かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

チャップリンが見たファシズム

2024年11月05日 | Books
今日は、庭仕事。
これで、ぎりぎり冬は越せるか?



大野さんの新作。
大野さんは、講演にも行ったが、世界一?のチャップリンの研究者。
とにかく、その徹底ぶりには、舌を巻く。
そして、そこから持前の洞察力で、より深い真実をあぶりだす。

本書では、1931年から1932年にチャップリンが世界一周旅行に出た時の記録を、丹念に調べ上げ、そこで、チャップリンが何を感じて、それが、彼のその後の人生や作品にどう影響したかまでを、探る。
モダンタイムズ、独裁者、殺人狂時代など、この旅行中の見聞がきっかけで生まれた、やや政治色の強まった作品群だ。
そのルートが凄いが、気まぐれに、どんどんスケジュールが伸びたりする。
そこで、振り回される周囲の中心人物が高野(こうの)氏。
この時代に、海外で、これだけ活躍していた日本人がいたとは、大野さんが発掘するまで、知る人は少なかったのではないか。

チャップリンがその旅行中にあった人々にも驚かされる。
チャーチル、ガンディ、ナチ関係者、当時の重要人物をカバーしていて、そこから、肌で、世界の緊張感を感じとり、その解決策も検討していたというから、単なる喜劇役者の枠を大きく超える。
行った各地では、大混乱を巻き起こしたそうだが、まさに、フラットになりつつあった世界の最初の世界的大スターであったことがわかる。
ビートルズも凄かったが、より古い時代で、オンリーワンだったという意味では、チャップリンが上だったかもしれない。

本書のクライマックスは、5.15事件だろう。
ここは、ネタバレになるので、あまり詳しく書かないが、驚愕の事実が明らかにされる。

チャップリンに興味のある方には、もちろん、第二次世界大戦前の空気を感じたい人に広くお勧めできる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする