「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

8月16日-22日明石小解体スケジュール(8/17午前8時現在)

2010-08-17 08:49:13 | 教育
 8月16日の週のスケジュールです。(8/17午前8時現在)

 発掘調査がメインかもしれません。

 なお、発掘調査の現場は、生の社会科見学となりますので、明石小学校の生徒さんが見学できるように教育委員会に要望いたしました。
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卸売市場のあり方 婁小波氏(1)(東京海洋大学海洋科学部教授)

2010-08-17 02:22:42 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

 卸売市場のあり方について、婁小波氏(東京海洋大学海洋科学部教授)が、平成二十二年五月十七日(月曜日)開催の都議会 東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会に参考人で招かれて、話されています。 非常に参考になるお話であり、こちらでも掲載します。下線や太字は、小坂の判断でつけました。

 〇婁参考人 ご紹介にあずかりました東京海洋大学の婁小波でございます。私は、水産物流通の視点から卸売市場のあり方について考えるという課題を仰せつかっております。 きょう、話をしたいポイントは三つございます。一つは、水産物流通の特徴と卸売市場機構の意義について少しおさらいをしたいということ。それから二つ目は、水産物卸売市場流通の現状と課題について、私なりの考え方を提示したいということ。それから三つ目でございますが、以上を踏まえまして、水産物卸売市場の今後について、私見を述べさせていただきたいというふうに考えております。 きょう、三名の参考人ということでございまして、私は最後でございますが、一と二につきましてはお二方と大分ダブっているところもあるかもしれませんので、極力割愛させていただきまして、三の水産物卸売市場の今後のあり方についてを中心に、お話をさせていただきたいというふうに考えております。 それでは、まず最初、第一点でございますが、水産物流通の特徴と卸売市場機構は、その中でどういった意義を果たすのかということについて、お話をしたいと思います。 四ページを見ていただきたいと思います。ご承知のように、一口に水産物といっても、実はその中身は非常に多様でございます。天然のものもあれば、養殖のものもございます。海のものもあれば内水面のものもございます。その中で、もちろん魚種別によって多様な魚というようなものが水産物として一くくりされていますけれども、そういった水産物を商品形態別でいうと、また、生鮮とか、あるいは冷凍とか、あるいは塩干等の加工品といったような形で分けられておりますけれども、それぞれの商品形態によって当然流通の特徴はございますが、きょうは時間の関係でその詳細についてお話しする時間はございませんが、水産物全体を一くくりにしてお話をしたいと思います。 こういったような水産物というのは、多様な流通ルートによって流通をされております。四ページで示されたその流通のルートなんですけれども、その主な流通、チャネルなんですが、見ていただきますと、非常に多様なルートが存在しているということがおわかりいただけるかと思います。 その中で非常に特徴的なのは、産地卸市場というものがありまして、消費地卸市場というものが存在すると。これはほかの生鮮物とは大きな違いがございます。つまり産地市場というものが大量に存在して、それが水産物流通の担い手の一つになっているというようなことで、その流通ルートは非常に長くて複雑というふうにいわれております。 多分、世の中にある、流通されている商品の中で、水産物は一番長い流通、チャネルを有する商材の一つというふうにいわれております。 このような長くて複雑な流通チャネルの機能を担っている経済主体も、実は多様に存在しております。それによって価格形成も複数回ございます。 例えば、卸売市場流通について見ますと、実はその中に五つの経済主体がございまして、四回の価格設定が行われております。この五つの経済主体の中身をさらに見ますと、実は、手数料商人としての性格を持つのが二者、それから差益商人としての性格を有するのが三者ございます。つまり、手数料で稼ぐ、あるいは仕入れ価格と販売価格の差額で稼ぐというような性格の違う業者が、同時に一つの流通チャネルの中に存在しているという特徴を持っております。 次のページをめくっていただいて、五ページでございますが、じゃ、こういったような特徴を持つ流通チャネルの中で、卸売市場機構は一体どういうような意義があるのか、なぜ存在するのかということについて簡単におさらいをしたいと思います。多分重複する部分がございますけれども、一つは、よくいわれるのはホールの第一原理、つまり取引回数の極小化原理ということでございます。中に、卸売業者あるいは卸売市場を介在することによって、社会的な取引効率が向上されるということがまず第一点。 二点目は、これは私、個人的な考え方でございますけれども、やはり個別主体の経済的合理性というものがございまして、卸売市場というものが存在するということが考えられます。つまり、卸売市場で取引を行うということは、それなりのメリット、合理性があるわけですが、どういうような合理性なのかというと、そこで行われる取引をすることによって得られる便益と支払う費用の差ということを比べましたら、便益の方が高いというようなことであるからこそ、卸売市場流通というチャネルを選択されるわけでございます。 その詳細につきましては時間の関係で省略をいたしますが、七ページを見ていただきまして、その便益を決定する要因について若干紹介いたしたいと思います。つまり、そこの価格というものを規定する要因としては、ブランド化等でどれだけ価値創造が卸売市場で行えるのか、あるいはそこにどういったようなバリューチェーンというものが形成され得るのか、あるいはそこの取引を選択することによって、販売ロス率、あるいは販売リスクというものがどれだけ低くなるかというようなことによって、まずその価格、あるいは経済主体の価値というものを得るわけですけれども、それに対して流通費用、取引費用、あるいは管理費用というようなものがかかるわけですから、それとの見合いというか、それとの比較によって、実は経済主体が卸売市場を選択する、あるいは選択しないというような話になろうかと思います。 これが二つ目の卸売市場機構の存在意義というふうになるというふうに考えております。 三番目でございますが、これは社会的公平性の実現。これは、卸売市場というのは、当初の法的な一つの理念として、公開、公平、公正というものが掲げられております。近年では効率性というものがつけ加えられまして、卸売市場の一つの基本理念としていわれておりますけれども、私はその中でも、特に社会的公平性の担保というのが、実は卸売市場機構がされているというようなことがあるというふうに考えております。そこにその市場機構の存在意義があるというふうに思います。 四番目なんですか、これは水産物、あるいは漁業の産業的特性、それから水産物の商品的特性によって、卸売市場機構の存在意義というものが強くあるというふうに考えております。例えば、水産物というのは腐りやすい、それに対して迅速な処理が必要で、卸売市場というものはその制度として機能としていると。 下のグラフを見ていただきたいと思いますが、これは時間経過とともに、いわゆる水産物の商品価値の変化なんですが、時間は一日あるいは二日というような形で考えていただいて結構だと思いますけれども、要するに時間がたてばたつほど魚というのは価値が下がっていく。価値が下がるということは、実は同じ魚であっても、同じものではないということなんですね。だから、よくいわれるのは、魚というのは、非貯蔵性というような、レジュメには書いてありませんけれども、非貯蔵性という言葉もございます。つまり、貯蔵すればするほど、これは要するにコストをかければかけるほど、魚は価値が下がるという、ほかの商品とは大きな違いというものがあります。そういうことで、卸売市場というようなことが存在することによって迅速な処理ができると。 二番目は、非規格性に対応する仕分け処理が必要であるということ。三番目は、用途仕向けの多様性に対応する必要性があるということ。それから、漁業生産の移動性、不安定性、季節性に対応する必要がある等の理由で、卸売市場という流通機構が大きな役割を果たすということになります。 だからこそ、水産物はほかの生鮮物と違って、産地市場も今日なお、非常に大きな流通の役割を担っているということでございます。 次に行きたいと思います。九ページを見ていただきたいと思いますが、水産物卸売市場流通の課題。現状につきましては多分皆さんよくご案内だというふうに思いますので、割愛をさせていただきました。課題を整理いたしました。ただ、卸売市場流通の課題、あるいは水産物卸売市場流通の課題につきましては、さまざまな視点からさまざまな整理というものがございますが、私はあくまでも経済的現象としての卸売市場流通が抱えている課題として、幾つかの点を挙げました。 まず、第一点は、市場経由率の低下でございます。これは多分皆さん耳にたこができるぐらい聞かれた現象だと思いますけれども、水産物におきましても、かつて七七%近くあった市場経由率が、現在、六二、三%ぐらいまで落ちているという状況があります。 なぜこのような経由率低下というものが起きたのかということなんですが、一一ページを見ていただきたいと思います。 理由の第一は、やはりフードシステム構造が全体で大きく変化をしている中で、卸売市場がそれに対して十分対応できなかったということがあろうかと思います。 一二ページの図を見てください。これは、食料供給部門の構造変化を示したものでございますが、これを見ていただきますと、一九七五年時点では、国内農漁業、あるいは輸入品、いわゆる素材供給部門が三九%ぐらい占めました。ところが、現在、二〇〇〇年なんですけれども、この二つの部門が食料供給部門の中に占める割合は二三%まで低下しております。 ご承知のように、卸売市場は素材部門、いわゆる農業、それから水産業、農水産物を対象としてビジネスモデルというものを構築されているわけですから、その食料供給部門の中での全体の地位低下が起きている中で、ほかの部門の商品、いわゆる商品部門、あるいは商材部門というようなものの商品をなかなか取り込めていなかったというのが、市場経由率低下の第一の原因として挙げられると思います。 二つ目の理由としては、やはり水産物全体の生産量の減少が取扱量の減少をもたらしているのではないだろうかということがございます。この点、農業とは若干違うかもしれませんけれども、水産物の場合は、同じく自然を相手とした産業ではあるけれども、日々の自然を相手にして漁業生産が行われるという点で、農業とは違うわけですね。つまり、計画的な生産ができない。 したがいまして、どういうことが起きるかというと、その日その日とれた魚というものを水揚げして、それがその日その日の市場規模を決めるわけですね。だから、需要があるから、それに対応して生産を決めるというわけではなくて、これだけ生産があるからその市場規模があるというようなことでございますので、じゃ水産物の場合はどうなのかというと、一三ページを見ていただきますと、実は近年、大きく生産を減らしているわけでございます。 一九九〇年代初頭まで日本の漁業生産はピークを迎えまして、その後減少の一途をたどっております。現状では、一九六〇年代の生産水準と同水準の国内生産というものがありますので、当然、市場の取扱量というものが減ってくるということが出てくるわけでございます。 三番目の理由としては、やはり経済主体の合理的選択ということがあろうかと思います。先ほど申し上げましたように、流通を取り巻く環境条件が大きく変化してきている中で、経済主体がコスト、便益構造というものを検証して、その結果、卸売市場流通という一つの取引形態を選ぶよりは、場外流通という一つの取引形態を選んだ方が、より、先ほどいったデルタP、利益が高いというようなことになりますと、当然そっちに走るというようなことが出てきますから、経由率の低下を招くということになろうかと思います。 四番目の理由として、場外への脱出というふうに表現しておりますけれども、これはある意味では、一種、積極的な対応の結果だと思っております。つまり、場内業者が場外流通に取り組むというようなものが現実として起きているわけでございます。卸売市場法によって縛られるさまざま規制を嫌って、事業展開を制約するような規制を嫌って、場外に事業展開をするというような形での市場経由率の低下というものもあるのかなというふうに考えております。 次の課題として挙げるのは、一四ページでございますが、チャネルキャプテンとしての役割低下ということでございます。要は、卸売市場が果たしてきたこれまでの重要な流通の過程上の役割というものが、大きくやっぱり低下してきているというようなことが課題として挙げられます。 ご承知のように、一つの流通チャネルには必ずキャプテン、チャネルキャプテンあるいはチャネルリーダーが存在するというふうにいわれております。 このことを示しているのが一五ページでございますが、このチャネルリーダーが全体の一つの流通の動きをつかさどるわけなんですが、残念ながら、水産物流通のチャネルリーダーというものは大きく移動してきちゃっているということです。大分昔になりますと、産地の大手問屋というものがチャネルリーダーであった時代もございましたが、やはり長らく中央卸売市場の卸業者が水産物流通チャネルのチャネルリーダーだったという時代があったわけなんですけれども、現在では、それが川下のスーパー等の量販店に移っているというふうにいわれております。 スーパーの業務の基本方針としては、皆さんご承知のように四定条件というものがございます。あるいは良品低価というような政策も彼らがとっております。チャネルリーダーとなっているスーパー等の量販店は、こういったような基本的な方針というものを、流通チャネル全体の経済主体に、一応押しつけるということよりも、それを基本的な方針として貫くわけでございますので、その中でのいわゆる卸売市場の役割、かつて建て値市場とか、相場をつくるというふうにいわれているような役割というものが大きく低下をしているわけでございます。 なぜそのような役割の低下があるのかと申し上げますと、やはり一つは小売構造が大きく変化したということがあります。 一六ページを見ていただきたいと思いますが、これは小売段階における消費者購入先別支出金額の割合を示しております。魚介類、水産物が一番最後の段なんですけれども、これを見ていただきますと、例えば昭和三十九年、一般消費者が魚介類を購入先として選んでいるのが、一般小売店が七七・四%、スーパーが九・五%だったんですね。ところが、現在、平成十六年なんですが、一般小売店が一四%になって、スーパーが六三・九%になります。スーパー、百貨店、生協、いわゆる量販店といわれるような方々のそのシェアを合計しますと、実に八〇・四%になります。 このような小売構造の変化によって、彼らはビッグパワーを手に入れて、いわゆるバイイングパワーを使ったチャネルキャプテンとしての機能を果たすようになるというわけでございます。 このことは小売段階だけではなくて、外食産業においても起きているわけです。外食産業は、当然、水産物の需要サイドとしては非常に大きいわけでございますけれども、かつて、じいちゃん、ばあちゃんによって行われてきた零細な飲食店経営というものがどんどん姿を消しまして、それにとってかわった経営はチェーン店化、あるいは大規模店、あるいは差別化店というような形で、零細店は淘汰されつつあるというのが現状だろうと思います。 このように、末端の需要家の大型化、それからパワーの移動によって、やはり卸売市場の役割、機能というものの低下が生じているわけでございます。 時間の関係で、詳細なデータの説明は省略させていただきます。 三番目の問題として、一九ページになりますが、やはり経営問題というものが出てくるだろうと思います。この場合の経営問題というのは、卸売市場経営そのものの問題があると同時に、場内にある業者、卸売業者、仲卸業者の経営悪化という問題もございます。詳細なデータはたくさんありますけれども、その説明をすると時間がかかりますので、結論だけを申しますと、例えば築地の市場においても仲卸業者の自然淘汰というものが毎年起きております。そのまま放置すると、このことが本当に消費者利益になるのかというようなことが、一つの問題としてあるのかなというふうに思います。 3の4ということなんですが、これは問題ということではなくて、以上の指摘させていただいた三つの問題を抱えている卸売市場流通の中で、東京都中央卸売市場、あるいは築地市場はじゃあ一体どうなのかということなんですけれども、これは全国的な市場状況の中では非常に健闘しているということがいえるのではないかというふうに思いまして、そのデータとして示しております。 例えば、その搬出地域分布として、ちょっと見づらいんですけれども、東京都ですから都民のための卸市場なんですけれども、実際にその都の中央卸市場で取り扱われている水産物のうちに、都内仕向けが実は四一・二%、それから首都圏三県向けの仕向けが三七・二%、その他仕向けが二〇・七%にも達しております。つまり半分以上、六割近くが、都内ではない、ほかの地域の商圏とするような仕向けの仕方をしているのが一つ。 それから、もう一つは、全国の中央卸市場に占める東京都の中央卸売市場の取扱量のシェアなんですが、平成九年二〇%、平成十九年二三%、シェアが上がってきていると。だから、その意味では、東京都は全国一の消費人口を抱えておりまして、最も建て値市場として機能してきた一つの面影がまだここにあるというふうにいえると思います。 それから、もう一つのデータとして、一般小売店、それから総合小売店、スーパー等、百貨店、コンビニの仕向けの構成なんですけれども、直近平成二十一年、総合小売店は二四・数%、約四分の一なんですね。それだけスーパー、量販店対応といわれながら、四分の一程度というようなことを一つのデータとして確認していただけると、やはり一般小売店とか、あるいはほかの業務筋需要家というようなものをやはり対象とした一つの業務というものを考えていく必要があるかなというふうに思っております。 次、行きたいと思います。以上のような課題を解決するために、それでは、卸売市場流通、どのような機能を強化すべきなのかということについて申し上げたいと思います。 まず、基本的には市場流通機能の強化ということが当然あろうかと思います。特に水産物に関しましては、一つの基本認識として、水産物の商品特性から、やはり迅速的あるいは効率的なその卸売市場流通システムというのがいまだ必要である。特にこの点は鮮魚流通において強調しなければなりません。 こういった基本認識を前提にしますと、卸売市場機能の強化としては、二つの側面というものがあるだろうと思います。 一つは伝統的な機能の強化でございます。ご承知のように、卸売市場の伝統的な機能としては、集荷機能、分荷機能、あるいは価格形成機能、決済機能、品ぞろえ、商品開発、情報伝達、あるいは衛生管理といったような古典的な機能がございます。 それからもう一つは、市場環境の変化に対応した形で、新たな機能付加というものがずっと続けられてきております。それには、例えば在庫あるいは在庫調整機能、加工機能、商品化機能、配送センターとしての機能や金融機能、リスクヘッジ、小売店支援、情報化、安全・安心といったような機能というものが新たに付加されて、強化する必要があるだろうというふうに思います。 そういった機能を強化するために何が必要なのかということでございますが、これもよくいわれることでございますけれども、効率的な物流システムを構築すること、安全取引のための商流機能を強化すること、それから、より効率的な情報流というようなものを果たすためのシステムを構築することがいわれております。 

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婁小波先生(2)

2010-08-17 00:00:46 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

 私はさらに、もう一点強調したいと思っているのは、市場のブランド力を向上するというようなことがこういった機能強化につながるということで、最後に挙げておきました。市場ブランド力というものがある意味では一つの総合力でございますが、それが向上されることによって、実は品質競争力が上がる、高付加価値化の力が上がっていく、あるいは高度衛生管理の力が上がる、あるいは市場全体のサービス力というものが上がっていく。逆にいうと、そういったものがなければ、当然市場ブランドというようなものが形成されませんので、表裏一体の関係にあるだろうと思います。

 以上がよくいわれているような機能強化でございますけれども、これから幾つかの具体的な事例を挙げながら、私が考えるこれからの卸売市場流通の機能強化のポイントを説明したいと思います。

 まず一つが、二三ページでございますが、ネットワーク型流通への対応というものが必要ではないだろうかということでございます。サブタイトルとして、市場法的流通の瓦解ということなんですけれども、ご承知のように、卸売市場法、昭和四十六年制定された卸売市場法は、その基本的な取引原則というものを定められております。メーンな原則を例示しますと、例えば委託集荷、受託拒否の禁止、差別的取り扱いの禁止、即日全量上場、あるいは定率手数料率、それから第三者販売の禁止、競り・入札の原則、自己計算の禁止、商物一致の原則、直荷引きの禁止、場内販売といったようなものがございます。これは十一の主な基本原則だというふうにいわれておりますが、ところが数次にわたる卸売市場法の改正によって、こういったような原則というものは廃止されたり、あるいは緩和されたり、あるいは弾力的運用されるというような形で、今日までに至っております。実際、今残っているのが、受託拒否の禁止、即日全量上場、差別的取り扱いの禁止というこの三つ程度だというふうにいわれております。要は、卸売市場法によって定められた卸売市場流通というものが、現在、全く姿を変えていっているという意味での瓦解でございます。
 買い付け集荷比率、あるいは競り入札比率の変化というような数字を出しておりますけれども、もともと委託集荷が基本原則ですけれども、現在、委託集荷ではない買い付け集荷が、鮮魚の場合五三%、半分を超えています。あるいは、競り入札取引が基本原則だったけれども、現在、鮮魚については三六%程度と。私はこの数字でも大きい、高いかなというふうに思っております
 そういったような市場法的流通の解体によって何が出てきたのかということなんですけれども、二六ページを見ていただきたいと思います。つまり、市場法的卸売市場流通にとってかわって、ネットワーク型流通ネットワーク型取引というようなものが展開せざるを得ない、あるいはそういったような形で市場関係者は対応しているというふうにいっていいと思います。つまり、そうすることによって、卸売市場法の改正によって、市場流通の性格が大きく変化したというふうにとらえることができます。
 従来の卸売市場では、非常にさまざまな規制によって業者の身動きが取れないぐらい規制があるわけですけれども、ところがその規制によって、市場の仕組みそのものが、物、需要というものが自由に入ることができたわけなんです。物と需要が自由に入るわけですけれども、規制された卸売市場の中ではその自由会合というものが行われていると。
 ところが、その中の自由、規制が撤廃されて、ある程度オープンになっていったときに、卸売市場というのは、中の業者、提携、契約、協調などによってさまざまな形での需給会合というものが行われるようになります。そうなりますと、本来の自由に入っていくもの、あるいは自由にそこでニーズとしてあらわれている需要というものは、ある程度やっぱり制約されざるを得ない。つまり、その提携、契約あるいは協調的な関係の中に入らないと、なかなか取引はできないというような状況が出てくるというふうになります。私はそれはある意味では仕方のない一つの現象だというふうに思います。
 じゃ具体的に、この規制緩和された卸売市場の中で、業者がどういったような形で連携、提携、あるいは協同、協力というような形での取引関係づくりをしているのかということなんですけれども、あるいはそうすることによってどういったような現象が起きてくるのかということについて整理したのが、二八ページでございます。
 二八ページを見ていただきますと、要するにかつての伝統的な疑似的インテグレーション関係から脱却するということが、まず第一義的にあります。それにとってかわって関係性取引というものが出てくるわけですけれども、それがネットワーク型流通というふうに、私は呼んでおります
 その中で、流通主体、例えば卸売業者、役割が大きく変化をします。あるいは、商人として、経済主体としての性格が変わってきます。つまりどういうことかというと、彼らは新たにコーディネーターとしての役割というものを演じなければならない。そうすることによって、従来、手数料商人的な性格から差益商人としての商売をやらざるを得ない。あるいは仲卸業者につきましては、ネットワーク業者としての役割というものを果たす必要が出てきます。そうすると、従来、彼らは差益商人でございますけれども、手数料商人としての性格も帯びざるを得ないと。
 こういった新しいネットワーキングによって、彼らは出荷者あるいは需要家というものを信頼、提携、連携、パートナーシップ等の形で関係性を締結して、取引関係をつくるということになるだろうと思います。
 もっというと、こういった取引関係というものは、匿名型消費から番地型消費に転換するということが、これからのネットワーク型取引の一つの特徴なのではないかというふうに思います。そうすることによって、従来の高かった流通コスト、取引コスト、管理コストというものは節約されまして、それによって、場外流通と比較した場合、卸売市場が差別化戦略というようなものを展開することによって、その卸売市場流通の競争上の優位性というものを確保することが可能になるというふうに理解しております。
 次のページをめくってください。二九ページでございますが、このようなネットワーク型流通、その機能を強化するためには何が必要なのかということなんですが、まず第一義的には、やはり卸売市場機能を再見直しし、そのための施設整備というものが必要になるだろうと思います。例えば、一元的に管理する物流システム、コンピューターシステム等の構築とか、あるいは小売店支援機能の拡充とか、あるいは加工センター的な機能、物流センター的な機能の確保とか、そういったようなものがやっぱり必要になるだろうというふうに思います
 ただ、そこで注意しなければならないポイントとして、こういったような機能強化、施設の整備というものが、大手需要家のみに対応するというようなことだけでは、やはり先ほど申し上げました公平性の点で問題があるだろうというふうに思います。むしろ中小零細事業者にも対応できるようなプラットフォームの構築というものが、これからの中央卸売市場に求められるのではないだろうかというふうに考えております

 これがネットワーク型流通でございますが、次にもう一つ、事業ドメインの構築ということでございます。三〇ページでございますが、特にこれは仲卸機能を強化するために検討しなければならないテーマだというふうに思います。
 ご承知のように、仲卸業者は今、二極化現象が進んでおります。つまり、そこには成長組もあれば、衰退している業者もいます。成長しているのかどうかというような定義もありますけれども、堅実な経営を展開しているような業者は、いわゆる成長市場に事業の領域を置いておりまして、大手需要家に対応しているような場合が多いと。衰退している業者あるいは組は、縮小する市場に事業領域を置いておいて、零細業者、零細だけでというわけではないかもしれませんけれども、そういったような形でのパターンがあるというふうに考えております。
 したがいまして、特に衰退している、あるいは低迷している仲卸業者に対しましては、中小零細需要家の新たな業務展開というものがやっぱりどうしても必要になります。これはつまり新しいサービス、新しい機能の追加によることで実現可能かなというふうに思います
 具体的には、より川下に事業機能を置く、あるいは事業領域を置くというような形での展開だろうと思います。例えば配送機能、小売店支援、前処理、仕込み、加工納品、調理サービス等々ですね。より川下の方にその事業領域あるいは事業空間を展開するということがやはり求められるだろうというふうに思います
 そのためには何が必要なのかということなんですが、一つは大手、中小、零細業者間に存在する、いわゆるデジタルデバイドの解消、つまり情報格差の解消というようなものがまず第一に必要になる。それからもう一つは、物流インフラの格差の解消ということでございます。
 なぜそういうことを申し上げるかというと、ご承知のように、スーパー、量販店等が卸売市場で水産物を仕入れる場合、必ずしも安い価格ではないんですね。ほかの小売業者に比べると、あるいはほかの零細な事業者に比べると。にもかかわらず、販売単価では非常に安く売っていると。なぜそういったことが可能になるかというと、やはりその中間の流通、物流、加工、あるいは情報処理といったようなところでシステム化されまして、非常に効率がいい。そういう意味でコストが下げられている。残念ながら、中小零細の業者あるいはそれに対応する中小零細の仲卸業者というものは、それにきちっと対応できる効率的な情報処理システム、物流システムを持っておりません。
 その意味では、それ自体非常に不公平な競争、あるいは同じ土俵に立った競争というようなものができなくなっているという意味で、そういった格差の解消というものがやはり必要なのではないかなと思います。そのためのインフラ整備というものが、公平競争の原則からすると求められているというふうに考えております。これが一つ。
 それからもう一つは、連携、協力、協業、協同といったような、仲卸業者組織間の組織革新というようなものも、どうしても必要になるだろうというふうに考えております。零細のままで対応できるというような部分もございますが、なかなかそれだけでは無理というような部分につきましては、組織革新というものを政策的に支援していくというような一つの方向性もあるというふうに考えます。
 最後、もう一つなんですが--最後ではないです、4の4ですね。三一ページなんですが、コモディティ商品の流通拠点から差別化商品の流通拠点への一つの機能付加ということになるだろうと思いますが、ご承知のように、卸売市場というのは大量生産、大量消費を支える、一つ、非常に効率的な大量流通システムでございます。ただ、その意味ではこの流通システムは非常に効率的であって、大きな社会的役割を果たしてきたわけですけれども、それによってまたさまざま問題を引き起こしています。例えば、昔はよくいわれた社会的空費が発生しているとか、現在では、いわゆる偽装表示問題を助長しているとか、そういった余地を残しているとか、そういったようなことがいろいろいわれまして、消費者不信というような問題が出てきます。
 消費者問題が起きてきている中で、現在、差別化商品のニーズというものは非常に高まってきております。その中で特に安全・安心志向、あるいはブランド品志向というようなものがあるというふうによくいわれておりますけれども、そういうような安全・安心志向とか、あるいは差別化商品ニーズというものに対して、ブランド品、安全・安心商品というものがさまざまな形でチャレンジされているわけですけれども、残念ながらそういった商品の流通に対して卸売市場が十分取り込めているとはいえない状況にあります。むしろ、どちらかというと、情報の伝達が不正確、あるいはその伝達するためにはコストがかかるということで、場外流通に走る傾向がございます。その結果として、卸売市場に入ってくる商品は単価の安いものであると。それがまた取扱金額の減少につながり、経営問題につながっているというようなご指摘もございます。
 そういったような問題に対応するために、やはり差別化商品の流通拠点としての卸売市場というようなものを位置づける必要があるというふうに考えております。そのためには、商品開発機能あるいはコーディネート機能を強化すること。それから、やはり市場ブランドというものを確立すること。何よりも公平競争や新たな取引効率化のためのインフラを整備するというようなことが必要になるだろうと思います。例えばトレーサビリティーシステム、あるいは情報化システム、あるいはコールドチェーンの完備というようなことが挙げられておりますけれども、一つ例を申し上げます
 例えばトレーサビリティーシステムというものが、今、消費者が求めている安全・安心商品を保証する一つの制度、技術でございます。特に大手のスーパーであればあるほど、そういったトレーサビリティーを要求する、あるいはシステムを構築するというようなケースが多いんですけれども、実態では何が起きているかというと、私が取材したある養殖業者は、スーパー、生協と幾つかの取引があります。ところが、それぞれのスーパー、それぞれの取引先が、それぞれ独自の基準のトレーサビリティーシステムがあるわけですね。
 そうすると、それぞれのスペックに合った文書をつくり、記録をつくり、データを提出するというのは、膨大な事務作業があるんですね。効率が悪い。ところが、かかった経費に対して、その分、じゃあそれに見合ったペイがしているかというと、ないですね。ご承知のように、消費者は安全・安心は欲しいけれども、それに対してコストは余り払いたくないというようなことで、その生産者が非常に高いコストをかけて、あるいは非常に多くの努力をかけてやっているわけですけれども、こういったような安全・安心のための非効率性というものを実は解消できる唯一の方法は、私は卸売市場にあると思うんですね。
 三二ページを見ていただきたいと思うんですけれども、例えばこの三人の生産者と四つの小売業者が、同じトレーサビリティーシステムの商品を供給する場合、これは四通りのシステムというのを皆さん対応しないといけないんですけれども、そういうものを卸売市場が、トレーサビリティーシステムの一つプラットフォームをつくって、皆さんどうぞこれを使ってくださいというふうになれば、一通りのシステムで十分なわけなんですね。
 そういう意味で、新たな社会的な効率性、新たな取引の効率性というものを、安全・安心という面で、実は実現できる。そこでまた卸売市場の有意義性というものが発揮されるというふうに考えております。

 最後になりますが、三三ページ、もう一点として、交流、にぎわい、あるいは産業観光機能の充実というものを、これからの卸売市場機能として挙げていきたいと思います。観光というのは文化と密接な関係がありまして、あるいは文化そのものでございますけれども、食文化は文化の中での一つの大きな分野をなします。特に我々の暮らしの豊かさを演出する役割というものを果たしているわけですけれども、その食文化を支えているのは、実は市なんですね。
 よく、市は都市の原点であるというふうにいわれております。日本では例えば四日市、二日市とか、そもそも市によってまちが形成されている、都市が形成されているところもございますが、その中で、やっぱりこの食文化を支えている原点でもございます。
 したがいまして、卸売市場あるいはその機能を担う流通主体、あるいは流通そのものが、にぎわいを演出し、食文化を支えているというような現状から考えますと、やはり市場の観光、市場というようなものを観光資源として展開するということが、これから我々の暮らし、あるいは文化を豊かにするというような意味で必要ではないかというふうに考えております。
 このことが、実は世界各国でも認知されております。今、築地ではいろいろな問題がありますけれども、実は築地が、海外の観光客の問題ですけれども、日本国内でもその食文化、市というのが観光拠点として機能するというのは、実際、ここ十数年間、非常に大きなうねりとして動いております。つまり、道の駅とか海の駅とか、あるいは産直市が非常に繁盛しているわけですね。こういうのは、要するに従来の市の機能、あるいはその観光としての市というような役割を果たしているというふうに考えております。
 ただ、そのためには、あるいは市場観光というものを観光市場として位置づけるためには、やはり市場開放ルールの確立、あるいは集客施設の充実、それから環境対策強化というものがどうしても必要になります。汚いところでだれも行かないというような状況の中で、やはりそういったような対策は必要だろうというふうに思っております。
 その意味で、今、築地市場が注目されておりますけれども、それは築地市場という一つの食文化を支えているブランドというようなものがありまして、そのブランドの価値、あるいはブランドの資産をどういうような形で維持向上していくかが、これから重要なテーマになるだろうというふうに考えております。

 三四ページをめくっていただきまして、最後になりますが、今、幾つかの機能の具体例を申し上げましたけれども、これからの卸売市場の機能強化、あるいはあり方というようなことを考えるときに、私はやはり、繰り返すようになりますけれども、三つの基本的な視点を重要視する必要があるというふうに思います。一つは、変えていけないもの、こういうものにつきましてはやはり機能強化をしていく必要があるということと、どうしてもやっぱり変えていかなければならないものと、この二つがあるだろうというふうに思います。こういったものにつきましては、積極的に機能を付加していくというようなことが重要というふうに考えております。これが第一の視点
 第二の視点でございますが、やはり公平競争のためのインフラ整備というものが、これから卸売市場にも求めている、あるいは必要があるというふうに考えております。これはむしろ中小零細業者のための情報インフラ、安全・安心のためにインフラといったような形での整備が必要ではないだろうかと思います
 もう一つはやはりグローバルな視点、あるいは俯瞰的な視点による卸売市場の今後を考えるということが必要になるだろうと思います。築地市場が拠点市場化するのか、あるいはこれから地方市場化でもいいなのか、あるいはよりローカルな市場にしていくのか、それこそ経済がグローバル化、食のグローバル化が進む中で、グローバルな市場に対応していく築地市場にするのかというような視点も重要なのではないだろうかということを問題提起申し上げまして、私のお話を終わらせていただきたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。

〇花輪委員長 どうもありがとうございました。

 

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8月16日(月)のつぶやき

2010-08-17 00:00:00 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
12:58 from web
先日中央区議会で公文書館設置提案、受け入れられず。@seiji_ohsaka そうなんです。私のライフワークRT @matsuikoji 過去のアーカイブの整理の重要さを再認識。日本にはアーキビストと言える人々がいない。過去の文書の重要性を判断し保存管理する慣習や仕組みがない。
13:32 from web
岩上安身氏が日本各地でトークカフェなる語りの場を作られているのをツイッター上で見て、自分たちも近所の商店街のカフェで地域でご活躍の人をお招きしトークカフェなるイベントを仕掛けようとしていた矢先、本日夕方あすなろの木で築地市場移転問題で当の岩上氏からインタヴューを受ける話の流れに。
14:41 from web
先ほど午後2時20分光化学スモッグ「注意報」が中央区を含む東京都「区東部」地域に発令されました。不要、不急の外出を避け、自動車の運転は極力自粛してください。なお、中央区全域に防災無線を用いお知らせがなされましたが、中央区の皆様、聞こえましたでしょうか?
18:15 from web
只今、診療終了。これから岩上安身氏による築地市場移転問題のインタビューに行ってきます。少々緊張。
21:11 from web
岩上安身氏によるインタビューを終え、これから準夜間救急勤務へ。突然決まったインタビュー企画であり無理やり時間を割きました。なんとか終えることが出来ほっとしています。岩上氏のまとめは要を得ていて話しやすかったです。お聞き苦しい点などは御容赦願います。たいへん勉強になり岩上氏に感謝。
by kosakakazuki on Twitter
コメント
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