アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(12月22日)の午後は、別れがテーマになる出来事が2つほどありました。
共に25年以上の関係の清算に関わることです。

1つは、Sさんからお電話があり「会員を本年末をもって卒業したい」とのことでした。
Sさんは88歳。ヒューマン・ギルドの会員でも最年長だった方です。

もう1つは、ヒューマン・ギルドの取引関係にある業者です。

仕事のトラブルが続いたので、今後の取引を現在依頼していた仕事をもって終わりにしたい、と告げ、代表者もそれで納得してくれました。

年末になると、あらかじめ予期していなかったことが起きるので、それもまた1つの契機になるのでしょうね。


さて、過去の巻頭言のシリーズの9回目で、息抜きの意味で最後は笑いになるジェラシーの話です。

過去の巻頭言から(9):ジェラシー(1999年3月号)

嫉妬と羨望を厳密に区分すると、前者が三者関係、後者が二者関係で起きるものですが、ともに劣等感の現れであり、他者と分離させる、他者を引き下げる情動だ、とみなされます。

ここでは、嫉妬と羨望とを区分しないで、世間受けしやすい「嫉妬(ジェラシー)」の言葉でひとくくりにして述べてみたいと思います。

まずは、アドラーの嫉妬に関する所見を、『個人心理学講義ー生きることの科学』(岸見一郎訳、アルテ、1,800円+税)から引用してみましょう。

「嫉妬は強くて深い劣等感にもとづいているのがわかる。嫉妬深い人はパートナーを自分のもとに引き止めておくことができないのではないか、と恐れている。そこで、なんらかの仕方でパートナーに影響を及ぼしたいと思うまさにその瞬間に、嫉妬を表明して自分の弱さをさらけ出してしまう。このような人の原型を見れば、[権利を]奪われた、という感覚を見出すことができる。実際、嫉妬深い人に会えば、いつでもその人の過去を振り返り、その人は、かつて王座から転落したことがあり、今再び、王座から転落するのではないか、と予期しているのではないか、と見てみるとよいだろう」

この引用文から「嫉妬は、他者によって自分の地位、所有物が危険にさらされたとき、疑惑を伴ってその他者、あるいはパートナーを引き下げよう、排除しようとして使われる感情である」と定義してもよさそうです。

組織にしても、人間関係にしても、嫉妬に基づいた行動が展開されると、その被害は甚大です。
文学作品では、シェイクスピアの『オセロ』、トルストイの『クロイツェル・ソナタ』は、夫婦関係が破壊的になった嫉妬の物語です。

シェイクスピアが「嫉妬する人は、わけがあるから疑うのではない。疑い深いから疑うのだ」と言っているように、嫉妬は理屈で左右できるものではありません。その辺の事情をフランス小話でご紹介しましょう(『話の事典』田辺貞之助編著、河出書房)。

「細君が嫉妬深く、亭主が夜遅く帰ってくると、服のにおいをかいだり、ポケットの中を調べたりする。
『ゆうべはブロンドのちぢれ毛がついていたわ。おとといの晩は栗毛だったわ。今夜は、どんな女なの?』
『今夜は遊んできたんじゃないよ。会社で残業してたんだよ。よく見てくれ』
亭主はこういって、胸を突き出した。
女房はその胸へとりついて、ヒステリックな声で怒鳴った。
『まあ、くやしい!あんたはあたしに見つからないように尼さんに手を出しはじめたのね!』」

ジェラシーの強い人は、あらゆることを疑惑の材料にします。

ジェラシーの最大の克服法は、深刻になるのでなく、笑ってしまえる能力かもしれません。 


*私の『男と女のアドラー心理学』は、嫉妬がもとで夫婦関係を破綻させてしまい、やがて修復に向かう元看護師と医師の話をもとにストーリーが展開される本です。

男と女のアドラー心理学
岩井 俊憲
青春出版社

<お目休めコーナー>12月の花(23) 

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