塩野七生さんのローマ人の物語が完結したのは、もう4年ほど前だろうか。その直後に出たのが、『ローマ人の物語』スペシャル・ガイドブックだ。
イタリアに行くことがあったら読もうと思っていたのだが、しばらく行くチャンスもなさそうなので、読んじゃった。
新潮社出版企画部編だが、流石よくできている。
単なる観光ガイド的なものを予想していたのだが、ローマ人の物語のあらすじを、きれいなカラー写真付きで説明してくれている上に、名言録や、様々な切り口からのローマ人劇場ベストⅤ、塩野さんの対談、ラテン語入門など、盛りだくさん。だのに、楽しく読める。
ローマ人の物語15巻は、ちょっと重いと思う人は、本書から入って、興味のある巻のみ読んでみる手もあるだろう。あらすじは、巻毎だから、どの巻にどのストーリーが入っているかもわかる。
特に、塩野さんのロングインタビューは、興味深い。ローマ時代のローマ人の特徴が、寛容であること、ローマは、共和制から帝制に移行したが、それにより、ローマ全盛期を築いたことについて語っている。帝政といっても、市民の支持を得た帝政は、プラスだったのだ。
今のアメリカのイラクでの惨状、日本の民主主義の混乱を見ると、このインタビューが、この混乱を予期していたようにも思われるのだ。
塩野さんは、やはり傑物である。