CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】鹿の王 水底の橋

2019-08-05 21:34:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
鹿の王 水底の橋  作:上橋 菜穂子

そもそもの鹿の王を読んでないというのに
なんとなし手にとってしまった
東洋ファンタジーの名家といっていいのか、
本としては、守り人シリーズしかちゃんと読んでないけども、
あれも、一作ずつ読んでどれも面白いと感じたので
まぁ、問題なかろうと、最新刊というのに弱く
読んだのでありました

やはり、上手であると
つくづく感心したのだけども、
ファンタジー小説で、架空の世界を描いているのに
とても想像しやすく、結構入り組んだ政治の話だったのに、
それもまた、理解しやすくなっていて
物語を堪能できたのでありました

モチーフというか、テーマに、命と医療というものがあって、
このあたりは、獣の奏者とかもこれに近しい内容だったかと
感じたりもしたんだが、
医術の流派が政治に絡んで争うといったところに、
様々巻き込まれたり、男女の妙があり、
生まれや人生や、なんだかんだとがあって
男が一人生きていく姿を実直なそれを描いていたと
そういう物語でありました

一筋縄でいかない人間の様々が描かれて、
主人公が、よくある朴念仁の正義感というのではなく、
それなりに時世を読んで、それなりに自分をもって、
様々悩むという姿がいいのだけども、
それでもどっか、抜けているというか、幼いとも違うが、
足らない部分が、若さなのか、おぼこさなのか
そういうのが魅力的にも見えて、
そこの奮闘する姿がよいという小説世界を堪能させてもらったのでありました
読むだけで、想像力でどんどん世界が広がるような
凄く楽しいそれを楽しめたのであります
本当に、凄い作家さんだと改めて思い知ったのでありました

内容も、先進的とは決していわないが、
男女のさかいなく、自立した人間という姿が描かれていて
この清清しさが、児童書といわれるそれなのかと
改めて舌を巻くのであります
面白い小説を読めた

いだてん  夢のカリフォルニア

2019-08-04 21:24:01 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「いだてん」
視聴完了しました
相変わらずかっ飛ばしていく感じだけど、
よくよく考えると、これ戦争前なんだな、
その時に日本の選手団が世界で二番目の多さってあたりに
なんというかな、日本を見ている気がしました
それっぽいことを言ったふうにしているけども
なんというか、いつも日本てこういうのだなと
感じたという意味あいである

さて、それはそれとして、女子選手が田畑が指摘したとおり、
完全に芸者扱いになっていたのがショックだったんだが、
あの頃から、日本の女性に妙な憧れみたいな、
または、よからぬ思いを米国男性諸氏が抱いていたかと思うと
なんとも、考えさせられるところでありました
そのカウンターでもないが、よかったのは、
それによって、男子選手が張り切りすぎて、スピードアップする話が
解り安すぎて凄くよかったのでありました
あのせいで、ロートルが踏み台にという話が
霞んでしまったというか、意味ないじゃんとか
思ってしまったんだけども、どうだろうかね

と、そんな不安を抱えていたら、
実際には、嘉納の爺さんと同じような想いを抱いて
なんとか貢献しようと、いいことを考えていたと
ようやく発露されて、なるほどなぁと
さらにそれによって、団結するみんなというのは
いい塩梅でありました
ドラマとしては、よく出来ているなと
しみじみ感心してみていたところでありますが
先の回で、また、酷いことになるようで
そんなに水泳強かったんだと今更知ったりしながら
ともかく、戦前最後の輝きともいえるときを
楽しみに見守りたいと想うのでありました

来週はオンタイムで見られないのが残念なんだが、まぁ、仕方ない

【映画】ウルフ オブ ウォールストリート

2019-08-02 21:32:16 | ドラマ映画テレビ感想
また、3時間もかかる映画を見てしまった
面白いと聞いてはいたけども
長すぎるだろうと、映画館もパスしてしまっていた作品ですが、
見る機会に恵まれたので、じっと見終えたのでありました
いや、凄い面白かった、確かに映画館で見る必要はなかったけども、
大作というか、豪華な作品だったと
堪能したのでありました

ウォール街で詐欺すれすれというか、詐欺そのものを働いて、
女と薬物をすき放題にやり散らかして生きている
たたき上げの男の物語でありました
頭のいい、育ちの悪い男が、
その度胸と、頭脳と、危険さを駆使して成り上がっていき、
そして、そのままに本能を振り回して生きていく
そういう感じで、最終的に転落したと思ったら、
そうでもないオチで終わるという
一代記でありました

ここまで露骨にエロが入ってくる映画は
初めて見たかもしれんという感じで、
もっとも、エロシーンといっても下品な感じなので
半ばギャグといった消費のされ方をするし、
そういう時代が、日本のバブルにも似た何かが、
当時のウォール街にはあったのかもしれないと
思わされた内容でありました
すかしたエリート野郎どもが、そんな破天荒をしているのではなく、
育ちが悪い男が成り上がってやっているというところがステキに見える
これは、アメリカとか関係なく、
人類共通の夢めいたものなのかもと
それをやってのけた男を見ることができたのでした
まぁ、よく考えてみると、酷いことこの上ないんだけどもな

序盤では、貧乏人相手に、せせこましい詐欺を重ねていたのだけども、
それを体系立てて、金持ち相手にふっかけてみて見事に成功するという
このあたりは、あまりにもあっさり見せすぎているから
ギャグにしか見えないんだが、相当に凄かったんだろう
確か、モチーフになった人物がいたと聞いたので
そういうものがあったんだろうなと
思わされたりしたのでありました
ノリというか、ジャンルというか、方向性みたいなものは
バリーシールと近い感じなんだけども、
あれよりは、ちょっと高級というか、金融という一種のステータスめいた場所での戦いであるというのが
面白い要因でもあったように感じたのでありました

悪をやっていた初期メンバーと、それなりにやってきて、
それなりにバカばっかりでと、色々考えさせられるんだが
本当にもう、夢の物語だなと思い知らされる映画でありました

最終的にはFBIにやられてしまうというわけだが、
そのFBIにしても、捕まえたカタルシスなんて到底なく、
終わってみれば、何も変わらない日常で、
貧乏人たちが集まる地下鉄で移動している自分を見つめるという
この印象的なシーンが、また、素晴らしいなと感激したんだが
映画としては、最後に、「ペンを売る」というテーマをさらっと見せて、
序盤で出てきたその回答と、
最後に出てくる数々の回答との差を主人公がどう理解したか

見ているこちら側は、なんともいえない感慨を覚えるラストシーンで
これまた素晴らしかったと思ったのでありましたとさ
よい映画だった、長いのに面白い映画というのは素晴らしい

【読書】希望の糸

2019-08-01 21:24:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
希望の糸  作:東野 圭吾

よくまぁ、毎回色々思いつくなぁと感じつつも、
今回のも、こんな設定よく思いついて、それでいて
ちゃんと物語にしてしまうなぁと
感動してしまったのであります
ある悲劇が、様々な動機を招いて、不幸な事件を呼んでしまう
この動機の部分がやっぱり、東野圭吾という作家の
妙があふれているんだろうと
しみじみかみ締めたのでありました
この内容で、ガリレオ先生でも違和感がなかったようにも思うが、
解決する刑事の身の上とリンクするというところが
また秀逸でありました

ネタバレしたくなってしまうが、
なんとなし、こういう要素が入っていそうだなと
予測していたものが、確かに含まれていたけども
それが主軸の部分ではないところに
でも、重要な要素として出てきて
本当、素晴らしい作家さんだとシャッポを脱いだ感じなのでありますが
人間感情というものの方向や、種類というものを
様々にアレンジして見せてくれるのがよいなぁと
感激した次第でありました
やっぱり、トリックがどうしたとか、事件がどのようにというのではなく、
人間がどうしてそうせざるを得なかったかの
動機部分に争点をあてるというのが
面白いミステリの肝なのかもしれんと感じ入ったのでありました

直接的には関係のない、刑事の身の上話が、別の家族との間でも発生しているので、
ちょっとこんがらがってしまうというか、
どの家族が、どの話の当事者だったり、加害者だったりだっけかなと
解らなくなったのは、私の理解力低下のせいだろうと思うものの
そんな入り組んだ話なのに、やっぱり、さらっと読めて
概要が理解できる
というか感動できるというところに、本当、凄いなと
ほれぼれしてしまったのでありました
難しい入り組んだ話を、解りやすく、でも、説明調子ではなく解説しきってしまう
この物語はほどよく脳みそを刺激してくれるし
情動も催すので、なんというか、極上だなとべた褒めしてしまうのでありました

最終的には悲しい事件でもあるけど、
やや救われた感じで終わるのがよろしくて
安心して読み終えることのできた小説でありました