将棋界の年度最高勝率は、1967年度の中原誠五段(現十六世名人)の「.855(47勝8敗)」である。
たいへんな記録ではあるが、私の若い時は、それほど話題にならなかった。
中原五段の記録に肉薄するケースがなかったということもあるが、1968年当時は将棋大賞もなく、この記録も表彰されなかったから、知る人ぞ知る記録、という感じだった。
同じ意味で、大山康晴十五世名人の「タイトル戦50回連続出場」や「タイトル戦19連覇」も、話題になったことはなかった。
ただこちらは、藤井聡太竜王・名人の快進撃で、記録が掘り起こされた感じである。メジャーリーグの大谷翔平選手がケタ外れの活躍をしたことで、ベーブ・ルースの記録が掘り起こされたようなものだ。
最高勝率の話に戻るが、最近は、たびたび中原五段の記録に近づく棋士がいる。そのたびに中原五段の記録がクローズアップされ、この認知度も高くなってきた。しかし勝率.855の壁は高く、いまだ更新はされていない。
しかし今年度はここまで、2人の棋士が快走している。ひとりは最年少棋士の藤本渚四段。そしてもうひとりが誰あろう、藤井竜王・名人である。
藤本四段は、1月14日現在、38勝6敗.864。新記録を狙える位置だが、15日の第9期叡王戦で本田奎六段に敗れ、大きく後退してしまった。
「.855」のすごいところは、1敗すると、6連勝しないと元の勝率に戻らないことだ(6勝1敗=.857)。そう、.855は、6勝1敗ペースを1年間続けることなのだ。
藤井竜王・名人は今年度ここまで36勝6敗(.8571)である。藤井竜王・名人の通算勝率は.8368で、5勝1敗(.833)ペースを上回る。このペースをデビューから続けているのもすごいが、今年度はタイトル戦続きながら、それを上回っているのもすごい。
もっとも、藤井竜王・名人自身が、四段のときよりレヴェルアップしている。もちろん対戦相手のレヴェルもアップしているわけだが、藤井竜王・名人がそれを上回るペースでレヴェルアップしていれば、勝率もさらに高くなる理屈である。
ここで、藤井竜王・名人の残り対局を見てみよう。
第73期王将戦第2局~第4局(第7局までの可能性あり)
第49期棋王戦第1局~第3局(第5局までの可能性あり)
第17回朝日杯将棋オープン戦 最大2局
第73回NHK杯将棋トーナメント 最大4局
現在、最低8局が保証されている。詳しく見てみよう。
まず、最高勝率を獲るには、タイトル戦は全勝で乗り切りたい。すると42勝6敗.875となる。これに朝日杯とNHK杯も残り全勝で優勝してしまえば、48勝6敗.889と、ぶっちぎりの成績で新記録となる。
ただし、これが勝率の上限で、勝数も最大「48」である。とすると、中原五段の.855を上回るには、8敗なら48勝8敗.8571なので、あと2敗はできる計算になる。
ただしそれは、勝ち星に影響しないタイトル戦に限られる。朝日杯とNHK杯は、たとえ決勝で負けたとしても、決勝分の勝ちがなくなるから46勝8敗.852となり、アウトだ。
よって、朝日杯とNHK杯は、両方で1敗までが条件。そしてその場合、タイトル戦での6戦全勝が条件となる。
たとえばタイトル戦で6勝1敗、朝日杯とNHK杯のどちらかを決勝で負けた場合は5勝1敗となり、中原五段の「47勝8敗.855」に並ぶ。
中原名人の全盛時代を知る私としては、中原五段の記録は死守したいところだ。よって、双方「47勝8敗.855」がいい落としどころではないかと思っている。
たいへんな記録ではあるが、私の若い時は、それほど話題にならなかった。
中原五段の記録に肉薄するケースがなかったということもあるが、1968年当時は将棋大賞もなく、この記録も表彰されなかったから、知る人ぞ知る記録、という感じだった。
同じ意味で、大山康晴十五世名人の「タイトル戦50回連続出場」や「タイトル戦19連覇」も、話題になったことはなかった。
ただこちらは、藤井聡太竜王・名人の快進撃で、記録が掘り起こされた感じである。メジャーリーグの大谷翔平選手がケタ外れの活躍をしたことで、ベーブ・ルースの記録が掘り起こされたようなものだ。
最高勝率の話に戻るが、最近は、たびたび中原五段の記録に近づく棋士がいる。そのたびに中原五段の記録がクローズアップされ、この認知度も高くなってきた。しかし勝率.855の壁は高く、いまだ更新はされていない。
しかし今年度はここまで、2人の棋士が快走している。ひとりは最年少棋士の藤本渚四段。そしてもうひとりが誰あろう、藤井竜王・名人である。
藤本四段は、1月14日現在、38勝6敗.864。新記録を狙える位置だが、15日の第9期叡王戦で本田奎六段に敗れ、大きく後退してしまった。
「.855」のすごいところは、1敗すると、6連勝しないと元の勝率に戻らないことだ(6勝1敗=.857)。そう、.855は、6勝1敗ペースを1年間続けることなのだ。
藤井竜王・名人は今年度ここまで36勝6敗(.8571)である。藤井竜王・名人の通算勝率は.8368で、5勝1敗(.833)ペースを上回る。このペースをデビューから続けているのもすごいが、今年度はタイトル戦続きながら、それを上回っているのもすごい。
もっとも、藤井竜王・名人自身が、四段のときよりレヴェルアップしている。もちろん対戦相手のレヴェルもアップしているわけだが、藤井竜王・名人がそれを上回るペースでレヴェルアップしていれば、勝率もさらに高くなる理屈である。
ここで、藤井竜王・名人の残り対局を見てみよう。
第73期王将戦第2局~第4局(第7局までの可能性あり)
第49期棋王戦第1局~第3局(第5局までの可能性あり)
第17回朝日杯将棋オープン戦 最大2局
第73回NHK杯将棋トーナメント 最大4局
現在、最低8局が保証されている。詳しく見てみよう。
まず、最高勝率を獲るには、タイトル戦は全勝で乗り切りたい。すると42勝6敗.875となる。これに朝日杯とNHK杯も残り全勝で優勝してしまえば、48勝6敗.889と、ぶっちぎりの成績で新記録となる。
ただし、これが勝率の上限で、勝数も最大「48」である。とすると、中原五段の.855を上回るには、8敗なら48勝8敗.8571なので、あと2敗はできる計算になる。
ただしそれは、勝ち星に影響しないタイトル戦に限られる。朝日杯とNHK杯は、たとえ決勝で負けたとしても、決勝分の勝ちがなくなるから46勝8敗.852となり、アウトだ。
よって、朝日杯とNHK杯は、両方で1敗までが条件。そしてその場合、タイトル戦での6戦全勝が条件となる。
たとえばタイトル戦で6勝1敗、朝日杯とNHK杯のどちらかを決勝で負けた場合は5勝1敗となり、中原五段の「47勝8敗.855」に並ぶ。
中原名人の全盛時代を知る私としては、中原五段の記録は死守したいところだ。よって、双方「47勝8敗.855」がいい落としどころではないかと思っている。