CLASS3103 三十三組

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【読書】死んでから俺にはいろんなことがあった

2024-08-12 21:14:22 | 読書感想文とか読み物レビウー
死んでから俺にはいろんなことがあった  作:リカルド・アドルフォ

大の大人が迷子になる話し、
で、間違いないわけだが、家に帰る帰れないというのが比喩というか、
故郷(くに)に帰れないという意味でもあるような、
そういう境遇と、どうしようもない運命というのを描いた作品と
かっこよく解釈できそうでもあるんだが、
やっぱり、ただ、迷子になって、路頭に迷っていた家族の話しだよなと
改めて思うのであった、崇高ではないとした方が価値があるというか
教訓めいたものなんてくそくらえだと、そんなメンタルで読むべきもののように思う

「くに」と呼ぶところから、亡命のようにして「島」へやってきた、
移民親子のお話なのだけども、主人公はその逃げている父親で、
これがまた、やることなすこと酷いことにしかならない男で、
のっけから、そのやらかしが始まって、気づいたら家に帰れなくなるという
そんなことあるかなという展開で驚く
これがまた、ろくでもないというか、本当にツいてもいないし、
何より、浅慮甚だしいので、おおよそ悪い結果しか招かないことばっかりやって、
どんどんと路頭に迷っていく物語で、
ただただ読んでいると、なんか、イライラしてくるというか、
哀れであるんだが、憐れむ気持ちにはならないし、
なんならむかつくといった感じだけど、最終的には憎めないというか、
もう、どうと考えたらいいかわからない感情を抱いてしまう

なんだかんだ、かっこいい場面があったりなかったりしながら、
ただ、根っこのところはいい奴と言っていいのか、
妻と子供のことは本当に愛していて、そのために、なんとかしようと空回りしてという
笑えそうで、笑えない哀れをはらんでいるわけだけども、
最終的には、凄いたくましいので、心配して損というわけでもないが、
もう好きなように生きていけお前わ!と送り出したい気分になって終わったのである

酷い目というか、なかなか困難に見舞われているんだが
その原因が間違いなく、本人にあるので、仕方ないともとれつつ、
でも、ものすごく大きな目で見ると、移民というものの哀れというか
異邦の民という生き方の辛さみたいなのが見てとれるようでもあって
趣深く読んだのでありました

まぁ、楽しいと手放しで喜ぶタイプの小説ではなかった


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