一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第73期王将戦第3局1日目

2024-01-28 00:06:45 | 男性棋戦
藤井聡太王将の前局の圧勝劇の余韻冷めやらぬまま、第73期ALSOK杯王将戦第3局(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟)が、島根県大田市の国民宿舎で始まった。
私事になるが、私の長い旅行歴の中で、国民宿舎に泊まったのは一度だけ。それが島根県日御碕の近くにあるそれだった。
この話をすると長くなるので割愛。さて、挑戦者の菅井竜也八段は2敗なので、もう後がない。本局は先手番ということもあり作戦が注目されたが、菅井八段が初手に角道を開け、2手目に藤井王将が飛車先の歩を突き、そこで菅井八段がひとつ角を上がった。早速に研究を披露した感じで、本局の菅井八段は一味違うと思った。
さらに菅井八段は向かい飛車に振った。向かい飛車は通常、相手が飛車先の歩を2つ突いてきたとき、反撃含みに据えるもの。それを無視してまで向かい飛車に振ったからには、相当に作戦を練ってきたと考えるべきだろう。
藤井王将の囲いが注目されたが、右銀を早めに3段目に上がって、穴熊の含みもある。
それを牽制してか、菅井八段のほうから角を換わった。思いっきり暴れるためには角を手持ちにしたほうがいい、の判断だろうが、菅井八段は3手目に角を上がっているから、実質的に2手損。私は手損に頓着しないほうだが、プロ的にはどうなのだろう。やはり、先手の利を放棄したのは痛かったのではないだろうか。
藤井王将は成角を玉で取り、戦場から遠ざかる。そして穴熊を諦め、ガッチリ左美濃に組んだ。この囲いも固い。今シリーズは、藤井王将が振り飛車の堅陣に囲い負けしていない。
菅井八段は飛車をひとつ寄り捌きに出るが、藤井王将も最強の応手で迎え撃つ。藤井王将の将棋を見て思うのは、単に受けるだけの手は指さないということだ。攻めることで守りにしてしまうことがよくあり、この数手もそうだった。
そして本局は菅井八段が封じた。改めて局面を見ると、藤井王将は敵陣に角を据え、と金を作り、金銀4枚の堅陣で十分。
対して菅井八段は囲いがやや中途半端で、飛車も息苦しい。居飛車が指したい手がいっぱいあるのに対し、振り飛車は手を作るのに苦労しそうだ。
総合すると居飛車が優勢に近い有利、と見る。これだけ菅井八段が立ち回っても、藤井王将は自然な応接で、やっぱり有利になるのだ。これが実力差、ということなのだろうか。
封じ手は、私なら▲6一角なのだが、誰の候補にも挙がっていなかった。私はヘッポコな手しか浮かばないのである。
さて、2日目の展開やいかに。
(つづく)
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