CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【ドラマ】アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

2024-04-09 20:47:46 | ドラマ映画テレビ感想
NHKで3週にわたって放映されていました
また、知らない物語だと思いつつも、
アガサ・クリスティ作品ならさぞ楽しかろうと楽しみに見たら
案の定というか、大変面白くてよかった

しかし濃密というか、重厚といっていい作りのドラマで、
内容は割と軽め、いや、殺人がかかわっているので軽いというわけではないけども、
タッチが軽いという印象なんだが、絵作りが重いのと
シナリオが難しくて、ちょっと油断していると、わからなくなってしまう
実際、全部見終えたけど、ちゃんと理解したか?といわれると
わからないけど、重厚さに押し切られたように、ああ、終わったと
思わされたりしていたような感じもあった

結局、詐欺師集団による遺産目当ての殺人というオチだったわけだが
それを暴いていく探偵でもない、二人組というのが
相変わらずいかにもアガサ作品の登場人物といった具合で
これがまずまず、大変よかった
前々から思っていた、アガサのお気に入りと思われるシチュエーション、
勝気な娘が、どんくさいと思っていた男に最終的にリードされるという
それが、いかんなく発揮されていて
そこの部分を見ているだけでも、凄く楽しくてよかったのである
アガサ作品に出てくるお嬢様というキャラクタが、そもそも好きなのかもしれん
イギリスにはあんなお嬢さんがいっぱいいたんだろうかと
にやにやしながら見てしまったのだが
どんくさそうな青年もまた、実際は勇気と知恵のものという
実にかっこいいキャラクタになっていて、ミステリとしてトリックやギミックがもてはやされるけど
このストレートなキャラクタ像が人気の秘密でないかとも思ったのである

しかし、登場人物にムダがないし、物語も過不足というか、
ぎりぎりの情報量から、すべてが解き明かされていく
そのための駆け引きや、情報の出し方が本当にうまいなと
謎の男に囚われた時とかの会話劇なんかが、本当にすばらしくて
とても楽しい物語をドラマで見せてもらったと思うのである

映画ではないんだろうが、スペシャルドラマとして
大変よくできてて、イギリスではこのシリーズがどれくらい作られてんだろうかと
蒼ざめた馬以来であったわけだが、大変楽しく視聴したと
メモっておくのである

【読書】めざせ!ムショラン三ツ星

2024-04-08 20:58:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
めざせ!ムショラン三ツ星  著:黒栁桂子

刑務所栄養士というお仕事があるということすら知らなかったんだが、
刑務所で、いわゆる給食のおばちゃんとして働く人のエッセーというか
体験記のような日常読み物
刑務所の中、それも、炊場と呼ばれるそこだけのことながら、
不思議といえばよいのか、色々と規則のある世界が読めて
大変面白かった

刑務所の食事は、受刑者が調理も担当するのだそうで、
ただ、その指導や栄養管理をするための栄養士さんが存在し
著者がその役目として勤めている、または、勤めていた刑務所での出来事がつづられている

読み始め、作者名を見ていなかったので
女性だと思ってなかったから、男性刑務所で
何も知らないと怖いという話は、そりゃそうだと思っていたが、
女性ならより一層怖いだろうなと改めて思い知るのだが、
実際のところ、そんな怖いこともなく、むしろ普通にこなして、
そこで何かしらのコミュニティというか、繋がりを持つこともできていて
更生の一端を見るようで興味深い

刑務所とはいえ、結構若い受刑者が多いところの担当だったようで
やんちゃそうだが、子供のような受刑者や、その面倒をみる強面の刑務官といった人たちの姿が
なんとなし見えてくるようで、規律ある中で、ちゃんと生活しているんだと伺える

こんな料理がありましたというレシピ紹介もなかなか面白いし、
それを生み出すために予算と、そもそも刑務所だから使えない食材やら、調理方法やら、
さらには、均等に分けるという大変重要な任務のために犠牲とせねばならぬことなどが
山ほど出てきて、それに対応しながら作っているという、その体験記が一等楽しい
なんだかんだ工夫するというのは、見ていて楽しいものである

しかし、貧相とは異なるが、シビアな食糧事情なのは間違いないようで
それでも栄養はしっかりと管理されているから、無駄に太ることもなく
みんないい感じで痩せて、健康体になるという話が興味深く
冗談ぽく書かれていたが、本当に、プリズンダイエットは存在するんじゃないかとすら思ったのであった

食材が貧相なのでどうしても美味しくなくなることもあるようだが、
そこは工夫でなんとかしてという気概をもって働く姿は見事で、
刑務所のごはんがおいしいのはけしからんという層もいることも理解できるのだが、
軸がずれた話題なので、相容れることはないと思うところ
でも、なんとか健康でいてもらうというのは重要な任務であるし、
それを受刑者たち自らが一生懸命やっているというあたりは
それもまた、生活刑といってもいいものなのかなと考えさせられるのでありました

更生や罪状の話は一切でてこないので、
ちょっと変わった給食の話として読めてしまうわけだが、
その根っこの部分、更生やサポートに関するところは
とても考える余地の多いところだと思いながら読み終えたのである

光る君へ  星落ちてなお

2024-04-07 21:11:54 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
今回は静かに、静謐といってもいい感じで
個人的には、とても充実していたと思ったのである
話しとしては、淡々と、兄の横暴が始まった、
ただその一点だけだったわけだが、父の死というものが象徴にすらならない
さりとて、副題は「星落ちてなお」というのは、
はたしてどういうことなんだと思っていたわけだが、
道長、まひろともに、自身の夢につまずくといった感じでもあり、
そこが、父親との対比という
かなり高度なそれなのかと思ったりしたが、なんか的外れな気がしてきた
わからんから、面白いと思ったまま、見続けよう

さておき、相変わらず楽しそうに愚痴ばっかりの秋山が、
新しい嫁さんと、いい感じになってて、ちょっとおさわりはやばくない?と思ってたら
おなか揉んでたらしいって、それはそれで、生々しいなと思ったりしたんだが
もう、このドラマは怖い物無しだな、すげぇ
そして、久しぶりに出てきた清少納言が、相変わらずの切れ味で
「聞こえてましたね」はなかなか、潔くてよかった
あれ、考えるまでもなく、まひろは巻き込まれ事故だよな、ひどい話だ

清少納言が、酔狂を笑いはしないが、けったいなとしているさまが
ありありで、見事だったけど、清少納言だしなと思わせておきながら
むしろそっちが平常なんだと、そのあとの展開で思い知らされるのが
実に深くというか、染みるようでよかった
絵空事であるという、創作を安易に受け入れないといった感じが
実に素晴らしいと思うのである

次男の荒れっぷりが見事なまでの「死ね」というセリフとで完成されていて、
それでいて、晴明の予見が不気味にきいていてと
政治ステージの淡々としたやりとりが実によろしいと思うのであるが
日本史の勉強をおろそかにしたので、道長が絶頂であったと知っているわけだが、
そのあとどうやって、望月が欠けていったかがわからんのだが、
望月は父が作り、長男、次男まではもったが、三男で尽きたと
そういう話なんだろうかとも思ったりするのであった

ともあれ、星が父上のことであったか、
はたしてという感じだったが
父の死に対しての喪に、この回全体がおおわれていたようにも思う
影響力の大きさが知れたと感じたお話でありました

【読書】八月の御所グラウンド

2024-04-06 21:14:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
八月の御所グラウンド  作:万城目学

短編集かと思ったら、短編1つと、中編くらいのの二つ掲載の本だった。
どっちも、京都を舞台にしているんだけども、
あやしからんというか、過去の人物が迷い込んできた
みたいなお話で、なかなか面白かった
別に、その怪奇現象が何かというわけでもないし、
それはそれとして、穏やかなスポーツ小説としても読めるしと
不思議な読み味だったんだが、楽しかったのである

一本目は、高校駅伝のお話で、
そもそもなんで京都でやるもんなんだろうかなと思いつつも、
近いけど、駅伝を見に行ったことはないなと
都大路を駆け抜ける若人たちのそれこれを文章上で味わったわけだが、
高校生の部活という青春そのものといっても過言ではない物語が
じんわりよろしく染みたのでありました

物凄い強豪校というわけではないけども、
県代表として走ることになったが、先輩が急遽出られなくなったと
突然一年生におはちが回ってきたというドタバタ話なのだが、
実際走り出してから、同走者が強敵でというお話も面白いが、
突如、謎の新選組のかっこうした集団が表れてといった感じで
その正体やといった具合で、
まぁそういうことがあってもいいかもねと、さらっと読んだんだが
これを受けたかのように、もう一つの表題作が、
お盆の京都で朝から野球やるというお話だったのだけども、
御所グラウンドでよく野球やってるけど、そういうものだったのかと
驚愕の真実というか、事実が判明して面白かった
前段の駅伝の短編があって、より面白さが増したように思えたのである

二つは全然関係がないというか、トリックというではないが、
ギミックが同じようなお話なわけだが、その不可思議を追いかけるような
そうでもないような、でも、そういうものかと
腑に落ちたかのように落着するあたりが秀逸で、
気持ちよく読めたのでありました
また、野球というスポーツを青春の象徴として扱っているというか、
まさにそういう物語だと思える出来栄えになってるのが見事で、
野球はやらないし、たいして見ない身分でも
とても楽しそうな姿が見えるような物語でよかった

とはいえ、はたして、主人公は最終試合でヒットを打てたのか
気になるあたりで終わるのがまた、とてもよいと思うのである

【読書】還暦不行届

2024-04-03 21:06:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
還暦不行届  著:安野モヨコ

そうか、この二人結婚生活20年にもなるのか…
当時、凄い衝撃だったと思って、そのあと、この前段であろう監督不行届を
読まないまま、今回を読んでしまったわけだが、
それでもなんとなく全体の流れというか、
話題になっていることはわかってしまう、そういう世代であり
ヲタクである自分を鑑みつつ
しみじみと読んで非常に楽しんだのでありました

なんだかんだ、やっぱり、監督そのものも面白いんだな
そして、いい夫婦なんだな

そういうわけで、相変わらず天才であり変人である庵野秀明の生態について
独特の観察眼から紡がれる漫画であり、エッセーでありという内容なんだが、
ほのぼのというか、まったり読んで、
いい夫婦仲であり、大変な生活だったろうなという日常が
笑いもあるんだが、結構しんみりする感じで
よい読みものだと思うのであった

目新しい発見とか、そういうところはまるでないけども、
シンエヴァや、シンゴジラ、シンライダーの裏側というか
その頃のことが伺えて非常に興味深い
そして、仲が良いというか、まぁ、この二人だからこそ面白いという
そこらの夫婦にでもありそうな小ネタがいくつもあるわけだが、
まぁ、それはそれとして、本当に庵野秀明の妻という立場は大変で仕方なかろうと
思うばかりであった、偏食なのはわかっていたことだけど
あまりにも酷い、本当この相手するの大変だなと思いながら、
色々ずぼらな部分をなんとか操縦している涙ぐましい努力の部分とかは
まぁ、面白く書いているとはいえ、かなり世の中の夫婦に伝わる何かでなかろうかなどと
思ったりして読んだのであった

まぁ、最終的に、カブのお話で、大きいお爺さんという名前の宮崎先生が出てきたところが
あまりにも面白すぎたんだが、そういう寓話的な演出でもあるが、
実際に寓話だよなという生き伝説の中にいる、不思議な夫婦の物語だと思ったのである

【ドラマ】ユーミンストーリーズ

2024-04-02 21:05:48 | ドラマ映画テレビ感想
NHKよるドラ枠でありました
じっくりと、ちゃんと見通すと面白かったと思えるんだが
結構高尚というか、短編ドラマとして相当作り込んでいて、
話しもパット見ただけだとわからないくらい難しいといっていいのか、
文学的といっていいような、表現の先に出てくる何かが描かれているものばかりで
かなり面白かったけども、難しかったとも思える内容だった
正直、しっかりと見入っていないと理解できなかったくらいの
良さというか、内容の繊細さがあったと感じるのである

さて、困ったことに見ている私が世代的に聞いていておかしくないのに
「春よ、来い」以外知らないという体たらくだったので、
はたして、他二編がどうだったかわからないといった感じであるのだが、
実際、知っていた「春よ、来い」も、もはや曲がどうしたという内容でなかったけども、
曲に乗せて、宮崎あおいが車に乗って颯爽としている
ただそれだけで、全部OKですというか、もうなんかしらんが映像作品だわと思い知らされるほどで、
これは、新しいPVだったんじゃないかと思うほどの良さだった
やっぱりこれは名曲だわと思うし、それはそれとして不可思議な内容で、
単純に春を待っているだけみたいな話ではなく、春という抽象概念を迎えようという話になってるのが
いやもう、本当に抜群だったわと思うのであった

他二編も、それそのものだけで完結しているけど、
何に対してのリグレットであったか、あるいは、冬の終わりであったかというのが
どっちも直接的ではないけども、そうなるように描かれていて
これは、曲の歌詞まで知ってたら、もっと面白かったのかなと思いつつも
どっちもいい物語だと、流石に、名うての小説家を三人も投入してるだけあるなと
舌を巻いたというか、凄く満足したのでありました
外連味といっていいんだろうが、描いているものが何か茫洋としているのに
はっきりと良いという心地だけが残るようで、
映像作品として完璧だと思い知るばかりであった
また、出てる女優さんの演技がこれまたよかった
コミカルさと、シリアスさのごたまぜ感が絶妙で
シナリオの難しい部分を補完してあまりある所作や表情ばかりで
見ていて、ほれぼれとしたのであった

これに味を占めて、他のアーティストの曲とかでもやってほしいなと思うのであった
例えば、中島みゆきとか(糸がすでにあるのはさておき)

【読書】成瀬は信じた道をいく

2024-04-01 20:58:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
成瀬は信じた道をいく  作:宮島未奈

滋賀県で結構な推し作品となっている成瀬シリーズの第二弾
相変わらずの成瀬っぷりを堪能できつつ、
やっぱり膳所高から京大というコースなんだと
納得しつつも、ところで成瀬って専攻なんなんだろう、理系だよな?と
思ったり考えたりしつつ、まぁ、そこはあんまり関係なく
いつも通りの成瀬が、受験して、大学生になって、
あいかわらず地元のために何ができるかと、もくもくと使命感をもって生きている
ただそれだけの毎日が描かれているんだが
出会う人たちも、やさしいというか、いいひとが多いので
大変精神衛生によい内容で、ほんわかとあっという間に読み終えてしまうのでありました

それはそれとして、フレンドマートでがっつりバイトしているというくだりから、
これは平和堂と謎の提携まで、完全に見据えられているなと思うわけだけども
まぁ、そういう商業主義はさておいて、滋賀県在住の大学生が
いかにもそうやって生きているという感じもして、非常に面白く読んだのである
そうかと思うと、唐突に琵琶湖観光大使に応募してみたりと
相変わらずのスターダムっぷりというか、
それでいいんだという感じから、ハレの舞台へ土足で踏み込んでいく感じが
見ていて清々しいのがよい
相方がちゃんとフォローしてくれるということが前提なんだが、
そうさせる魅力がありそうにも見えるし、また、そういう人だからこそ成瀬の周りにきて
世話を焼いてしまうというのもまた、リアルだなと思って
実在しないはずの、琵琶湖観光大使を応援したい気分になってしまうのであった
また、いちいちセリフが頭いいというか、妙な知的センスにあふれるあたりが
成瀬の魅力だなとかみしめてしまうんだが
これは、実写向きだけど、演じるのすげぇ大変だなと
無難にアニメ化とかがよろしいのではと、ありもしないコンテンツ展開を考えてしまうのであった
でも、映像作品で、観光大使コンテストで、普通にしゃべることができてしまう成瀬が是非見てみたい
そこの演技っぷりというか、その切り替えが、多分小説以上の効果が期待できるというか見たい

巧妙というでもないが、最終的にけん玉が大きなヒントになったのは
ちょっと笑ってしまったんだが、紅白で実際ありそうだなと思ったりしつつ
本人は普通にしてるつもりで、周りをひっかきまわしてしまうという
古典的な物語なのに、なんか新しいように思うキャラクタだとあらためて思うのであった
ともあれ、成瀬という凄い何かが、誰かとつながることで、新しいことをやることができる
誰が成瀬の操縦者になれるかという話でもあって、
どっちが上とか下とかではなく、バディものとしても面白いんだなと感心したのでありました

この感じで、三作目で完結といった具合に、
さっさと結婚でもしてしまいそうだなと思うのだが
はたしてどうなっていくか、別に凄い話とかでもないんだが
成瀬というキャラクタを楽しむという読書なんだけども、
それがとても面白いと、笑いながら読める一冊でありました