島井咲緒里女流二段が攻め切るか、私が受け切るかという局面。
それより前、石橋幸緒女流四段が来て、ホワイトボードに何かを貼った。渡部愛ツアー女子プロが日本将棋連盟から正式に女流3級として認められた旨が書かれており、私たちは拍手した。
なお石橋女流四段は翌2014年1月に引退、2月に代表理事を退き、LPSAも退会した。
またこの日は第3期女流王座戦本戦・中倉宏美女流二段対古川(真田)彩子女流二段戦が行われており、大盤にはその局面が並べられていた。
宏美女流二段はこの年度好調で、それまで8勝1敗。本局も勝ちを期待したが、惜しくも敗れてしまった。
第6図以下の指し手。▲2六飛△4六歩▲同歩△6六歩▲同歩△同銀直▲6七歩△同銀成(途中図)
▲6七同金右△同金▲同金(第7図)
島井女流二段は最大6面指しになっていたが、わりとこの将棋に専念しているように見えた。アツくなる将棋ではある。
第6図で私は▲2六飛と浮いた。▲3六飛から飛車成を狙ったものだが、これは一手の価値がなかった。
島井女流二段は△4六歩。私は大人しく▲同歩と取ったが、よくなかった。まだしも▲同銀だったか。
だがさっきまで3三にいた銀と交換したくなかったし、相手にカナ駒を渡すのも恐かった。
島井女流二段は△6六歩と合わせてくる。私は飛車成という当初の目的を忘れ、つまらぬ手(▲2六飛)を指したとの後悔が湧いてきた。
もう▲3六飛は間に合わない。3手後▲6七歩に退却する島井女流二段ではなく、当然△同銀成(途中図)と斬り込んできた。再びシマイ攻めの爆発である。
第7図以下の指し手。△7八金▲9八玉△6六歩▲7六香△6七歩成▲7二香成△同金▲1二飛△6二歩▲2一馬△8九金▲同玉△8五桂(第8図)
△7八金も、こう打ってくるだろう。対して▲同歩はよほど指したかったのだが、飛車が通ってくるのがイヤだった。▲9八玉と寄るところでは、寄せられてもしょうがないと思った。
△6六歩に▲7六香。島井女流二段は△6七歩成と金を取ったが、△7三桂と跳び、次の△6七歩成を楽しみにする手も有力だったと思う。
私が飛車を取り▲1二飛と下ろしたところでは、島井女流二段の攻め駒がやや乏しくなった。
△8五桂にはどう指すべきか。
第8図以下の指し手。▲8六馬△7三香▲8五馬△7八歩成▲同歩△同と▲9八玉△7七香成▲7九桂△同と▲5四馬△7三桂打▲8六馬(第9図)
私はだいぶ迷ったが、▲8六馬と上がった。ここ▲8八馬は、当たりが強くなって得策でないと判断した。
△7三香には▲8五馬と取り、もう少しで島井女流二段の攻めが切れる。
私の▲7九桂に島井女流二段は△同とと取ったが、△7六金としがみつく手もあったと思う。
ここで▲9七玉もあったが、△7三桂跳ねがピッタリで、指しづらい。強く▲5四馬と反撃した。
第9図以下の指し手。△7六歩▲9五歩△7一金▲7二歩△7八と▲7一歩成△同銀(第10図)
島井女流二段は△7六歩と打ったが、直後に後悔するそぶりを見せた。
△7六歩も悪い手には見えなかったが、△7八とはあったろうか。以下▲7二馬なら△8八と▲9七玉△8五桂▲同馬△8七成香で詰み。
ここで▲7二馬は、やはり△8八金▲9七玉△8五桂▲同馬△8七成香で詰み。△7六歩はこの時の馬の利きを消している。
よって私は▲9五歩と空気穴を開けたが、現在の私には浮かばなかった。好手だと思う。
本譜△7一同銀には、上手玉に詰みがある。
第10図以下の指し手。▲8一馬△同玉▲8二金△同銀▲7二銀△同玉▲6二飛成△同玉▲7四桂△6三玉▲5三金△7二玉▲6二金(投了図)
まで、149手で一公の勝ち。
▲8一馬以下は平易な詰み。下手はどこかで▲7四桂を打てるのが大きい。▲8六馬がよく利いているが、この馬は43手目の▲4三角から、実に10回も動いた。
なお手順中、△8二同銀には▲7二金△同玉▲6一銀でも詰む。
ともあれ詰みがあるなら、島井女流二段の△7一同銀では△8八と以下下手の馬を消しておけば、もう一山あった。
駒を投じた島井女流二段は、さすがに悔しそうだった。私としては、優勢な将棋をフイにし、途中では負けを覚悟した瞬間もあったから、僥倖の勝利だった。
ともあれこれにて5勝目。島井女流二段にも賞品をプレゼントしなくて済んだ。でも宏美女流二段の時と同様、お世話になった御礼として、チョコレートはプレゼントするつもりだった。
島井女流二段は意外に感想戦が好きで、今回もけっこう長く行った。しかしおかわり対局はせず、やはり今回も駒込に向かわねばならない。
「いや~、そうかー! あーちょっ…大沢さん、次も絶対、来てください!!」
美人女流棋士にこう言われたら、次も行かないわけにはいくまい。
だが私も非情で、次に島井女流二段に教わったのは、この2年後となった。
その島井女流二段とは今年に入って、あっちこっちで顔を合わせた。島井女流二段は相変わらずのかわいらしさで、とても人妻には見えない。将棋の成績はパッとしないが、ご主人は好調で、島井女流二段があげまんぶりを見せた形だ。
今月12日(木)のLPSA麹町サロンin DISでは島井女流二段の回が1席空いており、よほど教わりに行こうかと思ったのだが、とてもそんな心境でないので、やめた。
それより前、石橋幸緒女流四段が来て、ホワイトボードに何かを貼った。渡部愛ツアー女子プロが日本将棋連盟から正式に女流3級として認められた旨が書かれており、私たちは拍手した。
なお石橋女流四段は翌2014年1月に引退、2月に代表理事を退き、LPSAも退会した。
またこの日は第3期女流王座戦本戦・中倉宏美女流二段対古川(真田)彩子女流二段戦が行われており、大盤にはその局面が並べられていた。
宏美女流二段はこの年度好調で、それまで8勝1敗。本局も勝ちを期待したが、惜しくも敗れてしまった。
第6図以下の指し手。▲2六飛△4六歩▲同歩△6六歩▲同歩△同銀直▲6七歩△同銀成(途中図)
▲6七同金右△同金▲同金(第7図)
島井女流二段は最大6面指しになっていたが、わりとこの将棋に専念しているように見えた。アツくなる将棋ではある。
第6図で私は▲2六飛と浮いた。▲3六飛から飛車成を狙ったものだが、これは一手の価値がなかった。
島井女流二段は△4六歩。私は大人しく▲同歩と取ったが、よくなかった。まだしも▲同銀だったか。
だがさっきまで3三にいた銀と交換したくなかったし、相手にカナ駒を渡すのも恐かった。
島井女流二段は△6六歩と合わせてくる。私は飛車成という当初の目的を忘れ、つまらぬ手(▲2六飛)を指したとの後悔が湧いてきた。
もう▲3六飛は間に合わない。3手後▲6七歩に退却する島井女流二段ではなく、当然△同銀成(途中図)と斬り込んできた。再びシマイ攻めの爆発である。
第7図以下の指し手。△7八金▲9八玉△6六歩▲7六香△6七歩成▲7二香成△同金▲1二飛△6二歩▲2一馬△8九金▲同玉△8五桂(第8図)
△7八金も、こう打ってくるだろう。対して▲同歩はよほど指したかったのだが、飛車が通ってくるのがイヤだった。▲9八玉と寄るところでは、寄せられてもしょうがないと思った。
△6六歩に▲7六香。島井女流二段は△6七歩成と金を取ったが、△7三桂と跳び、次の△6七歩成を楽しみにする手も有力だったと思う。
私が飛車を取り▲1二飛と下ろしたところでは、島井女流二段の攻め駒がやや乏しくなった。
△8五桂にはどう指すべきか。
第8図以下の指し手。▲8六馬△7三香▲8五馬△7八歩成▲同歩△同と▲9八玉△7七香成▲7九桂△同と▲5四馬△7三桂打▲8六馬(第9図)
私はだいぶ迷ったが、▲8六馬と上がった。ここ▲8八馬は、当たりが強くなって得策でないと判断した。
△7三香には▲8五馬と取り、もう少しで島井女流二段の攻めが切れる。
私の▲7九桂に島井女流二段は△同とと取ったが、△7六金としがみつく手もあったと思う。
ここで▲9七玉もあったが、△7三桂跳ねがピッタリで、指しづらい。強く▲5四馬と反撃した。
第9図以下の指し手。△7六歩▲9五歩△7一金▲7二歩△7八と▲7一歩成△同銀(第10図)
島井女流二段は△7六歩と打ったが、直後に後悔するそぶりを見せた。
△7六歩も悪い手には見えなかったが、△7八とはあったろうか。以下▲7二馬なら△8八と▲9七玉△8五桂▲同馬△8七成香で詰み。
ここで▲7二馬は、やはり△8八金▲9七玉△8五桂▲同馬△8七成香で詰み。△7六歩はこの時の馬の利きを消している。
よって私は▲9五歩と空気穴を開けたが、現在の私には浮かばなかった。好手だと思う。
本譜△7一同銀には、上手玉に詰みがある。
第10図以下の指し手。▲8一馬△同玉▲8二金△同銀▲7二銀△同玉▲6二飛成△同玉▲7四桂△6三玉▲5三金△7二玉▲6二金(投了図)
まで、149手で一公の勝ち。
▲8一馬以下は平易な詰み。下手はどこかで▲7四桂を打てるのが大きい。▲8六馬がよく利いているが、この馬は43手目の▲4三角から、実に10回も動いた。
なお手順中、△8二同銀には▲7二金△同玉▲6一銀でも詰む。
ともあれ詰みがあるなら、島井女流二段の△7一同銀では△8八と以下下手の馬を消しておけば、もう一山あった。
駒を投じた島井女流二段は、さすがに悔しそうだった。私としては、優勢な将棋をフイにし、途中では負けを覚悟した瞬間もあったから、僥倖の勝利だった。
ともあれこれにて5勝目。島井女流二段にも賞品をプレゼントしなくて済んだ。でも宏美女流二段の時と同様、お世話になった御礼として、チョコレートはプレゼントするつもりだった。
島井女流二段は意外に感想戦が好きで、今回もけっこう長く行った。しかしおかわり対局はせず、やはり今回も駒込に向かわねばならない。
「いや~、そうかー! あーちょっ…大沢さん、次も絶対、来てください!!」
美人女流棋士にこう言われたら、次も行かないわけにはいくまい。
だが私も非情で、次に島井女流二段に教わったのは、この2年後となった。
その島井女流二段とは今年に入って、あっちこっちで顔を合わせた。島井女流二段は相変わらずのかわいらしさで、とても人妻には見えない。将棋の成績はパッとしないが、ご主人は好調で、島井女流二段があげまんぶりを見せた形だ。
今月12日(木)のLPSA麹町サロンin DISでは島井女流二段の回が1席空いており、よほど教わりに行こうかと思ったのだが、とてもそんな心境でないので、やめた。