CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ラン

2014-07-26 19:05:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
ラン  作:森絵都

あの世とこの世をいったりきたりする
少し不思議な物語でありました
なかなか切ない、描かれている別れであるとか、
不幸めいたお話は、なるほどと思わされ、
次第に成長でもないが、生きていく主人公を
面白おかしく見守ることができる内容でありました

全体的にはライトといえると思われるのですが、
ところどころというか、生きるうえでの皮肉というか、
世間の世知辛いところだとか、
やや、説教くさいところなんかが
あれこれと見えるのでありますけど、
この説教くささが、こっけいといっていいのか、
ものすごいおばはんというキャラクタに語らせるので
なんか、不思議と聞けるような、
そして、利く気がなくなるようなという
そんな按配で秀逸であります

物語は、自転車で走るところから始まって、
やがて、自分の足で走る、
ひては、マラソン大会に出るという
そんなところにつながっていく
スポ魂めいた物語になっていきますが、
ものすごい熱血でもなく、
動機は不純のままで、なによりも成長が遅いという
スポーツものなのに、爽快感が少ないという
稀有な感想を抱く内容でありまして、
これを見て、題名のとおり走ろうと
なかなか思えないけども、
走るということを通して、
生きるといったテーマが描かれていくさまは
腑に落ちて、すっきりという具合でありました

途中で、何度も挫折するくだりは、
なんというか、ありそうだと思うんだが
これよりは、もう少し根性あるだろうと
自分を高く見積もってしまったりしつつ
走りもしていない立場からでも、
走ることに対して、あれこれ
想いはせることができる、そんな小説でもありました

死なんていうものを、
理解できたような気分になれるのも
素敵なところであります
前向きになれる、よい内容でありました


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