かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

ヤバい経済学

2007年06月25日 | Books
ヤバい経済学(Freakonomics)という本が結構売れた。
読んでみた。アメリカの社会背景を知らないと、ピンとこない部分もあるかもしれないが(私は、たまたま昔シカゴにいて、著者もシカゴ大学の人なので、よくわかった)、面白かった。

経済学というと、難しい数学を駆使して....と思いがちだが、この本は、身近な疑問(日々の出来事や謎)を、統計に表れた数字を分析することにより、真実が見えてくることを教えてくれる。

面白い疑問の一つに、相撲の八百長があるかという疑問が取り上げられているが、著者の分析によると、確実にあるという。その原因は、8勝と7勝の価値の差(大)と、8勝と9勝以上の価値の差(小)にある。要するに相撲の世界の給与システムの歪みの問題だ。お相撲さんだって人間だもん。

アメリカでは、問題になったであろう議論には、アメリカでの犯罪の現象の低下の原因がある。著者の分析によれば、中絶が認められたことが、最大の理由だという。子育ても覚束ない貧困家庭に生まれる子供が減ったのだという。アメリカでは、宗教上の理由が政治と結びついて、大問題となる。

彼は、酔っ払い運転の適正罰金が、その被害額から算出して8,000ドル(100万円弱)であるとか、サッカーのペナルティキックで、ど真ん中に蹴るのが、一番いいという論文も出しているそうだ。
銃による犯罪を減らす方法とか、麻薬取引を減らす方法なども論じている。授けられた名前と人生の関係や、親の持っている本の数と、子供の成績の関係など、本当に多彩な研究をしていて、その結果は、なるほどと思うことと、えぇっと思うことと半々ぐらいだ。

データ万能とは言わないが、結構、目から鱗の本ではある。
日本の社会現象を、同様の観点から論じた本が出ると面白いのだが。
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周恩来秘録

2007年06月24日 | China・Mongolia


ソーサが600号を打ち、マダックス(現在339勝)が、松坂と投げ合っている。両選手とも、90年代前半、シカゴカブスで活躍していた選手だ。当時まだデイゲームにこだわっていたリグリーフィールドには(野球は、太陽の光の下でやるものだというリグリーチューインガム創業者の信念によるものだったかな)、数度しか応援に行けなかったが、今も、現役で、がんばってくれていて、うれしい。

昨日は、とのダブルヘッダーだったので、今日は、休息日。天気もはっきりしない一日で、ミズノオープンも中止になったようだ。それで、ドンファンという不思議な名前の選手が優勝した。本名なのだろうか。

今年、大きく話題になった本の一つに、周恩来秘録がある。書評も多く出ているから、内容をご存知の方も多いだろう。中国国内では、当然発禁。
毛沢東の素姓については、結構本も出てきて、明らかになってきていたが、周恩来はその、暴君を支える有能な参謀という人物像を、皆漠然と持っていたように思う。

ところが、この本を読むと、それも作られた周恩来像であったことがわかる。
周恩来は、毛沢東のマインドコントロール下にあり、実質奴隷にされていたことが客観的に、これでもかこれでもかと描かれている。毛沢東は、絶対的な専制君主であり、自分の権力を脅かす者、劉少奇、林彪、とうしょうへい、皆失脚した(とうしょうへいは、復活したが)。江青ですら失脚させられそうであったという。

しかし、それにしても、周恩来ほどの優秀な頭脳、交渉力の持ち主をも奴隷化するパワーというものが、どうして生まれるのだろう。毛沢東個人のせいなのか、中国共産党の組織のせいなのか。やはり、独裁制には、常にそういうリスクがあるのだろう。恐ろしい世界だ。

写真は、天安門広場にある人民大会堂。
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北京炎上

2007年06月23日 | China・Mongolia


水木陽さんという元日経の記者の方が書いた中国の近未来小説を読んだ。
今の中国ができて、もう60年近くになるのだが、特にこの10年大きく変貌を遂げている。
世界のルールにだんだん従ってきているという向きもあるが、中国国内の格差は、広がる一方で、北京オリンピック、上海万博後、大きな転機を迎えるのではないかと見る向きも多い。

この小説は、その時、こんなことが起こりうるよという具体的イメージを描いているという意味で、面白い小説だ。
ドラマチックにするために、男女のあやや、報道の世界の裏側を見せたりする小道具は使われているが、基本的には、貧富の差の急拡大により求心力の衰えた共産党政府を、天安門事件の生き残り組が反政府活動を展開し、民主的な政府を立ち上げるべく、共産党政府を、崩壊させるというストーリー。反政府活動家の中の、内ゲバ、裏切り、ダブルスパイは、1970年代の日本赤軍の事件を彷彿とさせる。

改めて思い起こされるのは、現在の中国政府は、軍事展開により樹立された中国共産党による政府であり、共産主義の理念は崩壊しているにもかかわらず、共産党王朝とも呼べる政権委譲により、既に、60年近くの中国を支配し続けているという事実である。

これまで、中国の王朝が入れ替わってきた歴史を考えると、政権が変わる可能性はあるといえる。その際、キーとなるのが、現在の中国が建国された時主導的役割を果たした、中国人民軍だが(その意味で、中国は、軍閥国家である)、この小説では、この軍隊をも、反政府活動家が巻き込んでいく。

この小説のラストでは、紫禁城を中心として北京が炎上し、2017年に初の民主的な選挙が行われる。そして、天安門に掲げられる肖像画は、毛沢東から、孫文に代えられる。

中華街に行くと、中国の貧民の窮状を訴えるビラがよく配られているが、まさに飢餓状態である。2017年は、意外と早まるかもしれない。

写真は、天安門広場にたなびく中国の国旗。
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円覚寺

2007年06月22日 | Kamakura ( Japan )

鎌倉シリーズもとりあえず最終回。円覚寺
元寇の難局に敢然と立ち向かった北条時宗公が、蒙古軍を撃退したした時に殉じた両軍の死者を弔うために建立したお寺だ。JR横須賀線の北鎌倉駅の前にある。



前の階段を上ると、巨大な山門がそびえる。江戸時代に再建されたものだが、堂々とした風格がある。



舎利殿は、源実朝が宋から請来した仏牙舎利を奉恩するお堂で、鎌倉時代の唐様式を代表する建造物として有名だが、修行の場にあり、近くでは見れない。昔、もっと近くで、見た記憶があるのだが、気のせいか。



円覚寺にも、きれいな紫陽花があった。真っ白な花びらに、青の点。きれいだ。白は、白磁の白にも似る。



円覚寺にある国宝のもう一つが、洪鐘(おおがね)。なぜか、急な小山を上った、見晴らしのいい所にある。鎌倉時代からここにあったのかは知らないが、鐘には、国泰民安の4文字が刻まれている。1301年に北条貞時により寄進された。
国家安泰という文字を鐘に刻んで、滅ぼされた豊臣家は、家康の言いがかりというのがよくわかる。

鎌倉を代表するお寺として、流石の風格がある。
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東慶寺その2

2007年06月21日 | Kamakura ( Japan )
東慶寺は、1285年に、元寇で有名な北条時宗の夫人により開創され、松ヶ丘御所と称され、寺格の高い尼寺として、その名を馳せた。
滅ぼされた豊臣家の遺児(千姫の養女)が入山したのもこの東慶寺。600年近く、女人救済の駆け込み寺(縁切り寺)として有名であったが、明治となり、縁切寺法は廃止となった。その後、釈宋演(しゃくそうえん)により再興された。
釈禅師は、明治時代の半ばに、スリランカに留学。34歳にして円覚寺管長になった後渡米し、鈴木大拙と、禅の世界的発展の基礎を築いたという超人である。

お寺の中に、松ヶ丘宝蔵があるが、釈禅師ゆかりの展示物も多い。本当に、こんな文字を当時読んでいたのだろうか。この宝蔵には、縁切状なども展示されており、その縁切状が、遠山の金さんにどう裁かれたかの記録なども残っている。まさに、三下り半だ。見事、三行半で書かれている。ただ、必ずしも、縁切状がそのまま受け入れられたのではないようだ(嘘でないかのチェックはある)。
ちょっと高いが(300円)、東慶寺の由来を知る上で興味深い展示が多くある。



これは、松ヶ丘宝蔵の前にある、日本国国家で歌われているさざれ石。特に東慶寺の由来とは関係ないようだが。



見所は、その奥に広がる墓地。釈禅師、鈴木大拙博士のお墓は勿論、西田幾太郎さん、和辻哲郎さんなど、著名な、哲学者や、作家や、東慶寺に由来の方々のお墓がたくさんある。写真は、前田青邨さんの筆塚。

東慶寺は、その歴史に(特に、ここに駆け込んだ方々に)思いを馳せながら散策するお寺だと思う。
近頃は、ここで、結婚式をあげるカップルもいるという。よっぽど自信のあるカップルだろう。それで、離縁したら、洒落にもならない。
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