一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

最年長四冠

2021-11-14 01:26:40 | 将棋雑記
12日・13日に行われた第34期竜王戦第4局は、藤井聡太王位・叡王・棋聖が勝ち、4勝0敗のストレートで、豊島将之竜王から竜王を奪取した。
藤井新竜王は19歳3ヶ月での四冠となり、羽生善治九段の「22歳9ヶ月四冠」の最年少記録を大きく塗り替えた。藤井先生、おめでとうございます。
対して豊島前竜王は悪夢の「九段」。2019年に三冠王になってから、この短期間で「九段」を名乗ることになろうとは、夢にも思わなかったのではなかろうか。
藤井「四冠」は史上6人目。では「三冠王」のときと同じく、今回は「最年長四冠」を記してみよう。
なお以下の赤字は、そのタイトルを取られて四冠が崩れたことを示す。

大山康晴名人・王将・棋聖・王位 1971年1月12日 47歳9ヶ月
羽生善治名人・王位・王座・棋聖 2016年5月31日 45歳8ヶ月
米長邦雄十段・棋聖・棋王・王将 1985年3月5日 41歳8ヶ月
中原誠名人・十段・王位・棋王 1980年12月18日 33歳3ヶ月
谷川浩司竜王・棋聖・王位・王将 1992年9月9日 30歳5ヶ月

最年長四冠は当然ながら、大山十五世名人の47歳9ヶ月。それにピリオドが打たれたのは、1971年1月・第17期棋聖戦である。このときは中原八段と十段戦七番勝負の同時進行だったのだが、前年12月に中原八段が十段位を奪取。その勢いのまま、棋聖も3勝1敗で奪取した。
羽生九段は2016年、第74期名人戦で佐藤天彦八段に1勝4敗で敗れ、三冠に転落。22歳9ヶ月での初四冠から約23年、よくぞここまで何度も四冠を獲ったものだ。これは大いに賞賛されるべきであろう。
米長永世棋聖は1985年1月、第23期十段戦で中原十段に勝ち、41歳にして初の四冠王。これは羽生九段にも藤井四冠にも達成できなかった?遅咲きの記録で、偉業である。
しかしこの2ヶ月後の1985年3月、中原王座に王将を奪取され、四冠は約2ヶ月の短命で終わった。
さらに加えると、その17日後、桐山清澄九段にも棋王を奪取され、二冠に後退してしまった。
中原十六世名人は四冠以上を保持することたびたびだったが、1980年、第17期十段戦で加藤一二三九段に敗れ、三冠に後退した。
谷川九段は1992年9月、第33期王位戦で新鋭郷田真隆四段に敗れ、三冠後退。谷川九段は当時30歳で、まだまだ四冠復帰はあると思われたが、羽生九段の前にそれは叶わなかった。

藤井四冠が大山十五世名人の記録を破るとすれば、28年半後。そのころ私が生きているとは思えず、それを見届けられないのが口惜しい。
思えば羽生九段が売り出し中のころも、羽生九段の活躍を見届けたいと思いつつ、天国に召された将棋ファンが多くいたはずである。いまは私たち中年や老年がその立場にいるわけだ。
歴史は繰り返すのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする