Ⅰ独占禁止法の目的
直接目的:公正・自由な競争の促進
公正・自由な競争の促進があると、①創意工夫が発揮され、②事業活動が活性化し、③雇用・所得のレベルアップが図れる。
最終的には、〇国民経済の民主的で健全な発達
〇一般消費者の利益確保
がなされる。
Ⅱ独占禁止法の規制対象
1、規制対象:事業者と事業団体
2、事業者の定義
2条1項この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。
事業者:反復継続する経済活動を行う者
3、事業者団体の定義
2条2項
この法律において「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。
一 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団
二 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他の財団
三 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体
事業団体:2以上の事業者の組織体
判断基準:事務所・規約・意思決定組織の有無
Ⅲ独占禁止法の基本概念:私的独占の禁止(2条5項・3条前段)
〇一定の取引分野:競争制限が行われる場
〇競争の実質的制限
→特定の事業者・団体がその意思である程度自由に価格・品質・数量等の競争条件を左右することによって市場を支配できる状態
〇公共の利益
→競争制限行為と法益とを比較考量して最終目的に実質的に反しないと認められる例外的場合
2条5項 この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
3条前段 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
Ⅳ独占禁止法の基本概念:不当な取引制限(カルテル)(2条6項・3条後段)
〇事業者が他の事業者と共同して:行為要件
〇価格の決定・維持・引上げ、数量・技術・製品・設備・取引の相手方を制限
→相互に事業活動を拘束・遂行:相互拘束性
〇一定の取引分野における競争を実質的制限:効果要件
〇公共の利益:違法性阻却要件
2条6項 この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
3条後段 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
以上