一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第73期王将戦第3局2日目

2024-01-29 17:31:52 | 男性棋戦
第73期ALSOK杯王将戦第3局(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟)2日目である。菅井竜也八段の封じ手は、飛車先を押さえる手だった。
以下数手進み、藤井聡太王将は5筋に歩を垂らす。このシリーズ、藤井王将はと金作りがテーマかのようだ。
ここで菅井八段は好点に角を打つ手もあったようだが、5筋の歩を成り捨て、受けに回った。強気の菅井八段が急所でひるむ。これが実戦の難しさだろう。
藤井王将は6筋に飛車を打ち、以下菅井八段の攻めを余しにかかる。以下藤井王将の竜の威力が絶大で、らしからぬ?手厚さだ。居飛車穴熊での指し回しもそうだったが、藤井王将の棋風にはいろいろなバリエーションがあり、「そんな指し方もするの?」と、毎回驚かされる。
菅井八段はなおも攻めを継続するが、いかにも単調だ。藤井王将は手厚く銀を打ち、敵の角を召し取った。この間自分の飛車も取られたが、菅井八段は金を投資しているので、腹も立たない。
藤井王将は6筋にと金を作り、ここで5筋に歩を垂らす手もあったが、桂を跳ねた。なるほど、こうやって駒を活用するのか。
この桂馬はさらに成桂に昇格し、金取りに入ったところで、菅井八段がたまらず投げた。
こうして出来上がった投了図はある種異様である。駒の損得でいえば菅井八段の金得なのだが、菅井八段の金桂の遊びがひどく、5~6筋を一方的に侵食され、片美濃の姿焼き状態になっている。
対して藤井王将は相変わらず遊び駒がない。すべての駒が目いっぱい働き、圧勝の図である。ことに6八の成桂は8一にいた桂だが、あの桂が先手陣の死命を制すことになろうとは、驚異の展開である。
改めて投了図、菅井八段だって難関の王将リーグを勝ち抜いてきたのに、まるで手合い違いのごとくである。
藤井王将は「次も連覇や記録を意識せずにこれまで通り臨みたい」と冷静。いっぽうの菅井八段は、向かい飛車にしたときは相当な研究があったと思いきや、感想を聞くと気分転換みたいなところもあったようで、ちょっと拍子抜けした。
対振り飛車に穴熊と左美濃で快勝。私は振り飛車もまだまだ戦えると見ているが、今回のシリーズを見ていると、やっぱり振り飛車はダメなんじゃないかと悲観してしまう。
菅井八段には悪いが、第4局の結果も見えた。もう、藤井王将に勝てる棋士は誰もいない。まったく、恐るべき強さだ。
第4局は2月7日・8日、東京都立川市で行われる。
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