、金駒は渡せない。私は▲5六銀と退却。さっきと立場が逆転してしまった。
渡部女流初段はカサにかかって△7五銀。さっきの▲7五歩を逆手に取られたばかりか、歩損も解消されてしまった。私は▲5四歩と突きだしたが、渡部女流初段に△6六銀から△5二飛とされ、困ってしまった。

第8図以下の指し手。▲6七金△5四飛▲5五歩△5二飛▲7八飛△7三角(投了図)
まで、86手で渡部女流初段の勝ち。

第8図で▲5三銀はダサくて指せない。そこで私は遊んでいる飛車を働かせようと▲6七金とし、次に▲7八飛を見せた。
しかし渡部女流初段に△5四飛と取られたのはシャクに障る。さっきの▲7五歩と同様、この▲5四歩まで、むざむざと取られてしまった。
▲5五歩△5二飛(△7四飛は▲8五銀)に、私は待望の▲7八飛。これに△7三歩なら▲8五銀があるので、渡部女流初段はどう飛車成を受けるのだろうと思った。
が、△7三角と静かに引かれてみると、下手は次に△8六歩が厳しく、容易ならざる局面であることに愕然とした。
△8六歩を受けるだけなら▲7六飛だが、気が利かない。しかも上手は角がどいたから、△8二飛も生じている。▲7六飛△8二飛に▲8六歩は△8七銀がある。私は飛車角を接近させてしまったので、当たりがキツくなっているのだ。
また▲7四銀は構わず△8二飛で、▲7三銀成△8七飛成は下手負け。まったく、▲7八飛は本局最悪のココセだった。
考えれば考えるほどバカバカしくなり、私は戦意喪失、投了した。

「エエーーッ!?」
と驚く渡部女流初段。
「ダメですね。次に△8六歩が厳しいし、2六金の形もひどいし、これ以上指しようがありません」
「でも▲9六歩があるんじゃ…。△8六歩なら▲9七角で、△8七歩成は(玉が抜かれるので)指せないし…」
渡部女流初段はそう言うが、▲9六歩の時△8二飛で下手は指しようがない。△8七飛成を防いで▲8六銀とは指せない。
「△5六歩に▲7四銀がマズかった。▲5六同銀と取るべきでした」
「それなら△6四歩のつもりでした」
うん、まあそうなのだろうが、それでも互角の棋勢だったと思う。本譜は▲7四銀に△3五歩で一遍にダメにした。
本局、お互いの駒が一度も相手陣に侵入せず(つまり「成」もない)、歩以外は銀交換が一度行われただけという珍局だった。もっともこれも、私が早投げしたのが原因だが。
「連敗が止まりました」
と、渡部女流初段の弁だった。
ビルを出てスマホを見ると、時計は「18:06」だった。LPSAの人気ナンバー1女流棋士と1時間楽しんで4,000円…。今回はちょっと高かったかもしれない。
帰りは秋葉原駅構内の本屋でFRIDAYを買おうとしたが、なし。金曜発売だから売り切れたようだ。
その代わり上野駅構内の本屋で見つけたが、篠崎愛のそれは増刊号だった。通常発売のFLASHとFRIDAYを合わせ、3冊も写真誌を購入してしまった。
今日はけっこう金を遣ってしまった。とても無職の行動とは思えなかった。
コメント
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