かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

女帝の古代王権史

2021年06月11日 | Books
梅雨前の夏日が続いている。
夏本番になったら、どうなるのか。



本書は、本屋で見つけた。
結構ヘビーな本で、新書の割には、読み応えがありすぎ?

見出しにあるテーマに興味があったのだが、かなりインパクトのある内容。
通説ばかり読んでいると、???なのだが、突飛な考えではなく、是非議論を深めてもらいたい内容だ。

女帝は、古代と、江戸に入ってからしかなく、本書は、古代の女帝に絞っているのだが、みなが研究している記紀等から、今までの通説を覆すような結論を導き出している。

女帝は、中継ぎが必要な際に、例外的に生まれたと思われているが、そうではなく、皇太子も、男のみではなく、女でもなれたという。

本書ですごいと思うのは、本当かどうかは別にして、当時書かれた書を、その時点に戻ったつもりで読んで、起こった結果から、その結論が導き出した過程を推測し、当時の天皇の決め方を考察している。

当時は、男女区別なく、天皇の親族から、年齢順に、候補者を絞り、豪族たちの議論で決めていたという。
そこに、男女の区別はなかった。
唐では、則天武后以降、女帝は生まれなかったが、日本は、別の道を行った。

しかも、実力者の女帝が多く出たため、譲位をして、権力を維持した例も多い。
確かに、飛鳥から、奈良にかけて、実力のある女帝が多く出ているし、実績も上げている。

ただ、平安の世が落ち着いていると、天皇が主導権を持って、男子の後継者を皇太子として指名するようになり、それが、明治維新の皇室典範につながった。

天皇がどのように引き継がれていくか、決められていくかは、時代により変遷があり、特に天皇家創成期は、今とかなり違う姿であったと、本書は断定する。

この議論がどの程度学会にインパクトを与えているのかわからないが、少なくとも、皇室の危機が叫ばれている今、よく議論していくべきテーマであることは間違いない。

新書の割には、ちょっと難しいけど、面白かった。
コメント
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