(23日のつづき)
少し歩くと、やや潰れた自動車があった。物損事故があったようだ。私も1月に事故を起こしたから、他人事ではない。警官が4人いたが、ずいぶんものものしい。ちなみに私の時は警官が2人きた。
あの事故がなかったら、工場ももう少し存続していたかもしれない…。私は再び落ち込んだ。
何となく繁華街に入る。その外れに屋台があり、「やたい劇場」なる貼り紙を掲げて、150円のたこ焼きを売っていた。テレビにも紹介されたことがあるらしく、けっこう客が買っている。私も1舟買うと、6つ入り。たこ焼きは大きく、美味かった。
たこ焼きもピンキリだが、経費を徹底的に削れば、驚くほどの価格が設定できるのだと思った。
昼食の繁忙期は過ぎたが、食べ物屋には人が多い。「長田屋」なるお好み焼きの店では、店頭に行列ができていた。が、並んでまで入らない、が私のポリシーなので、ここはパス。
その左の「藤原ラーメン」もよさそうだが、今はラーメンを食べる気分ではない。
「松のや」なる店が美味そうなカツを提供していたので、そこに入る。私はかつ丼(490円)にする。まずまず美味かったが、食べているうち、ここが松屋フーズ、すなわち牛丼の松屋の系列店であることが分かった。
旅に出てまでチェーン店か。とかいって、松屋は旅先でも利用しているのだが。
「ひろしまフラワーフェスティバル」会場に戻ることにする。途中の元安川の袂では、マダムがフラダンスを踊っているのが見えた。ここも博多どんたくと同様、あっちこっちでイベントをやっているのだ。
平和記念資料館近くのカーネーションステージでは、16時から八神純子のステージがある。その途中の公園や道路には多くの花壇が設えられていて、タイトル通りだ。
ステージ前はものすごい観客だった。現在八神純子はリハーサル中だったが、それだけで私は感激である。
改めてステージ開始。司会の男性が、プロ野球・広島×中日戦の途中経過を報告する。
「6回裏を終わって6対3で広島のリードです。逆転の広島です!」
博多どんたくのカヤノアナウンサーと同じノリだ。
私はスマホで、今晩のビジネスホテルを調べてみた。明日は博多だからなるべく西へ行きたいが、徳山のビジネスホテル2軒が、いずれも満室になっていた。朝調べた時は空いていたのに! あー、その時予約しちゃえばよかった。
が、その時一軒のホテルが「復活」したので、すぐ予約を取った。というわけで、今夜の宿泊地は徳山となった。
八神純子が再び登場した。八神純子といえば私の青春時代のスターで、現在はややみずみずしさが失われたが、今日も青系のジャケットを召して、その雰囲気は往年とまったく変わらなかった。
八神純子はピアノを弾きつつ、「みずいろの雨」を声量豊かに歌う。佳き歌は、時代を越えて受け入れられる。八神純子のヒット曲はいずれもそれに該当するものである。
八神純子はその後、ひめゆりの塔関連の歌、新曲?と2曲続けて歌う。再びヒットソングに戻り、「Mr.ブルー~私の地球~」「パープルタウン」を熱唱した。
16時30分からは、近くのNHK広島放送局ロビー前で、チアリーダーのダンスパフォーマンスがあるようだった。昨年、サンバをやったところだ。が、行ったらチアはやっていなかった。
もう終わってしまったのか、予定が変わったのか、私が間違えたのか。いずれにしても、チアとは縁がなかったということだ。
その代わりに、近くのステージでは、ものものしい警備になっていた。どうも、男性アイドルグループのミニコンサートだったらしい。即席の白いフェンスが設えられ、完全撮影禁止。昔はこの類は撮影可だったが、今はネットにアップされる懸念があるので、こうした措置が取られる。つまらない時代になったと思う。
やがて5人組の男子が登場し、あたりは最高潮。私はそれを尻目に、ステージを離れた。
ホップステージでは、これも大人数の女子アイドルグループが歌を歌っていた。これはリハーサルである。が、女子の雰囲気がちょっと違う。
それが終わると、同所で雨谷麻世(あまがい・まよ)のミニコンサートとなった。こちらは本番のようである。
雨谷麻世は初見だが、30代か。深紅のドレスが美しく、それだけで傾聴の価値があると分かる。司会の女性が「奇跡のクリスタルボイス」と表現した。
歌が始まったが確かにそうで、オペラのように声質がいい。いや実際、声楽家なのだ。さっきの八神純子もそうだが、実力派歌手のステージを無料で聴けるなんて、なんてありがたいのだろう。
3局目は「Il Condol」、すなわち「コンドルは飛んでいく」。都市駅のターミナルで、怪しい東洋人が奏でているアレである。
この歌も素晴らしく、雨谷麻世の澄んだソプラノに感動した。
同じステージで、さっきの怪しい女子グループが再登場した。名前を「悪女時代」といい、司会者によると、彼女らは地元広島在住のアラフォー(!)グループらしかった。
私がのけぞっている間に、「Don’t Stop~ミニスカートは勇気のしるし」を歌い始めた。
ステージ前にはけっこうな客がいて、妙な盛り上がりを見せている。その多くは中年だが、身内も何%か混じっているのだろうか。私はどうすればいいのだろう。40代とはいえかわいいコ(私より年下なのだ)も多く、何となく写真に収めたい気もする。
1曲終わった。
「こんにちは、悪女時代です! 私たちは平均年齢43歳のグループです!!」
何!? 43歳!?「私たちはアイドルになるのが諦められなくて、みんなで集まって、グループを結成しました!!」
アラフォーって…40オーバーか!!
私がクラクラする間に、2曲目「私を飲みにつれてって」が歌われた。
何だかよく分からないが、彼女らが底抜けに明るい。それだけでこちらも元気になった。
「今日はこれで3コンサート目です。あしたは博多どんたくで歌わせていただきます!!」
おー、行くのかー!!
もしどこかのブースで会えたら、その時は衿を正して拝聴しよう、と思った。
(つづく)
少し歩くと、やや潰れた自動車があった。物損事故があったようだ。私も1月に事故を起こしたから、他人事ではない。警官が4人いたが、ずいぶんものものしい。ちなみに私の時は警官が2人きた。
あの事故がなかったら、工場ももう少し存続していたかもしれない…。私は再び落ち込んだ。
何となく繁華街に入る。その外れに屋台があり、「やたい劇場」なる貼り紙を掲げて、150円のたこ焼きを売っていた。テレビにも紹介されたことがあるらしく、けっこう客が買っている。私も1舟買うと、6つ入り。たこ焼きは大きく、美味かった。
たこ焼きもピンキリだが、経費を徹底的に削れば、驚くほどの価格が設定できるのだと思った。
昼食の繁忙期は過ぎたが、食べ物屋には人が多い。「長田屋」なるお好み焼きの店では、店頭に行列ができていた。が、並んでまで入らない、が私のポリシーなので、ここはパス。
その左の「藤原ラーメン」もよさそうだが、今はラーメンを食べる気分ではない。
「松のや」なる店が美味そうなカツを提供していたので、そこに入る。私はかつ丼(490円)にする。まずまず美味かったが、食べているうち、ここが松屋フーズ、すなわち牛丼の松屋の系列店であることが分かった。
旅に出てまでチェーン店か。とかいって、松屋は旅先でも利用しているのだが。
「ひろしまフラワーフェスティバル」会場に戻ることにする。途中の元安川の袂では、マダムがフラダンスを踊っているのが見えた。ここも博多どんたくと同様、あっちこっちでイベントをやっているのだ。
平和記念資料館近くのカーネーションステージでは、16時から八神純子のステージがある。その途中の公園や道路には多くの花壇が設えられていて、タイトル通りだ。
ステージ前はものすごい観客だった。現在八神純子はリハーサル中だったが、それだけで私は感激である。
改めてステージ開始。司会の男性が、プロ野球・広島×中日戦の途中経過を報告する。
「6回裏を終わって6対3で広島のリードです。逆転の広島です!」
博多どんたくのカヤノアナウンサーと同じノリだ。
私はスマホで、今晩のビジネスホテルを調べてみた。明日は博多だからなるべく西へ行きたいが、徳山のビジネスホテル2軒が、いずれも満室になっていた。朝調べた時は空いていたのに! あー、その時予約しちゃえばよかった。
が、その時一軒のホテルが「復活」したので、すぐ予約を取った。というわけで、今夜の宿泊地は徳山となった。
八神純子が再び登場した。八神純子といえば私の青春時代のスターで、現在はややみずみずしさが失われたが、今日も青系のジャケットを召して、その雰囲気は往年とまったく変わらなかった。
八神純子はピアノを弾きつつ、「みずいろの雨」を声量豊かに歌う。佳き歌は、時代を越えて受け入れられる。八神純子のヒット曲はいずれもそれに該当するものである。
八神純子はその後、ひめゆりの塔関連の歌、新曲?と2曲続けて歌う。再びヒットソングに戻り、「Mr.ブルー~私の地球~」「パープルタウン」を熱唱した。
16時30分からは、近くのNHK広島放送局ロビー前で、チアリーダーのダンスパフォーマンスがあるようだった。昨年、サンバをやったところだ。が、行ったらチアはやっていなかった。
もう終わってしまったのか、予定が変わったのか、私が間違えたのか。いずれにしても、チアとは縁がなかったということだ。
その代わりに、近くのステージでは、ものものしい警備になっていた。どうも、男性アイドルグループのミニコンサートだったらしい。即席の白いフェンスが設えられ、完全撮影禁止。昔はこの類は撮影可だったが、今はネットにアップされる懸念があるので、こうした措置が取られる。つまらない時代になったと思う。
やがて5人組の男子が登場し、あたりは最高潮。私はそれを尻目に、ステージを離れた。
ホップステージでは、これも大人数の女子アイドルグループが歌を歌っていた。これはリハーサルである。が、女子の雰囲気がちょっと違う。
それが終わると、同所で雨谷麻世(あまがい・まよ)のミニコンサートとなった。こちらは本番のようである。
雨谷麻世は初見だが、30代か。深紅のドレスが美しく、それだけで傾聴の価値があると分かる。司会の女性が「奇跡のクリスタルボイス」と表現した。
歌が始まったが確かにそうで、オペラのように声質がいい。いや実際、声楽家なのだ。さっきの八神純子もそうだが、実力派歌手のステージを無料で聴けるなんて、なんてありがたいのだろう。
3局目は「Il Condol」、すなわち「コンドルは飛んでいく」。都市駅のターミナルで、怪しい東洋人が奏でているアレである。
この歌も素晴らしく、雨谷麻世の澄んだソプラノに感動した。
同じステージで、さっきの怪しい女子グループが再登場した。名前を「悪女時代」といい、司会者によると、彼女らは地元広島在住のアラフォー(!)グループらしかった。
私がのけぞっている間に、「Don’t Stop~ミニスカートは勇気のしるし」を歌い始めた。
ステージ前にはけっこうな客がいて、妙な盛り上がりを見せている。その多くは中年だが、身内も何%か混じっているのだろうか。私はどうすればいいのだろう。40代とはいえかわいいコ(私より年下なのだ)も多く、何となく写真に収めたい気もする。
1曲終わった。
「こんにちは、悪女時代です! 私たちは平均年齢43歳のグループです!!」
何!? 43歳!?「私たちはアイドルになるのが諦められなくて、みんなで集まって、グループを結成しました!!」
アラフォーって…40オーバーか!!
私がクラクラする間に、2曲目「私を飲みにつれてって」が歌われた。
何だかよく分からないが、彼女らが底抜けに明るい。それだけでこちらも元気になった。
「今日はこれで3コンサート目です。あしたは博多どんたくで歌わせていただきます!!」
おー、行くのかー!!
もしどこかのブースで会えたら、その時は衿を正して拝聴しよう、と思った。
(つづく)