アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



子どもの教育 (Adlerian Books)
アルフレッド アドラー
一光社

このアイテムの詳細を見る

おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

アドラーの本の紹介の5冊目は、アドラーの1930年の著書『子どもの教育』(原題は“The Education of Children”、岸見一郎訳、一光社)です。

構成は、以下のとおりです。

第1章 序論
第2章 パーソナリティの統一性
第3章 優越性の追求と教育的意味
第4章 優越性の追求の方向づけ
第5章 劣等コンプレックス
第6章 子どもの成長 劣等コンプレックスの防止
第7章 共同体感覚とそれの発達の障害、家族における子どもの位置
第8章 状況と治療の心理学
第9章 準備の試験としての新しい状況
第10章 学校の子ども
第11章 外からの影響
第12章 思春期と性教育
第13章 教育の誤り
第14章 親教育
<付録1> 個人心理学質問表
<付録2> 5つの症例とコメント
解説

今回は、あまり回りくどく書かないで、アドラーの説く「教育の理想」「学校の役割」「教師の仕事」を私なりにまとめ、その裏づけになるアドラーの言葉を紹介することにしましょう。

1.アドラーの教育の理想は、「共同体感覚を育てるよう子どもたちを勇気づけること」と言い切ってかまわないでしょう。

「私たちにとって貴く価値があると思われる偉大な行為を思い起こすと、これらの行為が、行為者にとってだけでなく、共同体全体にとっても価値あるものであったことがわかります。それ故、子どもの教育は、子どもが共同体感覚あるいは共同体との連帯感を認めるようにしなければなりません」(第4章、P.64

「個人心理学は、子どもたちに、もっと勇気と自信を与えることで、また、子どもたちには困難は克服できない障害ではなく、それに立ち向かい征服する課題である、と見なすように教えることで、すべての子どもたちについて、その精神的な能力を刺激する努力をすることを主張します」(第13章、P.201

2.学校の役割は、家庭と社会生活の中間に位置しながら、家庭と現実の広い世界の仲裁者として、(1)生きることの知識と技術を教えることであり、(2)家庭教育のもとで形成された誤ったライフ・スタイルを矯正し、(3)共同体に中で個人の役割を果たせるよう、子どもを社会生活に適応させることです。

「理想の学校は、家庭と現実の広い世界の仲裁者として役立つべきであり、ただ本による知識が教えられる場所であるばかりでなく、生きることの知識と技術が教えられる場所であるべきでる」(第1章、P.16

「学校は、家庭と社会生活の中間に位置しています。学校は家庭教育のもとで形成された誤ったライフ・スタイルを矯正することができます。そして子どもを社会生活に適応するよう準備し、子どもが社会、共同体という、いわばオーケストラのアンサンブルの中で、調和して、個人の役割を果たすように世話をする、という責任を持っているのです」(第3章、P.54

3.教師の仕事は、教育の理想を具現化させるために、学校の役割に則り、子どもを徹底的に勇気づけることです。

「教師の最初の仕事は、子どもの信頼を勝ち取り、その後で、勇気づけということです」(第9章、P.143

「教師の仕事は、勇気づけることができる1つの子どもの業績から出発し、他のことにおいても同じように成功をおさめることができる、と子どもに信じさせるためにそれを利用すれば、ずっと容易なものになります」(第3章、P.55

「ほとんど聖なる義務といってもいい教師の最も重要な仕事は、どの子どもも学校で勇気がくじかれることがないように、そして、すでに勇気をくじかれて学校に入る子どもが、学校と教師を通じて、再び自信を取り戻すよう配慮することです」(第5章、P.83

 


いかがですか? アドラーの教育観を体系的にご理解いただけましたか?


 <お目休めコーナー> あしかがフラワーパークの花①(うちのカミさん撮影、上がつつじと藤、下がオステオスペルマム)

(注)うちのカミさんは「ままごと日記」(http://polianna.exblog.jp/)というブログをやっています。ご関心のある方は、ご訪問ください。コメントもよろしくね。



コメント ( 2 ) | Trackback ( )