CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【ドラマ】リラの花咲くけものみち

2025-02-18 20:55:16 | ドラマ映画テレビ感想
NHK土曜ドラマ枠でありました
獣医を目指す若者の群像劇でもあったと感じたが、
3話にあれこれ詰まってて、獣医という目標ではあるが
青春成長劇でもあって、主人公の「さとり」が
引きこもりから学校に入り、寮生活に慣れて、
獣医に挫折して、やっぱり戻ってというのが
まぁ凄いスピードで描かれてしまうので、ちょっと溜めがないのがもったいないと
思ったりしつつも、このスピード感が今のドラマのキモなのかもなと
次々起こる、次々解決するとみっちり楽しめたのでありました

そんなあわただしい話しと、若い俳優さんの演技を楽しめるのだが
やっぱり、ぴりっと占めるのはベテランだなと
風吹ジュンさんの見事な演技に、出ている場面だけ
ゆったりとしているように見えたのは、ひいき目なのかなんなのか
病気を隠してというわかりやすい背景があることを
そのままに演じて、話しが鼻につかないというのが凄いなと
ありきたりな、なんて思わせないものが演技の妙だったんだろうと感じたのでありました
出てるシーンちょっとだけだったはずなのに、
凄く印象的で、ドラマのいいシーンと思ったところの多くが風吹さんの出番だったと
驚くほどというか、いい演技だなぁと思ったのである
いや、演技というか、話しだなというところに目を向けさせられたという感じか
ともかく感動したのでありました

獣医に憧れるというところから、
実際に動物の医者とはどういうものかも見せられ
そこに葛藤をしつつも、恋愛まであってと
本当に欲張りセットな内容だったわけだが、
動物の医者というまわりの話しは知らないことも多くて、
犬の献血のための犬なんてものもあるのかと驚く一方で
当たり前のように大動物の裏にその経営があるというのもまた
動物の医者の意義というのを知る上で凄い重要だなと
よく知られたというか、見ることがありそうな、想像が届きそうなペットの界隈ではない
獣医にスポットが当たっているというのが
いい話しだったなと思ったのでありましたとさ

【読書】暗号の子

2025-02-17 20:51:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
暗号の子  作:宮内悠介

主に仮想通貨を扱った短編小説集だったと思う
説明もなく専門用語が並ぶので面食らったんだが
そのあたりは雰囲気で処理するとして、実というか、
ストーリーの根幹というか、設定の大半は、仮想世界による新世界の構築というと
陳腐で古臭いから、ちょっと違う気がするんだけど
理想の世界というものを理論的に構築して、
実際それを実装させてみようという、あらゆる角度の話しをまとめていて
なかなか刺激的で面白かったのである

実際、こういう感じの人もいるのかもしれないと思いつつも
そこまで万能であったり、運よく儲ける人がどれほどいるかと
そのあたりが物語だなと納得しようと思ってしまうのだが
本当にこんなことを考えて、また、真に頭のいい人というか、
そんな状態になりうる人は、当然のように考えてしまうものかもしれないなと
一種の新宗教ともいえる内容で興味深かった

ブロックチェーンを使って、仮想通貨というものがあって、
その信用拠点としての集まりがある、そんな仮想コミュニティの姿と、
そこに依存というか居場所を見つける人のお話が、
辿っていくと結局は、仮想世界であろうとも
人の居場所という問題についてのお話で、どこでも生きづらいという人が
ここにはもしかしたらというユートピアを見ると
そんな風にも読めたわけだが、そこもまた、
あっという間にぼろぼろと崩壊というか、崩れていくという
コミュニティの興亡という部分においては、長らくネット世界に生きていると
どこかで感じた哀愁のようなものと似たそれが扱われていたと
思ったりしたのである

そういうものの終焉がどう訪れるか、あるいは、
それは終焉ととらえているのはそういうメンバーだけで、
実際は新たなメンバーによって、また新しい世界が育まれている可能性もあったりして
結局は、わかりあえないという根本原因によって、
ずっと彷徨い続けなくてはならないということのようにも思えるのであった

思考実験として面白すぎるというか
行き過ぎているなと思いつつも、なるほどと感心したのが
AIに様々任せていくと、次第に、人間でいるということに人間は疲れていることに気づくというくだりで
落語みたいだが、ありそうだなと思ったりするのである
とはいえ、それにまた飽きるという状態になるのも人間だというのが
もう、どうしようもねぇなと思いつつも、それが愛するべき何かなのかと
気づかされるでもないけど、意図的にそういう物語になってて
うまいなと思ったりして、シニカルなのか、アイロニックなのかも
もうわからないまま、とりあえず楽しんで読んだのであった

面白いからいいやと思うのだが、
何年かすると、このあたりが叶っていたり、古くなっていたりするんだろうかと
今読める小説というものかもしれないなんて偉そうなことを思ったりする

一方で技術の話しだけでなく、科学分野全般のといっていいような話しもあり
いっぱい楽しめる一冊でありました

べらぼう  好機到来『籬の花』

2025-02-16 21:03:40 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
視聴完了しました
細見売り合戦で、吉原が乗ってるような乗ってないような
結局、蔦重が一人で奮戦という様相に、
仕方ないから下の連中が乗っかるという
まぁ、群像劇的な体なのはいつもの通りだけど、
今回も、がっつり男前だった花ノ井改め瀬川が見事で
実にすかっと江戸っ子調子で楽しかったと思うのである

とりあえず本屋との闘いだったわけだが、
あれやこれやと、売るための工夫というのを思いついて
すぐ突っ込んでいく、それでいて、頼むときが結構ひどいというのが
コミカルかつ、テンポがいいから見逃してしまうけど
蔦重もたいがい忘八だなと思わされて笑ってしまった
いや、笑っていいのかわからんけど
過酷な労働環境を用意するやつだなと思ってしまった
やらされている若侍がかわいそうに見えたけど
今もああいうのいっぱいあるよなとつくづく思い知るばかりであった
そういう意味で、やはり商才とは
ああいうやつのことを言うんだろうな
自分もすごい働くからより質が悪いというか
だいたいそういう人が、ああなるんだよな

それはそれとして、でも、頑張ってる人が成功している
そういう話は好きなので見ていたわけだが、
まぁ、一筋縄ではいかない展開でとりあえず今週は気持ちよく終わっておきながら
来週ひどいことになるんだろうという予告
かつ、うろこの旦那が生きて帰ってきたという驚きも含めて
なかなか、今後どうなるやらが楽しみである
うろこの旦那は結局中の人のお約束通り死んでしまう運命なんだろうか
まぁ、そうなんだろうな、寂しいかぎりだ

兄さんがとてもいい人だけど役に立たないというのが
実にいいキャラクタだなと思いつつ
いつか、あの兄さんと別れなり、なんなりが用意されてそうだなと
そちらが怖いと思うのであるけども
とりあえず、予告でものすごく強そうな坊主が出てきていたので
いろいろ忘れてしまうくらい衝撃を受けたわけだが
本当にもう、来週が早くも楽しみでならん

【読書】藍を継ぐ海

2025-02-15 21:13:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
藍を継ぐ海  作:伊与原新

直木賞とったというから長編だと思ってたら短編集だった
表題作はそのうちの一遍だったのだけど、これがすごくよかった
おっさんになったおかげで、久しぶりに涙腺にくる文章に当たって
電車の中で泣きそうになってしまった

そんなものすごく悲しい話しかというと
そういうわけでもなんでもないのだが、
ウミガメをめぐる物語でラストシーン近くの子供の姿の描写が
あまりにも生々しいというか、迫ってくる悲しさに包まれていて
本当、事故にあったみたいに涙腺をがつんとやられたのである
素朴というか、ありていな感じではあるのだが
一種の孤独や寂しさというものをダイレクトに突き付けられるようで
凄くよかった
また、その孤独が受け入れられる過程というか、具象化して氷解する瞬間のようにも思えて
すごくいいなと思って強く印象に残ったのでありました

それ以外も、地質や宇宙に関することが多く
理系の下地がある小説で、大変楽しかったわけだけども
萩焼についてとか、オオカミについてとか、理系といっても
様々なジャンルの理科が集まったような内容で
とても楽しかったし、ためになる小説だった
研究者の在り方というか、研究とはというものについて
一定の重さというか、通底したものを感じる短編ばかりで
これが芯なんだなと思いつつ読むと、
また強く楽しめるように思えたのである

過度にならない人間ドラマが多いと思っていたけど
表題作は、そこがかなり感情の方にふられた内容になってて
これが芯に迫ったというか、なんか、心に響いたと思えたのである
流石直木賞と思うことにする

人や歴史につながる、もっと深く根差したものとしての理科が詰まっていて
凄く楽しいと思えて読み終えたのでありました

【読書】宙わたる教室

2025-02-12 21:08:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
宙わたる教室  作:伊与原新

ドラマが面白かったので原作まで手をだしてしまった
読んでありありと、ドラマの風景も浮かんで、
本当、いいドラマ化だったんだなと改めて感心したんだが
原作の良さというのも認識できて、凄くいい読書になった

謎の多い定時制高校の教師が受け持つ、科学部の物語と
まぁそれくらいにしておこうというくらい
あれこれ語ったらネタバレになってしまう
いや、物語の性質上それはネタバレとも異なる気がせんでもないが
ともかく、あれこれあらすじ書いてしまうと
なんか面白さのどこかを減じてしまいそうな
それなりに謎というか、後々判明することが多い物語でありました

とはいえ、主軸となる学生たちそれぞれのエピソードと、
だんだんと科学部が形を成してきて、研究が進んでいく姿というのが
ただ読んでいてもすごく面白くて
やっぱり青春ドラマ要素というか、学校要素というのは不思議な魅力があるなと
物語中にもある「学校に通いたかったんじゃないか」というそれが
文章からといっていいのか、物語から伝わってくるようでよかった

先にドラマを見てしまったばっかりにそこに印象を引っ張られてしまったわけだけど、
原作の方が想像の余地というべきか、語られないバックボーンがいくつも
提示だけされているというのがよいところもであり、
ドラマであの展開は、このあたりから膨らんだのかと思ったりして
なんとも楽しく読んだのだけど、原作ならではといっていいのか
文章だからこそ伝わってくるような、柳原と学生たちの和解とでもいうような告白劇が
凄く心に響く内容に思えてとてもよかった、
重大な発言というか、隠していた事実として公表されたもの
その重さが、先生と生徒というか、柳原と彼らの間でずれていて
しかも、その本当のところを生徒が言い当ててしまうというのは
文章だからこそ、ぐっとくるシーンだなと思わされて、ここ好きだなーと
思わずうなってしまったのである

柳原の過去という部分についても、文章で読んだ方が
その性格や性質の部分がより鮮明になるように思えて、
謎多きという姿の正体のようなものが見えるようでもあり、いいなと思えたのであるが
研究風景の描写が個人的にはすごくよくて、凄く楽しそうな姿が浮かんできて
大変楽しく、気持ちよく読めたのでありました
最終発表の大団円も、清々しさがあり、気づけば全員の成長を見てとったような
気持ちの良い余韻があって、とても楽しかった
明るい未来が続く期待に溢れてて、とかくよいものを読んだと思えたのである

【テレビ】中国のハゲタカたち - NHKスペシャル 臨界世界

2025-02-11 19:54:21 | ドラマ映画テレビ感想
久しぶりに釘付けになったNHKスペシャルでありました
面白すぎた
どれくらいケレンだったかわからないけど、
見ている分には最高に面白いものを見たと
わくわくしながら見入ってしまったのでありました
なんだよ、どうして上半身裸なんだ、あんな悪役じみた人が
実在するなんてと、その漫画みたいな感じが面白すぎて
悪そうという概念が擬人化したみたいな感じで
大変楽しいのでありました

と、まぁそういうとんがったところも面白いのだが
実体経済というか、実世界の話しとしても
大変興味深いテーマで、
中国で生き馬の目を抜くというのは、こういう人たちなんだ
そして、その顛末として、中国共産党員が出てくるという
もう本当に、安い脚本すぎないか?と思うような展開も含めて
面白くて仕方ないドキュメンタリでありました

ハゲタカ根性というものを久しぶりに見た、
ああやって買いたたくなんてのは、
実際、日本でもいっぱいいたし、割と見た光景のようにも思うので
さほどにもと思わなくもなかったが、
それを一瞬で売りさばくというあのスピードと
その場での無茶苦茶なやりとりというのが
いかにもカオス、無政府、無秩序という感じが楽しくて
この世界観というのが、まざまざ、今の中国という場所だからこそ
豪快に生きているというか蠢いている感触もあって
本当、なんともいえない感激すら覚えたのでありました

イケイケの人のイケイケっぷりと、
それ以上のヤバイやつがきた時、
それを打破するために、違うところへの賄賂だったのか
何かしらというのがわかりやすいんだが、本当に、ああいうものだろうなと
信じてしまう感じがすごくよかったのだが
変わり身の早さというのがまたとても面白く、
最終的には日本にきてユーチューバーまがいのことをしているというのも
衝撃的ではあるんだけども、ああいう人がいっぱいいて、
さらにいうと、もう日本の田舎の色々なところに住んでんじゃないかと思わされて
うすら寒くも思ったのである

ただ、人間の強さというのが宿っているというべきか
善悪ではない、好き嫌いで見てしまいそうなそれだが
なんか強烈に自分に足りていないものを見たという気分になったのでありました
作るというのではなく、利ザヤを出すということだけをしている人というのは
一定必要かもしれんが、色々なものが滅びるよなとも思ってしまうのが
弱いところであろうかしら

【読書】デートピア 

2025-02-10 21:02:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
デートピア  作:安堂ホセ

ひっかきまわされた
そんな読書になった
リアリティーショーという文化について、まったく素養がないので
ああ、そういう海外で人気の番組を扱った作品かーと思いつつ、
それでも、その手法が新しそうな感じで、解説的に進む独特の手法に
あれあれよと魅入られたと思ったら、
途中から、まったく違う物語を読まされたようになって、
さらにそれが二つくらい続いて、結局終わってみると一本の話しだったと
衝撃的な読書だったんだが、読んだらとにかく疲れた

扱ってるテーマが複雑に交差してて、
流行の多様化という大きなものはありそうだけど、
それの実地に近い部分、実際にそうだというコミュニティでの経験や体験が
これでもかと生かされているような展開が興味深くて、
それでいて、人種と性別嗜好別、そういったものがごたまぜになって
カオスとなった実際の生活が、善悪ともまた違う軸を持つ
そういう文化集まり、コミュニティというものが自然形成されていて
それを諸悪とする排他的な思考について、糾弾することもなく断罪している
そう読めるような、複雑な怒りともとれる内容が
まぁ、なんというか、大変面白かったのである

暴力とは何かということもまた、一つのテーマとしてあり、
割と浅はかに想像したときに寄って立つ人種差別というものではない、
真の差別というか、もっと根深いところ、その姿を書きだしているように読めて
純ジャパという単語に、新鮮なものを覚えたのであった
自分がそうカテゴライズされる側に、当然入るわけだ
そうではないとしてしまった以上、そうされてしかるべきだと
なんとも考えさせられたのである

事件として何が起きたということもない物語なのに、
壮大な振れ幅をもって、価値観を揺さぶられるような読書になって
物凄く面白かったのだが、ものすごくくたびれた

べらぼう  鱗が剥がれた『節用集』

2025-02-09 20:55:14 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
視聴完了しました
思ったよりも早くというか、あっという間に鱗型屋がとっ捕まって
やっぱり、愛之助さんは長生きできんなと思ってしまったんだが
あの感じからすると、一旦抜けるけど最終版でもう一回出番あるんじゃねぇかな
どうだろう、あってほしいかもなと
思ったりしながら見ていたのである
今回のは、蔦重と同じ気持ちで、なんというかやりきれない
嫌な話しだったなと思うのだが
実際は、そうでもないはずなんだけどなぁ
なんだかんだ、蔦重にすっかりドラマとして掴まされているということかと
その求心力というか、のめり込みを自分で驚くばかりである

また新しい本をという話しがあって、
そこで楽しんでいるというのは、なかなかいいところだったわけで
相変わらず新しいことを仕掛けて、あれこれ汗をかくということが
本当に好きなんだなという感じが素敵というか
今、なかなかねぇなと思わされるまばゆさすらあって
見ていてとても楽しかったわけだが
その陰で、悪いことをしている、それについて知っていて目こぼししていた
その気持ちがすごくわかるというか、
むしろ、お稲荷さんに相談してたみたいに「乗っ取り」ができるなんて
本当にかけらも考えてねぇんじゃねぇかなとか
なんか、そう思ってしまうのは、お人よし過ぎるということか
忘八の息子だけど、そうではないという感じがしすぎるというか
実際は、結構ざっくばらんに、そのあたりの善悪までいかない、よしあしは
緩やかなんじゃねぇかなと、今回ので思ったりしたのである
まぁ、くよくよ考えるというのが
蔦重にあってないと思う、視聴者の心がそう見せてしまうのだろうかしらね

と、そんなことやってる間に、
更生した鬼平がぱぱっと仕事をしてしまって、
しかも、なんか売ったみたいな感じで終わったというのが
遺恨を残す感じになったのがなかなか楽しそうで
もう一回、何かで出てくる感じなのか、
来週とっとと解決してしまうのか、わからんが、楽しみにしたいのである

それはそれとして、新しい青本とやらは出たんだろうか
いや、これから出すのか、どうなんだろう

あと、色々小ネタを挟んでくるなとは思ってたけど
一通り過去の出演作を触っていくスタイルなのか、
高家の話しはうまいなと思ってしまったんだが、
政宗いじりするんだろうか、気になるな

【読書】京都 ものがたりの道

2025-02-08 20:54:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
京都 ものがたりの道  著:彬子女王

歌集かと思って読んだのだが、
京都の道をテーマにした、エリアガイドでもないけど、
歴史と今を紹介する短編コラムを集めたものだった

新聞連載をまとめたものだそうで、京都の様々な通りにちなんで話しが、
ご自身の体験とともにつづられていて、京都のこともわかるのだけど、
宮家の人の日常を垣間見えるという点でも
大変興味深い一冊でありました

それぞれの道の成り立ちが、主たるところは秀吉の治世による部分だという説明は
よくある歴史書でも知ったところだけど、実際にそこを歩いてどう見たか
どう感じたかという添えた文が魅力で、なるほどと思いながら
同じくたどったかのように感じられるよい読み物だった

私信をかねているわけでもないだろうけど、
やはり御身分から、つねに側衛というボディーガードが付き添っていて、
そちらへの感謝の言葉が多々見られるのがよかった
それが当たり前である毎日というのが、不思議だけどそれを普通にしてきた人の感覚で伝えられて
なるほどと感じさせるところが多かった
結構散歩をなさるようで、それについていくすがら、京都府警の様々な担当の方と
あれこれと語りながら歩くのがよいということだが、
この役目は結構大変だろうなといらんことを考えるものの、
文章から伝わる魅力から、本当に誉高い仕事なんだろうとうかがえて
羨ましいでもないが、不思議な感覚になったのである

当たり前ながらの育ちのすばらしさ、言葉選びに感心というか
感激に近いものを覚えたのだが、
下立売あたりのエピソードだったと思うが、
やや痴呆のケのあるご老人と出会った出来事で、その方を「おじいちゃま」と書かれているところに
なんともいえぬ奥ゆかしさというか、いいなーと思わされたりしたんだが
ここでの京都府警の活躍の描写もすばらしくて、
街歩きルポとしても、ドキュメンタリとしても読みごたえがあるなと
面白く読み終えたのである

【読書】たべるノヲト。

2025-02-05 21:05:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
たべるノヲト。  著:松重豊

すっかり文筆家としても慣れたもの
そんな感じで、連載コラムをまとめた一冊だけど
大変楽しく読めたのでありました
いや、代表作がごとき、食べ物を扱って、それを食べたくなる文章で
見事だなと感激して読んだのである
焼きのりが食べたい!

食べ物にまつわるコラムで、どこかで食べた美味しいものの思い出や、
これはと思う食べ方の紹介とかが短くまとまってて
とても美味しそうで、そそる
なんてことはない一品ぽいものから、ちょっと自分家でやってみることができるひと手間
そういうのが集まっていて、ちょっと食べたいなという気分を
否応なしに刺激してくるのが見事で、夜中読んだらダメな本だなと思うところ

いぶりがっごとクリームチーズという鉄板組み合わせはもちろんだが、
それを炙ったノリに乗せてというのが、いやー美味そうだなと
ノリなんて常備したことないけど、ちょっと持ってた方がいいんじゃないかと思わせる
見事な美味しさに溢れていてよかったと思うのである

【テレビ】正月に将棋番組を見たメモ

2025-02-04 20:56:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
正月に将棋番組を見たんだが、
なんであんなに長い休みの同じ時間帯で、将棋番組がかぶるんだよと
うなだれそうになりながらも、どちらも無事視聴できたので
さっくりと感想だけメモっておく

まず、実家が愛知県でよかった案件である
東海テレビの「新春スペシャル 藤井聡太とかまいたち」
たしか前年は、欽ちゃんを呼んでの番組だったと思うのだが
基本フォーマットは同じような感じで、
姉弟子と未蘭ちゃんがうまいこと回しながら、
もう段取り全部決まってるやつじゃんというすごろくを楽しみながら
ぼちぼちと進めていたのであるけども、
なんでゲストが、高見先生だったのかだけ解せなかったんだが、
コメントもかなりはしょられてしまっていたようで、正直申し訳ないとか思ってしまう番組だったけど
師匠が空いてなかったとかそういう案件なんだろうか(ひどい言い方だ)
それはそれとして、伊藤先生に敗れた話しとかに花を咲かせつつ
藤井先生が、ほがらかに笑ってたから楽しかったんだろうなと思ったものでありました

まぁ、ドキュメンタリみたいなもんだから、
基本語りだけになってしまうのは仕方ないところながら
まさかの平手で、ちょっとだけ藤井先生と指し初め(収録からしてそうではないんだろうが)できるとか
どういう僥倖だと羨ましく思いながら見ていたんだが
よもやの飛車がうろうろする序盤で、素人があれこれやろうとする図としては
大変面白そうだったんだが、これが中盤に入る前に終わりというのは
まぁ仕方ないとはいえ、見ている方からするとなんで?となってしまう感じで
この図を見て、昨年の欽ちゃんが指すなんてとんでもないと遠慮して
質問だけで終わらせたというあたりに、格というか、わかっているところが見えて
凄く感心したのであった
かまいたちも、なんとか番組を成立させるために面白くさせようとするんだが
藤井先生相手に失礼なく、かつテレビ的に面白いとか無理筋よなと思ったりしたのであった
来年は誰が呼ばれてやることになるんだろうか
もうちょっと、将棋っぽく、かつ藤井先生まとめしながら意味のある番組を目指してほしいと
願うばかりである

つづいて、NHKの方、2025新春将棋バトル~バラエティー五番勝負~
こっちはいつものフォーカスメンバーに加えて
今回は豪華に振り飛車特番といった様相で、
藤井(鰻)先生と、久保先生という振り飛車大家をそろえた遊び将棋で
実に将棋番組としてにぎやかで楽しいそれになってて、流石と思いつつ見たのでありました

こっちのほうはタレントの選択がゆうこりんで、
これまたなんで?と思ったというか、
まだ活躍していたんだという気持ちで見ていたわけだけど、
どうにも、ママタレ枠っぽい感じで将棋を子供にさせようというあたりを狙うと
まぁ、本当にそういうつもりだったかわからんが、
結構わちゃわちゃ楽しそうにしてて、いい感じで将棋のイメージが軽く見えたように思うので
凄く楽しかったと思えたのである

とはいえ、女流対決のディスティニー将棋の調整が酷いありさま(よい意味)で、
大逆転将棋どころではない展開に、凄い笑ったわけだが、
やまねこ先生があまりにも不憫だなと思うのと同時に、
本当美人はこういう時も絵になるなと感心したというか、おっさんのたわごとを思いついたのであった
本田先生の飛躍を妨げているのは、嫁が美人すぎるせいで回りの奮闘が甚だしいせいではないかと
ふた世代前くらいの将棋界っぽいことを書いておいてみるのである
はさみ将棋とか、あれこれ楽しく将棋遊びをしていたので
これまたよかったわけだが、やっぱり本将棋がみたいもんだよなと改めて思って
超絶早指し戦を再びみたいな感じで見たいかなぁと思ったりしたのである
あれは、山崎先生の発明でもないんだろうが、
実に面白い企画だと思うばかりである
どこかで見た詰将棋カラオケとかもそうだけど、なんかさせながら将棋の面白そうなのを
バラエティとして見たいなと思うけど、
先生にそういうことさせるのも忍びないとも思ったりしてしまうわけで
なかなか将棋番組を作るというのは難しいんだなと
改めて思い知ったのでありました

そうなると、ちょっと指せる芸能人というのが重宝するもんなんだろうか

【読書】アルバイト・アイ 毒を解け

2025-02-03 21:05:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
アルバイト・アイ 毒を解け  作:大沢在昌

こんな小説書いてたんだ
そんな気持ちになって読んでしまったんだが、
個人的に非常に貴重な体験をしたような気分で、
まるで、90年代終盤のエロゲのシナリオみたいな本だなと思ったわけだけど、
これは順逆で、こういう感じのものがあって、ああいう世界観の狭い世界があったんだろうか
確かめようもないというか、その世代よりも若い自分には
わかることがないのだろうと思いつつも、
どこか懐かしいノリといったらいいのか、こういう不良少年がいたなんていう世界観が
好きだなぁと思いつつ、スケバンとか出てくるという感じが
とても好ましく、それはそれとして、話しは漫画みたいにコミカルで読みやすく
さくさく楽しめたのでありました

探偵業をアルバイトでやってる不良少年が主人公なわけだが、
その父親が、これまた探偵で、いや、もともとはスパイやってたようなと
なかなか危なっかしい過去があるせいで、やってくる依頼というか事件も
結構シビアなものが多くて、アクションというか、
切ったはったがある内容なんだけど、不思議と、さほど死人が出ないというのが
面白いなと思ったところである
読み応えからすると、もっとたくさん死んでそうな感じだが
案外そうでもないというのは、読みやすさとエンタメの見事さの証左というやつだろう

ちょっと重そうな過去もちらつくけど
それは関係なく、青春というか、今を生きている主人公の元気さというのに
なんというか時代を感じるばかりなわけだけど、
こういうのを楽しめるというのもまた、年齢というか年代によるのかとか
いらんことを考えつつも、非常に楽しく読み終えたのでありました
殺し屋とかでてくるし、ドラキュラまがいのものがでてきたりとか
割とトンチキな展開なんだけど、それが面白い
やっぱり全体的にその頃の漫画といったノリがいいなぁと
読み終えたのでありました

べらぼう  蔦に唐丸因果の蔓

2025-02-02 20:57:45 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
視聴完了しました
唐丸がどうなってしまったのか、まぁ帰ってくるんだろうなと
想いはするものの、それはそれとして、あの浪人がなんだったのか
そっちの方が気になったんだが、あれはその内再登場する唐丸が明かしてくれんだろうか
そうじゃないなら、次回さっそく復活しそうな鬼平に
種明かしをしてほしいところだが、はてさて

今回は、源内先生の山師稼業のことと、
今のお江戸の状況をわかりやすく解説する
マクロな回だったと思うのだが、
何も産業がないところに新しい儲け話をという、今でいうデベロッパー的なやつだよなと
感心して見ていたというか、蔦重だけじゃなく
そういうことやってた人は、あっちこっちに、今と名前が違うだけで
いっぱいあったってことだろうと思いたいのである
源内先生がちょっと天才すぎるので、それはちょっとという感じもせんでもないが
まぁ、江戸時代にだいたい今でいうあれこれはあったよ、なんていう話しは
ちょこちょこ聞くのでそれをドラマで見せてもらえるなら
なんか面白そうと、この展開も楽しみにしていきたいと思うのである

蔦重が結局どうするかというお話で、
相変わらずあっけらかんとしてるから、
色々ひどい目にあったけど、そう悟らせないというのがいいなと
思ったりするわけだけども、次回以降はさっそく諍いになっていきそうで
物語としては大変楽しそうで、わくわくしてしまうわけだが
先にも書いた通り、鬼平の旦那がちゃんとして帰ってくるというのが
一番楽しみで、今後の展開も含めて
鬼平と蔦重とという組み合わせを見たいと
願うばかりである

唐丸は、結局金庫持って逃げられたんだろうか
それとも、金庫は沈んでしまったんだろうか
そっちも気になるなぁ

【読書】婚活マエストロ

2025-02-01 20:58:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
婚活マエストロ  作:宮島未奈

40代のWEBライターとは名ばかりの
その場しのぎの場末文章で糊口をしのいでいる男が、
その仕事のひとつとして依頼を受けた婚活業界の宣伝という切り口から
だんだんと、婚活という世界そのものに触れていくという物語で
なるほど、そういう感じかーと思いつつ、
それはそれとして、主人公が少しずつ変化成長ともとれる動きをしていくのが
なんとも心強く読めてよかった
40代で、そんな感じで恋愛になっていくかというか、
青春小説と変わらない、なんだったらもっと幼いといってもいいような
シンプルな恋の落ち方が、ある意味すっきりしててよかったと
思ったりしつつ読んだのである

個人的にはちょっと消化不良というか、
こんなすっと終わってしまう感じなんだと、驚いて終わったんだが
余韻がもうちょっとあってもよかったんじゃというのは
読んでいる自分が主人公になんらか期待というか、
のめりこんだせいかもしれんと思ったりするくらい、
気づいたらページが終わってしまっているというくらい
さらっと読めるし、情景も浮かんで、まるで不快感がないというのに
相変わらずうまいなと感激したのである

婚活も色々なパターンがあるようで、
そういうものなんだなと学ぶような気持ちも芽生えたり、
そしてタイトルであるマエストロとはという部分も
少しあれこれ考えさせられる感じにもなっていたりと
面白く飽きないつくりで楽しめた

ともかく、嫌な奴というのが一瞬ちょっとだけ出るというだけで
基本、とても気持ち穏やかな世界だけで終わるので
読んでいて力が入らず気持ちよく終わることができるので
大変よかったと思うのであった

【読書】業界怪談 中の人だけ知っている

2025-01-29 21:05:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
業界怪談 中の人だけ知っている  著:橘もも

どうやらNHKでやってた番組のノベライズというか、
本化したものらしく、こんな番組知らないと思いつつ
興味そそられ読んだのであります
タイトルからまっすぐに想像せず、業界ならではの怖い話しかと思ったら
本当に怪談で、オカルトめいたというか、
夏によろしい話しが揃っていて、なんか違うと思いつつも
楽しく読んだのである

令和の時代に、昭和オカルトのようなお話で
様々な業界の人たちが、その職業の人たちによく伝わっている怪談を集めていて、
清掃会社や、葬儀社、登山家、美容師と様々な人たちが
業界に伝わる怪談を語っているのだが、なかなか面白かった

個人的に、あんまりピンときてなかったけど
言われてみればというのが美容師業界で、
人の髪を切る、あるいは、髪というものに何かしら怖いものが秘められているというのは
なるほどなーと思いつつも、人の情念みたいなものに触れると
怖いことが起こるというのは理解できるところ
でも、山とかで出会うような、完全に埒外の出来事の方が
個人的にはオカルトとして信ぴょう性とは異なるが、畏怖畏敬という感じを覚えて
好きというと語弊があるけど、興味深いなと思うのである
このあたりは幽霊探偵の影響が強いせいかもしれない
化け物とは埒外であるというのを支持したいのである

が、それはそれとして、タクシー業界の誰もが知っている
後ろのシートが濡れていた話しなんてのは、やっぱりたくさんあるようで
あのあたりで拾った客だとか、様々なディテールがあるみたいで
これもまた興味深いと思うのである
古い家に取りついているというか、なんか怖いこととか、
建築現場での事故について、悪い場所というので起こるものは
みんなそういうものとして信じるというのとも異なる、
あるものとして扱うというスタイルが日本人らしくて好きだと思うのであった

超常というものはあるんだろうと思っているけども
説明できないからこそあるだろうし、
それっぽい理屈がつくと嘘臭いと思ってしまうわけで
それでも、なんとなし、その人たちだからこそわかる何かというのが
いいなと思えたのでありましたとさ