かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

東南アジア史10講

2021年11月12日 | Books

今日も、秋らしいいい天気。



本書は、凄い本だった。

私が、東南アジアと縁が深まるのは、1990年代後半に出張が増え、2000年代前半に、シンガポールに駐在していた時のこと。
特に、シンガポールでは、東南アジア全域を見ていたので(但し、フィリピンは、香港から見ていた)、その内情を知るにつけ、各国の違いの大きさ、歴史、経済、政治がばらばらであることを思い知った。

そのばらばら(ASEAN10ヵ国としておこう)の国々の歴史を、古代史から、ついこの前のミャンマーのクーデタまで、バランスよく、客観的に、視野広く、まとめてある。
著者は、ベトナムに詳しいようだが、決して偏らず、うまくまとめてある。

とにかく、各国に違いが大きいが、国境という概念ができたのも、植民地支配が強まった頃だという。
そこから先は、近過去の話だが、特に大東亜経済圏と銘打った大東亜戦争だが、最初の内は、名目だけだったのが、戦況が厳しくなるにつけ、東南アジア諸国の協力を得るため、大東亜を強調するようになったという。
したがって、大東亜戦争によって、植民地支配が早く終わったというのは、後付けの理論。

東南アジアの国々にとっては、ナショナリズムが盛り上がってきたタイミングになるが、ファシズムにつくか、共産主義につくか(反ファシズムを掲げ、宗主国への戦争協力を行う)、インドのように、どちらにもつかないという、究極の選択を各国は迫られた。
ホーチミンの元の名前がアイコック(愛国)だったとは。

大東亜戦争が終わっても、宗主国からの関与は続き、そこに中国、ロシアの共産主義が入ってきて、冷戦体制の影響が、朝鮮半島、東南アジアで火を吹き、つい最近まで、混乱が、続いたり、ぶり返したりしている。

ずいぶん成長したと言っても、まだまだこれからの東南アジア。
国が分かれているということを、ポジティブにとらえ、今後の発展に期待したい。

東南アジアに関する基礎をざっとおさらいしたい人には、打ってつけの1冊。

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