大田区が以下の条例を検討中とのこと。
ちなみに、パブリックコメント〆切は、12/15日曜日。
一都民として、私も意見書を提出しました。
規制立法の趣旨目的は、「区民生活の平穏保持、安全安心な地域社会」。
規制の手段は、「客引き禁止」、「ビラ等を配布又は提示の禁止」
規制の手段を取るに当たり、最も注意しなければならないことは、条例の拡大解釈。
ここでいうビラは、商業的言論のひとつである風俗営業店等のビラ。
拡大解釈して、政治的言論のビラまで、規制の対象としてしまっては、絶対にならないということ。
そこまで行う拡大解釈が可能な場合は、いくら趣旨目的が優れたものでも、憲法違反の条例となります。
条例自体が、違憲無効なものになります。
「2 適用上の注意 この条例の適用については、何人の権利も不当に侵害しないように留意しなければならない旨を明らかにします。」と書いていますが、ここはさらに踏み込んで、「政治的言論のビラなどは規制対象外とする」と明文規定をおいておくと、よりよいものになるのではないかと考えます。
「指導→警告→勧告→意見聴取・弁明の機会の付与→公表・過料(5万円)」と段階を踏んで、規制をするため、万が一、政治的言論のビラを誤って規制しても、いずれかの段階で除外されるとは思いますが、このままでは、拡大適用も可能なようにも受け止められ、区民に委縮効果を及ぼす可能性があると思います。
***********大田区ホームページ***************************
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/kikikanri/kyakuhiki_iken.html
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/kikikanri/kyakuhiki_iken.files/joureian.pdf
「(仮称)大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例」(案)の概要について
- 説明資料-
大田区
第1 条例制定の背景・趣旨
蒲田駅周辺など、区内の繁華街には、以前から風俗営業店等による客引きが目立って
いますが、当区地域振興部の調査によれば、蒲田駅周辺では最も多い時間帯で約100 人
の客引きが道路上で通行人に声を掛けたり、客待ちをしている状況がみられました。
大田区でも、平成23 年から地域団体等と連携して、蒲田駅周辺の夜間パトロールを
実施しているほか、警察においても取り締まりを強化するなどの対策をとってきました。
しかし、執拗な客引きが後を絶たず、蒲田のイメージを悪化させるだけでなく、通行す
る区民が不安を感じたり、迷惑がかかっている状況が続いています。
そこで、区では区内公共の場所における風俗営業店等による客引きや客待ち行為等を
防止して、区民生活の平穏を保持し、安全で安心な地域社会の実現をめざすため「(仮称)
大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例」の制定を検討して
います。
第2「(仮称)大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例」の概要
1 用語の定義
(1) 公共の場所
不特定多数の者が利用する道路、公園、広場、駅その他の公共の場所をいいます。
なお、たとえ店舗の敷地内であっても、不特定多数の人が風俗営業店等による客引
きや客待ちを受ける場所であれば、公共の場所となり得ます。
(2) 風俗営業店等の客引き行為
以下の営業について客引きをしたり、人に呼び掛けたりビラ等を配布したり提示し
たりして客を誘引することをいいます(以下「風俗営業店等の客引き行為」といいま
す。)。
(「風俗営業店等」の例)
・社交飲食店(いわゆる「キャバクラ」や「ホストクラブ」等)
・性感マッサージ店
・アダルトビデオやアダルトグッズ販売店(専らこれらを販売している店)
・異性によるマッサージ店(但し「異性によるマッサージ店」については、午
後8 時から翌朝6 時の間に客引き等の行為をするものが該当します。)
※ それぞれの営業を装ったものも含まれます。
(3) スカウト行為
以下の役務に従事するよう、人を勧誘することをいいます。(以下「スカウト行為」
といいます。)
(スカウト行為に該当する「役務」の例)
・性感マッサージ業で異性と接する業務の従業員としての役務
(いわゆる「性感マッサージ嬢」など)
・社交飲食店で接待を行う従業員としての役務
(いわゆる「キャバクラ嬢」など)
・いわゆる「アダルトビデオ」の出演者としての役務
(いわゆる「アダルトビデオ女優」)
(4) 客待ち行為
公衆の目に触れるような方法で、「風俗営業店等の客引き行為」や「スカウト行為」
の相手方を待つことをいいます。
(5) 客引き客待ち行為等
「風俗営業店等の客引き行為」、「スカウト行為」又は「客待ち行為」をすることを
総称して、「客引き客待ち行為等」といいます。
2 適用上の注意
この条例の適用については、何人の権利も不当に侵害しないように留意しなければな
らない旨を明らかにします。
3 区の責務
区は、警察等の関係行政機関及び地域団体との協力、連携を図りながら、公共の場所
における客引き客待ち行為等の防止に関する施策を推進することを責務とします。
4 区民等の責務
区民や事業者は、自分たちの生活が安全に営まれるように、環境の確保や生活安全活
動の推進に努めるとともに、区が実施する公共の場所における客引き客待ち行為等の防
止に関する施策に協力するよう努めるものとします。
5 公共の場所における禁止事項
(1) 何人も、公共の場所における客引き客待ち行為等をしてはならないこととします。
(2) 何人も、金銭や財産上の利益を供与し、又はその供与を約束して、人に(1)の行為を
させてはならないこととします。
(3) 何人も「風俗営業店等」のほか、居酒屋やカラオケ店など、どんな営業に関するも
のでも、公共の場所で人の通行の妨げとなるような方法で客引きをしたり、人に呼び
掛けたりビラ等を配布又は提示したりして客を誘引してはならないこととします。
また、公共の場所で人の通行の妨げとなるような方法で、こうした客引きや誘引の
相手方を待ってはならないこととします。
6 指導
区長は、「5 公共の場所における禁止事項」に掲げる行為に違反していると認められ
る者に対し、当該行為を中止するよう「指導」することができることとします。
また、この「指導」は、あらかじめ区長が委嘱する区民等のボランティアに行わせる
ことができるものとします。(ただし、後述の「警告」、「勧告」、「公表」及び「過料」の
運用に関しては、区長が行います。)
7 特定地区の指定等
(1) 区長は、公共の場所における客引き客待ち行為等を防止するため特に必要があると
認める区域を、客引き客待ち行為等防止特定地区(特定地区)として指定することが
できることとし、この場合は、区の掲示板や区のホームページ等を通じて告示するこ
ととします。
(2) 区長は、必要と認めたときは、その指定した特定地区の区域を変更したり、その指
定を解除することができることとし、この場合も区の掲示板や区のホームページ等を
通じて告示することとします。
8 警告及び勧告
(1) 区長は、特定地区において、「5 公共の場所における禁止事項」の(1)又は(2)の行為
に違反していると認められる者に対して「指導」を行っても、その者が更に当該行為
を行ったと認めるときは、その者に書面をもって、当該行為をしてはならない旨を「警
告」することができることとします。
(2) 区長は、「警告」した場合で、その「警告」を受けた者が、更に当該行為を行ったと
認めるときは、その者に書面をもって、当該行為の中止を求める旨の「勧告」するこ
とができることとします。
9 公表
区長は、「勧告」した場合で、その「勧告」を受けた者が、正当な理由なく当該「勧告」
に従わなかったときは、その旨を「公表」することができることとします。この場合の
「公表」の内容は、その者の氏名のほか、関係する店舗名(法人名)等を区の掲示板の
ほか、区のホームページ上で公表します。
なお、この場合、区長は「公表」しようとする者及び関係する店舗(法人)の代表者
等から、あらかじめ意見を述べる機会を与えて、意見を聴取します。
10 店舗場所提供者への通知
区長は、「公表」をした場合は、「公表」された者の営業所等の業務の場所を提供して
いる土地又は建物の所有者又は管理者に対し、違反行為に係る事実を通知することがで
きるものとします。
11 調査等
区長は、この条例の目的を達成するため、必要事項を調査することができることとし
ます。このため、必要と認める場合は、違反した者や客引き等をされた者、関係する店
舗等に対し、質問をしたり、文書の提示を求めることができることとします。
12 警察署の長等への協力要請
区長は、この条例の目的を達成するために必要と認める場合は、区内の警察署長のほ
か、関係機関の長に対し、情報の提供やその他必要な協力を求めることができることと
します。
○ 「情報の提供」の例~区長が違反者に氏名等を質問しても、答えようとしない場
合でも、警察がその情報を把握している場合には、当該違反者の同意なしに、当該
違反者の氏名等の情報を聴取し、この条例に基づく指導や警告等の措置をとれるよ
うにするなどが考えられます。
○ 「その他必要な協力」の例~ 区長が、違反者に勧告書を交付しようとする際に、
当該違反者から暴行・脅迫等を受ける危険性があるような場合には、警察官同行の
協力を求めるなどが考えられます。
○ 警察以外の関係機関としては、税務署や他の区市町村などが考えられます。
13 警察その他関係機関への情報提供
区長は、区民等から提供された情報その他区が有する情報のうち、この条例の目的を
達成するために必要と認めるものを、警察等の関係機関に提供できるものとします。
○ 例~区職員が指導、警告等の措置をとる過程で、当該違反者が本条例だけでなく、
他の法令にも違反していると認められるような場合には、警察にその事実やその者
の氏名等の情報を警察に通知するなどが考えられます。
14 委任
この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、別途規則で定
めることとします。
15 過料
「勧告」をした場合で、その「勧告」を受けた者が、正当な理由なく当該「勧告」に
従わなかったときは、「公表」とは別に、5万円の過料に処すこととします。
16 両罰規定
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、当該法人又は
人の業務に関して前条の規定による違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、同様
に当該法人又は人に対しても同様の「過料」を科すこととします。
例として、社交飲食店の従業員がその店の業務のため、客待ち等の違反行為を行い、
過料に処せられた場合は、その者を罰するだけでなく、その社交飲食店も同様の過料に
処せられるということです。
第3 施行時期について
条例の制定、公布後に一定の周知期間を置いた後の施行を検討しています。ただし、
警告、勧告、公表及び過料に関する規定については、更に周知期間を置いた後の施行を
検討しています。
以上
*************************************
*****意見書*****
1.件名「(仮称)大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例(案)に対する意見」
2.氏名(法人等の場合は名称及び代表者氏名)
小坂和輝
3.住所(法人等の場合は事業所所在地)
東京都中央区月島3-30-3-2F
4.区内に住所を有しない方は、区内の勤務先又は通学先の所在地及び名称
5.区内に住所、勤務先、通学先を有しない方は、「(仮称)大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例」(案)に直接的な利害を有する理由
都民として、築地市場移転問題のチラシ、ビラを貴区で配布することがあるため。
6.意見内容
意見)
「2 適用上の注意」の部分で、はっきりと、「政治的言論等のビラの配布又は提示は規制対象外とする。」と明文規定をおくとことを求めます。
理由)
条例案は、規制立法の趣旨目的は、「区民生活の平穏保持、安全安心な地域社会」、規制の手段は、「客引き禁止」、「ビラ等を配布又は提示の禁止」と理解致します。
規制の手段を取るに当たり、最も注意しなければならないことは、条例の拡大解釈です。
条例案が規制するビラは、商業的言論のひとつである風俗営業店等のビラです。
拡大解釈して、政治的言論のビラまで、規制の対象としてしまっては、絶対にならないと思います。
条例案では、「2 適用上の注意 この条例の適用については、何人の権利も不当に侵害しないように留意しなければならない旨を明らかにします。」と書かれていますが、ここはさらに踏み込んで、「政治的言論等のビラの配布又は提示は規制対象外とする。」と明文規定をおいておくと、よりよいものになるのではないかと考えます。
「指導→警告→勧告→意見聴取・弁明の機会の付与→公表・過料(5万円)」と段階を踏んで、規制をするため、万が一、政治的言論のビラを誤って規制しても、いずれかの段階で除外されるとは思いますが、このままでは、拡大適用も可能な余地を残しており、本来許されるはずの政治的言論等のビラの配布行為をするにあたり、区民・都民に委縮効果を及ぼす可能性があり、ご検討を願います。
以上