第１図から△９四歩とされ驚いた。以下▲９四同歩△同銀▲同香△同香▲９六歩△９一香。私は▲９七銀と受けるしかないが、△７三桂▲７七桂に△３一飛（第２図）とされ、次の△９二香～△９一飛が分かっていても受からないのに愕然とした（ということは、先の△９一香は△９二香のほうがベターだった）。
果たして数手後その形になり、△９六香▲同銀△同香▲９七歩△同香成▲同角△９六銀で勝負あり。形は中盤なのに、投了を余儀なくされた。
感想戦。Og氏いわく、天守閣美濃＋▲９五歩対銀冠では、△９四歩の反撃があるという。検討でもいろいろ突っついたが、どうやっても居飛車が悪くなり、クサッタ。
まったく痛い敗戦だったが、ひとつ勉強になったので良しとしよう。
４局目はHon氏との対戦。Hon氏と指すのは久しぶりだ。
Og氏はＴ君と指すことになったが、さっきの将棋が盤上に残っていて、Ｔ君が私の陣形を見て、「何ですかこれは？」と驚いた。フン詰まりのヒドイ形になっていたからだが、それをふつうに「ヒドイ」と感じるＴ君の感覚は正しい。
Hon戦は私の後手で、Hon氏は十八番の変態三間飛車穴熊。私も気分を変えて、穴熊に潜ってみた。
しかし指しなれない戦法は指すものじゃない。Hon氏にうまく攻められ、私の穴熊はあばら家になってしまった。
ここでHon氏に決め手があったのだがHon氏がそれを逸し、私は小康を得た。
それでも私の玉は地上に追い出され、生きた心地がしない。しかし冷静に見るとHon氏の攻めが切れ気味で、寸隙をぬって私も反撃し、最終的には制勝した。
Hon氏は惜しい一戦だったが、Hon氏は終盤で崩れるのが持ち味で、最初から最後まで完璧に指したら、それはHon氏の将棋ではない。だからこれでいい。
５局目は女性と戦う。いまや大野教室のマドンナとなっている女性―Ｙさん―は、この時間まで指しているということだけでも、その熱心さが見て取れる。
本局は七枚落ち。前局の八枚落ちから昇格したわけである。先ほどはその手合いでShin氏と対峙していたが、Shin氏もだいぶ苦戦したようだ。
なお本局も特別ルールがあり、下手は「待った可」。どうも上手が勝てないようにできているようだ。だけど私だって簡単に負けるつもりはない。
初手△２二銀。下手は９筋を攻めてくることが分かっているから、この一手で１～３筋をカバーし、二枚金は右辺に持って行くつもり。
Ｙさんは９筋を攻め、▲９四歩△同歩。ここで私に１歩をくれるのはどうか、と考えたら、「待った」をしてきた。おのが疑問手に気付いたわけで、これは大きな進歩である。
第１図からＹさんは▲８二成香と入ったが、その後待ったをして▲５三角成とした。大駒は成れる時に成っておくべし、に倣った手だが、以下△５二銀▲３五馬△９六歩▲同飛△８五金（第２図）と進み、何となく上手も指せそうだ。
第１図ではやはり▲８二成香とし、飛車成を確定したほうが簡明で、私はその局面まで戻した。Ｙさんはあらためて▲８二成香。最初はこの手を指したんだから、これでよい。
私の△４二玉にＹさんは▲９三飛成としたが、これはもっと深くに成ったようがよい。
以下私は△６七成桂だが、ここでＹさんが▲７五歩（参考図）と指す予定だったなら、三段目の飛車成も立派な手だ。しかしＹさんは別の手を指してしまった。
ここから激戦が続いたが、振り返って、Ｙさんは以前より格段に考慮時間が短くなった。指す手が早いということは、候補手がすぐに見えるようになった、ということである。
Ｙさんがこの調子で精進を続ければ、有段者も夢ではない。がんばってください。
というわけで、今日指したのは５局。５時から男だから、これだけ指せれば十分だ。
夕食は、たまには遠出をしようということで、Ｗ氏とHon氏のクルマに分乗して、「華屋与兵衛」に行った。参加者はほかに、大野八一雄七段、Og氏、Shin氏、Ｙさん、私の７人。
ここにお邪魔するのは久しぶりだが、メニューの値段が全体的にやや安くなった感じで、ドリンクバーが新設されていた。
これがあるということは、ちょっと長居をしてもいいということか。だいぶサービスが向上したようである。食事も美味しく摂った。
食後はおしゃべり。私の昔話が爆発し、Ｙさんも楽しく聞いていたが、Hon氏の帰宅時間の関係で、10時08分にお会計となった。
帰り、Hon氏のミニバンが新しくなったようなので聞いてみると、新車を購入したという。
Hon氏の職業はよく知らないが、少人数ながら会社を経営している。つまりこの前までの私とほぼ同じ境遇なわけだが、Hon氏はクルマを買い替えるまでに業績を伸ばし、私はといえば、おのが技術力のなさから会社を潰した。将棋は同程度の棋力でも、ここにふたりの大きな差異がある。
