7日(日)は午後1時から、第33回将棋ペンクラブ大賞・オンライン贈呈式が行われた。結局私も購入したので、後日拝見した。
冒頭、Kan氏が着席している絵がしばらく映る。早くも放送事故に思えるが、逆に生放送らしくて微笑ましい。Kan氏の司会で贈呈式が始まった。
開会の挨拶に続き、将棋ペンクラブの紹介。今回初めて知ったのは、同会の設立が1987年だったこと。だが同会のエンブレムには「Since1988」とある。誰かが間違えてデザインしたが、それを訂正しないまま、今日まで来たという。この無頓着がいかにも将棋ペンクラブらしい。このエンブレムは今後も訂正しないでほしい。
5分間の書評紹介のあと、個別に表彰し、受賞者の言葉となる。
まずは観戦記大賞の椎名龍一氏。第78期名人戦七番勝負第1局・豊島将之名人VS渡辺明二冠戦(毎日新聞)での受賞だ。
「作家の芦沢央(あしざわ・よう)さんが見えておりまして、芦沢さんならどう書くかなあと思い、日ごろ書かないことを書いてみたところ、木村先生から『風景描写がよかった』と講評をいただき、芦沢先生のお陰で賞を獲れました」
優秀賞は上地隆蔵氏。第10期女流王座戦五番勝負第1局・里見香奈女流王座VS西山朋佳女流二冠戦(日本経済新聞)での受賞だが、今回は欠席となった。
文芸部門大賞は、東京新聞記者・樋口薫氏 「受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基」(東京新聞)。
「木村九段は7回タイトル戦に登場し、後半4回は王位戦でした。木村九段のタイトル獲得までの苦難の道のりを、将棋担当者として書き留めておくべきと考えました」
優秀賞は奥泉光氏「死神の棋譜」(新潮社)。今回は欠席。
技術部門大賞は、あらきっぺ氏「現代将棋を読み解く7つの理論」(マイナビ出版)。
「本を作る時って編集者と打ち合わせをするんですけど、私の場合はたった2回だったんですよ。これって少ないんですよね?」
第1章を書いた時点で編集者に見せたらダメ出しをされたが、そこでも独自路線を貫き、名稿の完成となったらしい。
優秀賞は高野秀行六段、岡部敬史氏、さくらはな。さんの共著 「『初段になれるかな』大会議」(扶桑社)。同シリーズ3冊目で、ついに受賞となった。
しかしこの3名はのちにトークショーがあるので、受賞の言葉は後回しとなる。
そして今回は株式会社文藝春秋に特別賞が贈られた。数々の将棋雑誌・書籍の出版、コンテンツの提供を行ったことに対してである。
文春オンライン編集部・池澤龍太氏「弊社は出版社ですので賞を贈ることはあるんですが、こうして戴くことはないので、有難く思っております」
池澤氏は見る将だが、棋士の情報を個人的にもっと読みたいな、と思ったものを作ったという。
「Sports Graphic Number」編集部・寺島史彦氏「将棋はスポーツか否かを、いろいろなメディアの方から聞かれました。この場をお借りしてお答えします。
――将棋はスポーツです」
運動音痴の私もスポーツをやっていたのかと思うと、誇らしい気持ちになった。
ここから木村晋介・将棋ペンクラブ会長の講評である。
「(椎名氏)コロナウィルスの時代にそれがどう影響しているか、観戦記にうまく活写しました。
(上地氏)西山VS里見戦のバチバチした緊張感を、巧みに描いていると思いました。
(樋口氏)木村一基さんに対する愛情があふれています。
(奥泉氏)これはミステリ―小説なんですが、幻想的な表現が二重三重に入って、小説のジャンルを越えた不思議な作品になっています。
(あきらっぺ氏)これは読んでビックリしました。いまは(ほかの駒を)王さまで守るんですね。
(高野六段、岡部氏、さくらさん)このシリーズはいままで候補に上がってきていて、そのたびに残念でしたが、今回は(皆さん)受賞を狙っていたんじゃないでしょうか。
(文藝春秋)私は(Numberの将棋号が)発売されるその日に本屋に行き、1冊だけ残っていたのを手に入れました」
木村会長は作家でもあるので、すべての著書に的確な講評ができる。落語もやっているうえ元祖タレント弁護士だったから、カメラの前でも上がることはない。まさにコメンテーターにうってつけであった。
続いてトークショーである。リアル会場だったらここから懇親会になるのだが、私などは人見知りが激しいので、こうしたトークを落ち着いて聴くほうが、むしろ性に合っているかもしれない。
PART1は「『なれるかな会議』の裏側」。出演は高野六段、岡部氏、さくらさん。
まずは軽いマクラから。2年前に同書の第1弾がノミネートされたとき、高野六段と岡部氏は、飲み屋で「待ち会」をやったそう。結果は受賞せず、だったが、ふたりはそのまま飲み会に突入したそうで、その明るさが微笑ましい。
(つづく)
冒頭、Kan氏が着席している絵がしばらく映る。早くも放送事故に思えるが、逆に生放送らしくて微笑ましい。Kan氏の司会で贈呈式が始まった。
開会の挨拶に続き、将棋ペンクラブの紹介。今回初めて知ったのは、同会の設立が1987年だったこと。だが同会のエンブレムには「Since1988」とある。誰かが間違えてデザインしたが、それを訂正しないまま、今日まで来たという。この無頓着がいかにも将棋ペンクラブらしい。このエンブレムは今後も訂正しないでほしい。
5分間の書評紹介のあと、個別に表彰し、受賞者の言葉となる。
まずは観戦記大賞の椎名龍一氏。第78期名人戦七番勝負第1局・豊島将之名人VS渡辺明二冠戦(毎日新聞)での受賞だ。
「作家の芦沢央(あしざわ・よう)さんが見えておりまして、芦沢さんならどう書くかなあと思い、日ごろ書かないことを書いてみたところ、木村先生から『風景描写がよかった』と講評をいただき、芦沢先生のお陰で賞を獲れました」
優秀賞は上地隆蔵氏。第10期女流王座戦五番勝負第1局・里見香奈女流王座VS西山朋佳女流二冠戦(日本経済新聞)での受賞だが、今回は欠席となった。
文芸部門大賞は、東京新聞記者・樋口薫氏 「受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基」(東京新聞)。
「木村九段は7回タイトル戦に登場し、後半4回は王位戦でした。木村九段のタイトル獲得までの苦難の道のりを、将棋担当者として書き留めておくべきと考えました」
優秀賞は奥泉光氏「死神の棋譜」(新潮社)。今回は欠席。
技術部門大賞は、あらきっぺ氏「現代将棋を読み解く7つの理論」(マイナビ出版)。
「本を作る時って編集者と打ち合わせをするんですけど、私の場合はたった2回だったんですよ。これって少ないんですよね?」
第1章を書いた時点で編集者に見せたらダメ出しをされたが、そこでも独自路線を貫き、名稿の完成となったらしい。
優秀賞は高野秀行六段、岡部敬史氏、さくらはな。さんの共著 「『初段になれるかな』大会議」(扶桑社)。同シリーズ3冊目で、ついに受賞となった。
しかしこの3名はのちにトークショーがあるので、受賞の言葉は後回しとなる。
そして今回は株式会社文藝春秋に特別賞が贈られた。数々の将棋雑誌・書籍の出版、コンテンツの提供を行ったことに対してである。
文春オンライン編集部・池澤龍太氏「弊社は出版社ですので賞を贈ることはあるんですが、こうして戴くことはないので、有難く思っております」
池澤氏は見る将だが、棋士の情報を個人的にもっと読みたいな、と思ったものを作ったという。
「Sports Graphic Number」編集部・寺島史彦氏「将棋はスポーツか否かを、いろいろなメディアの方から聞かれました。この場をお借りしてお答えします。
――将棋はスポーツです」
運動音痴の私もスポーツをやっていたのかと思うと、誇らしい気持ちになった。
ここから木村晋介・将棋ペンクラブ会長の講評である。
「(椎名氏)コロナウィルスの時代にそれがどう影響しているか、観戦記にうまく活写しました。
(上地氏)西山VS里見戦のバチバチした緊張感を、巧みに描いていると思いました。
(樋口氏)木村一基さんに対する愛情があふれています。
(奥泉氏)これはミステリ―小説なんですが、幻想的な表現が二重三重に入って、小説のジャンルを越えた不思議な作品になっています。
(あきらっぺ氏)これは読んでビックリしました。いまは(ほかの駒を)王さまで守るんですね。
(高野六段、岡部氏、さくらさん)このシリーズはいままで候補に上がってきていて、そのたびに残念でしたが、今回は(皆さん)受賞を狙っていたんじゃないでしょうか。
(文藝春秋)私は(Numberの将棋号が)発売されるその日に本屋に行き、1冊だけ残っていたのを手に入れました」
木村会長は作家でもあるので、すべての著書に的確な講評ができる。落語もやっているうえ元祖タレント弁護士だったから、カメラの前でも上がることはない。まさにコメンテーターにうってつけであった。
続いてトークショーである。リアル会場だったらここから懇親会になるのだが、私などは人見知りが激しいので、こうしたトークを落ち着いて聴くほうが、むしろ性に合っているかもしれない。
PART1は「『なれるかな会議』の裏側」。出演は高野六段、岡部氏、さくらさん。
まずは軽いマクラから。2年前に同書の第1弾がノミネートされたとき、高野六段と岡部氏は、飲み屋で「待ち会」をやったそう。結果は受賞せず、だったが、ふたりはそのまま飲み会に突入したそうで、その明るさが微笑ましい。
(つづく)