今日は倉敷藤花戦第3局。私は外出していて、午後2時半すぎにスマホを見ると、室谷由紀女流二段が98手目△7四歩と飛車取りに打ったところだった。
しばらく経ってまた見ると、里見香奈倉敷藤花の▲7四同桂に△8六角と打ったところだった。
▲7四同桂は△6二金取りと同時に、▲5五の馬で▲7七馬と成銀を抜く手も見ている。室谷女流二段の△8六角はいかにも苦しい手で、これは室谷女流二段が間もなく負けるだろうと思われた。
ところが…。
3時半ごろに見ると、対局は終わっていた。スマホで確認すると、やはり里見倉敷藤花の勝ちとなっていた。だが、室谷女流二段がかなり抵抗した跡があった。
いったいどういう進行だったのか。私は帰宅すると、複雑な思いで記譜を再生したのである。
将棋は里見倉敷藤花の先手で、相振り飛車になっていた。まあそうであろう、里見倉敷藤花、シリーズで1局は飛車を振らないと、本人だって消化不良だろう。
室谷女流二段は左銀を△6四に出る独創的な構え。さらに左金も△6二金と寄せた。
相振り飛車には△6二金直の二枚金が常道だが、この構えも新鮮だ。もちろん室谷女流二段だって定跡はインプットしているが、それを自分の中でカスタマイズしているのだ。
かように室谷女流二段は、一局の中で必ず工夫を見せるので、いつも私は感心する。
将棋は盤面左辺で戦いが起こる。室谷女流二段がわるそうだが、上部をうまく開拓して、まだ希望が持てる形勢だ。
87手目、里見倉敷藤花が▲3三馬と桂を入手して、これが▲7四桂(王手金取り)の先手。
ここで谷川浩司九段は△7三歩の予想だったが、室谷女流二段は△7三玉。場合によっては入玉を目指す手で、この玉捌きにも感心した。
そして冒頭の局面へとなるのだが、ここでは室谷女流二段が簡単に負けると思っていた。
しかし以下を進めると、室谷女流二段の抵抗が頑強で、里見倉敷藤花も持て余している感じ。115手目▲9三金はハッとさせる手だが、素直に好手といえないところもある。
以下の戦いも何がなんだか分からないが、ネットの解説を読むと、後手にも勝機があったようである。
しかし微妙に次善手を続けたようで、里見倉敷藤花が徐々に寄せの網を絞ってゆく。
最終▲8二竜に、室谷女流二段無念の投了。終わってみれば惜敗で、これは里見倉敷藤花、薄氷の防衛劇だったといっていいだろう。
詳細は分からないのだが、後に室谷女流二段は、涙を流したという。それもまたよし。
そして、これでまた由紀ファンが増えた。
敗れたとはいえ、奨励会三段相手にここまで戦ったのは大健闘。ほかの女流棋士と格が違うところを見せつけた。またすぐにタイトル戦に登場するだろう。
一方の里見女流四冠は五冠に向けて視界よし。五冠もそうだが、早く「四段」に昇段してもらいたい。
このたびはおめでとうございます。
しばらく経ってまた見ると、里見香奈倉敷藤花の▲7四同桂に△8六角と打ったところだった。
▲7四同桂は△6二金取りと同時に、▲5五の馬で▲7七馬と成銀を抜く手も見ている。室谷女流二段の△8六角はいかにも苦しい手で、これは室谷女流二段が間もなく負けるだろうと思われた。
ところが…。
3時半ごろに見ると、対局は終わっていた。スマホで確認すると、やはり里見倉敷藤花の勝ちとなっていた。だが、室谷女流二段がかなり抵抗した跡があった。
いったいどういう進行だったのか。私は帰宅すると、複雑な思いで記譜を再生したのである。
将棋は里見倉敷藤花の先手で、相振り飛車になっていた。まあそうであろう、里見倉敷藤花、シリーズで1局は飛車を振らないと、本人だって消化不良だろう。
室谷女流二段は左銀を△6四に出る独創的な構え。さらに左金も△6二金と寄せた。
相振り飛車には△6二金直の二枚金が常道だが、この構えも新鮮だ。もちろん室谷女流二段だって定跡はインプットしているが、それを自分の中でカスタマイズしているのだ。
かように室谷女流二段は、一局の中で必ず工夫を見せるので、いつも私は感心する。
将棋は盤面左辺で戦いが起こる。室谷女流二段がわるそうだが、上部をうまく開拓して、まだ希望が持てる形勢だ。
87手目、里見倉敷藤花が▲3三馬と桂を入手して、これが▲7四桂(王手金取り)の先手。
ここで谷川浩司九段は△7三歩の予想だったが、室谷女流二段は△7三玉。場合によっては入玉を目指す手で、この玉捌きにも感心した。
そして冒頭の局面へとなるのだが、ここでは室谷女流二段が簡単に負けると思っていた。
しかし以下を進めると、室谷女流二段の抵抗が頑強で、里見倉敷藤花も持て余している感じ。115手目▲9三金はハッとさせる手だが、素直に好手といえないところもある。
以下の戦いも何がなんだか分からないが、ネットの解説を読むと、後手にも勝機があったようである。
しかし微妙に次善手を続けたようで、里見倉敷藤花が徐々に寄せの網を絞ってゆく。
最終▲8二竜に、室谷女流二段無念の投了。終わってみれば惜敗で、これは里見倉敷藤花、薄氷の防衛劇だったといっていいだろう。
詳細は分からないのだが、後に室谷女流二段は、涙を流したという。それもまたよし。
そして、これでまた由紀ファンが増えた。
敗れたとはいえ、奨励会三段相手にここまで戦ったのは大健闘。ほかの女流棋士と格が違うところを見せつけた。またすぐにタイトル戦に登場するだろう。
一方の里見女流四冠は五冠に向けて視界よし。五冠もそうだが、早く「四段」に昇段してもらいたい。
このたびはおめでとうございます。