一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

藤井三冠が強すぎる

2021-11-07 13:21:13 | 男性棋士
タイトル戦の合間に同じ棋士が別の棋戦で当たることはままある。私としては、星をリードしている側がその別棋戦も勝ち、結果的にシリーズも制する、というイメージが強い。
現在竜王戦七番勝負を激闘中の豊島将之竜王と藤井聡太王位・叡王・棋聖も、5日に第71期王将戦挑戦者決定リーグを戦った。
ここまで2勝0敗の藤井三冠は当然勝つ気満々。いっぽうの豊島竜王は2勝2敗で、ほぼ挑戦の目はない。ここで研究手は出しづらく、指しにくかったと思う。
将棋は藤井三冠の先手で、相掛かりになった。後手の豊島竜王は1歩を犠牲に右銀をスルスル進出する。角と銀を5七の地点に利かせ、藤井玉危うし、というところで藤井三冠に意表の手が出た。
銀成を甘受し、ヒョイと玉を引いたのである。
これがたぶん将棋ファン全員が驚いた手で、藤井将棋には一局の中で「えっ!?」と驚く手が1回はある。そしてその何割かが理外の手で、今回も「銀を成らせてはいけない」という先入観があるから、余計にその衝撃が強かった。
いやそもそも藤井三冠には、先入観がないのだろう。AIと同じく、その局面で最も良い手を機械的に導いているに違いない。これは羽生善治九段にも同じことがいえ、結局、大天才は考えることが違うのだ。
さて藤井三冠意表の手に、豊島竜王も成れる銀を成らず引いたが、これは撤退にも見えた。藤井三冠の玉引きが「通った」のである。
そしてここからは藤井三冠ペースとなった。両者の対局では見慣れた端攻めも藤井三冠がうまく対処し、優勢。
豊島竜王は先ほど銀が成れる地点に桂が不成で入ったが、これが形作り。藤井三冠が豊島玉を綺麗に詰め上げた。
投了図を見ると、藤井陣は金銀4枚が無傷で残っているのに対し、豊島陣のそれはゼロ。玉が孤立し、藤井三冠の攻め駒が4枚も包囲していた。
強者同士が交互に指しているのに、どうしてこうも差がついてしまうのか。もはや手合いが違うようではないか。
豊島竜王の今年度成績は17勝16敗だが、対藤井三冠戦を除くと、14勝5敗(.737)となる。豊島竜王も強いのだが、藤井三冠のせいで5割そこそこの成績に落ちてしまっている。とにかく藤井三冠が強すぎるのだ。
竜王戦第4局は12日・13日。私たちはタイトル移動の「手続き」を見せられそうな気がする……。
コメント (2)
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