付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「BLOOD LINK~獣と神と人」 山下卓

2008-05-05 | その他SF(スコシフシギとかも)
「オンナはね、生まれたときから一生ずっとオンナなんだよ。男の子がそれに気づけるのが大人になってからってだけ」
 帰国子女の小学生、秋月カンナの言葉。

 平凡な高校生、真山和志の毎日は、隣家に引っ越してきた美少女によってかき回され続けている。
 なにかというと2階の窓から和志の部屋に潜り込んでくるカンナは、掛け値なしにIQ185以上の天才。今でも世界各地の研究機関からさまざまな研究依頼を受けているらしい。そんな少女が、義務教育とはいえ毎日小学校へ通って授業を受けなくてはいけないとは、なんと馬鹿馬鹿しいことか。
 そんな2人の毎日は、ある日、和志が街で偶然であった美女から重火器の詰め込まれた鞄を受け取ってしまったことから一変してしまう。

 ほのぼのしていそうで、実は殺伐とした話。『ぱにぽに』かと思ったら『ゾンビハンター』だったという感じ。タイムトラベルっぽい話になるのかな。

【BLOOD LINK】【獣と神と人】【山下卓】【寄生】【隠蔽工作】【猟奇殺人】【天孫降臨】
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「エンブレム・オブ・ガンダム」 ニンテンドーDS用

2008-05-04 | 巨大ロボット
「ジオンもまたいで通る」

 DS用のガンダムゲームの新作。
 ガンダム世界の歴史を通史で体験したいけれど、「ギレンの野望」は大作で複雑すぎるし、シューティングは反射神経が付いていかないという人にお勧め……はい、私は大いに愉しんでます……。
 ただし、これはガンダム世界の歴史を検証するゲームなので、大きな歴史改変はありません。まあ、ポイント貯めて、序盤からセイラさんに頑張ってもらうとか、バニング大尉に陸戦ジムを率いてホワイトベース隊の援護に回ってもらうくらいはできます。そして、途中の選択肢の分岐で、誰を中心にしたエピソードを体験するかが代わっていくというもの。

 ただ、セリフはほとんど原作ままなんだけれど、それ以外の語りの文が歴史小説風。
 といいつつ、制作スタッフである芝村組のテイストがふんだんにかかっているので、司馬遼太郎が秋山兄弟や坂本龍馬を語るのとも、塩野七生がカエサルやチェーザレ・ボルジアを語るのとも、田中芳樹がラインハルトやヤン・ウェンリーを語るのとも違い、芝村裕吏が『リターン・トゥ・ガンパレード』で芝村舞や速水厚志を語るような口調で、アムロ・レイやブライト・ノアに言及していたりします。
 「アムロ」ではなく「白のアッちゃん」と呼びたくなるし、第08小隊編を読んでいて、モビルスーツって人型戦車なんだねえとか。わかる人にはこれでわかる。嫁さんに言わせると、「アムロは頑張って努力して龍になったトカゲなんだねえ」とのこと。同感。

 あの『リターン・トゥ・ガンパレード』あたりの言い回しが大好きな人には福音。でも、あの文章嫌いとか、純粋なゲームだけを求めている人は警戒した方がいいね。とにかく、今までとは別の視点でアムロやシャアやジャブローや宇宙植民について語られるのを読みたい人向け。

 ゲーム攻略的には、最初に1ターンを消費しても良いから、全部隊を再編し、すべてキャラ付きにすること。ACEのいないアイドレス部隊がオーマに蹂躙されるようなはめになるから、ハヤトでもいいからキャラをつける(ただしハヤトは戦闘したら必ず逃げ帰るのが属性だから、使えるようになるまでが鬱陶しい)。
 敵にランバ・ラルやシャアが出てきた日には、キャラ無し部隊は何十個あっても足りません。いや、1部隊1機でザコ部隊をうじゃと使って敵の燃料をムダに消費させ、補給切れで戦闘力50%を狙うのも手だけれど、序盤はそこまでユニットに余裕ないし……。
 そして、間違ってもキャラを裸単騎にしないこと。なんでもいいから、複数ユニットで編成すること。まあ、ガルマ戦あたりからブライトとミライを組ませて防御に徹すれば、クリティカルを食らわない限り、ホワイトベース1艦で戦線は支えられるようになります。あとは余裕が出てきたら、ホワイトベースにフライマンタあたりをスタックさせれば盤石。

【DS】【リタガン】
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「虹竜娘子~月亮の天使」 松下寿治

2008-05-04 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 突如として天界に起こった叛乱は瞬く間に拡大し、鎮圧に派遣された天軍はことごとく返り討ちに遭い、反乱軍の勢いはとどまることを知らず。
 この未曾有の事態に崑崙の西王母は九天玄女率いる女仙の軍を派遣した。彼女らに与えられた使命は、天廷軍が敵を足止めしている間に反乱軍の首魁である炎帝を討てというものだったのだが、留守番を言いつけられていた半熟仙女の緑雨が功を焦って戦地に飛び込んでしまう……。

 ライトノベル的な軽さにあつらえてあるけれど、中身は正統派の神仙伝奇小説。『水滸伝』の人肉饅頭ではないけれど脳漿が飛び散るようなグロさ、ダメよダメよといいつつみんな色欲から転落人生とか、そういうエログロが適当に振りかけられた剣や術の応酬ってのが醍醐味なんだけれども、そういう要素をうまく取り入れて構成してますね。羿(げい)とか嫦娥(じょうが)とか、『ブラッドオペラ』を遊んでいた者には懐かしい名前もちらほら。
 あえて、欲をいうなら、主役の緑雨娘娘にもうちょっと魅力が欲しかったかな。まだ「ただの無理無茶無謀な半熟仙女」の型を飛び出してない気がします。まあ、序章ともいうべき巻なので、ここから面白くなるのでしょうが、2003年以来続刊がないのが残念。

【虹竜娘子~月亮の天使】【松下寿治】【騎崎サブゼロ】【富士見ファンタジア文庫】【新感覚中華風ファンタジー】【陰陽路】【崑崙】【聖女】
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「エリアル03」 笹本祐一

2008-05-03 | 巨大ロボット
「狸だの狐だのなら珍しくもねえ。天狗様とか、山姥とか、どこにでもいるものしかいねえだ」
 土地柄の説明をする村娘お凜の言葉。

 文庫の第1巻が出たときに、友人たちと平棚の前で「ALL ROUND INTERCEPT & ESCORT LADY」というネーミングに笑い転げていたのを思い出します。「Science,Chemical,Electronics,Biochemical and Aerospace Industry」で国立科学研究所SCEBAIっていうのも、たいがいな略称ですが。
 そのSCEBAI所長の岸田博士の孫娘たち女子高生が修学旅行へ出かける第17話「女子高生西へ」から、侵略戦艦オルクスの経理部長が実家へ帰って結婚するという第22話「ウェディング・ベルは誰のために」までがノベル版の第3巻。
 銀河最大の結婚式場<銀英殿>ってのにも笑いましたね。
 ただ、ネーミングや設定だけで笑いを取るだけでなく、美女美少女だけで萌え狙いというのでもなく、基本の設定とストーリーがしっかりしているから20年経っても笑って読めるのです。やはりその醍醐味は、艦船から降下兵までのスペックや運用がきっちり書き込んであって、それが活きているってとこかな。単にスゴイ兵器だから強いのではなく、きちんと整備して、使う人間がそれを乗りこなし、さらに目的に沿うよう運用されてナンボという話。

 今回のおまけは、物理法則の詐欺師こと若き科学者岸田と倫理を無視した呪い屋の医師・天本(そして謎の女、羽那らいてう)が、いがみ合いながらも日本各地で八岐大蛇や天狗などの不思議怪異と遭遇し、それを退けていくという、マイナス3話「昭和一五年のからくり天狗」
 菊地秀行のエイリアンシリーズとXファイルを足して、原作ルパン3世のテイストを振りかけた感じの作品。これもスピンオフで独立したシリーズにしても通用しそうです。というか、大戦前夜の日本を舞台に、ひと癖もふた癖もある男女がチームを組み、科学や魔術を駆使して怪異を討つ……って、個人的にすごくツボな話なんですが。

【エリアル】【笹本祐一】【卒業】【ウルトラ警備隊西へ】【出稼ぎ】【企業合併】
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「エリアル02」 笹本祐一

2008-05-02 | 巨大ロボット
 ソノラマが潰れ、朝日新聞社から売れ筋作品だけソノラマノベルとして刊行されるようになって1年近くになりますが……、ソノラマ文庫以上に店頭で見つけるのが難しくなりました。大丈夫かっ!?
 結局、密林通販にて購入(これ、ポイントついたかな)。

 圧倒的な科学力を背景に地球侵略に出現した異星人に立ち向かう巨大ロボットとそれを駆る美少女3人娘が活躍
する、イラストまで描き直した合本2冊目は文庫の3巻4巻分を収録。話としては、宇宙人の侵略をさておいて、怪しげな博士が怪しげな巨大女性型ロボットでエリアルに挑戦してくる第9話「ARIEL対機娘々」から、ライバル企業やらなんやらとの対策に手間取り気がついたら決算も近いのに侵略作戦のノルマが達成できなかった侵略企業の右往左往を描いた第14話「決算大戦略-受験生の逆襲」まで。
 それから恒例のオマケ書き下ろしは、マイナス2話「姫君と士官候補生」。士官候補生アバルト・ハウザー准尉が、最初の指揮艦を得て、そして失うまでの話。なんというか、女の色香と義侠心に負けて、エリートコースから転落して銀河辺境へ……って、A.B.チャンドラーの小説の主人公みたい。むふう。
 しかし、オマケといいつつ、そこらのライトノベルなら1本分はあるボリュームで繰り広げられる士官候補生たちの戦いって、オマケの域を超えています。ああ、やっぱりこのシリーズは文庫版を持っていても最後まで付き合わないといけないようです。独立した作品として面白いもの。

【エリアル】【笹本祐一】【決算期】【士官候補生】【巨大ロボット】【侵略】【怪博士】
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「侠骨記」 宮城谷昌光

2008-05-01 | 時代・歴史・武侠小説
 戦と政争に明け暮れる紀元前中国の戦国時代を中心に、宰相・軍師となった男たち、王となることを運命づけられた男たちを主人公とする歴史小説集。
 壮大な歴史の中に活きる男たちの人生の断片を描く書き方なので、「ここで終わり?」「あ、もう歴史の彼方に」と物足りなく思う部分がある一方で、大河小説のクライマックスかダイジェストを読んでいるようなお得な気分にもなったりします。
 知っている登場人物といえば太公望くらいという、あまり馴染みのないテーマではありますが、面白く読めました。

【君臣】【知謀】【文化】【中国史】
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