CLASS3103 三十三組

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【読書】台湾漫遊鉄道のふたり

2024-08-10 21:05:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾漫遊鉄道のふたり  作:楊双子

発売された台湾で、売り方、作り方でも話題となった作品だったそうで
読み終えて、種明かしを見るまで、そうなのか?なんて騙されてしまったんだが
非常に楽しく読めたのでありました
公式からして、グルメ、鉄道、百合とうたって、百合ってそんなメジャーな単語になったのかと
いわゆる、女性同士仲が良いことのたとえで、ヲタクがよく使うそれだと思ってたんだが
まぁ、その割にはずいぶんとライトな感じで、女学生の友情でもない、
恋情があったかというと、そこまででもなかったような
そういう関係を描いていて、まぁ、そこらはさておき、面白い小説でありました

二次大戦前の統治時代における台湾のお話で、
台湾本島へやってきた、日本本土の女流作家が、現地で通訳をかってくれた女子と
鉄道旅をぐるぐる続けるといった物語、
途中、様々な土地の食べ物の紹介があって、それをかたっぱしから食べていくんだが
実際、そんなに食えないだろうと思ってしまうが、
まぁ、そこは物語と割り切って、とめどなく、美味しい美味しいと食べる姿が
実によいなと、実際食べてみたくなるものばかりで楽しかった

料理名などの単語も、基本的には台湾語発音で読み仮名が表記されているので
最近流行のあれこれとは異なるわけだけども、いずれも今もって
各地で作られている伝統的なそれこれ、いや、もっと通俗的に
ただ食べられている日常の食べ物というのがよいところで
独特の味や風味を面白味として満喫していく姿が実によいと思うのである

物語は、そうしながら、女流作家が、なかなかこころをひらいてくれない通訳女子に
あれやこれやと気をもむという話しでもあるんだが、
種明かしでもない、真実の部分については、そういうのはおいといて
世間一般に、今も様々なところで持ち上がりそうな問題にもならない問題、
無意識の差別とでもいうような、厳然とした格差とそこを超えるということで、
日本人として平等をうたうのに、うたう本人が気づけばその人を貶めていたのではないか
そういう気づきを得て終わるというのがすごくよいところで
切ない物語ではあるものの真実とはこういうところにあるなと
感心してしまうのでありました

百合とされていたけども、その淡い恋情めいたものが
はたしてあったのか、それは誤解であったのではと思うような
上述の話しもあったりするので、和気あいあいと女の子がごはん食べて楽しいと
そういう物語になっていないのがよいところと思うのでありました

最近問題になっているというか、どうも誤解してしまいがちな
台湾は仲良しという日本からの一方的な思い込みが
この関係に詰まっているようにも読めて、
襟を正す想いを抱くのであった


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